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2015-01-01から1年間の記事一覧

2020年8月、東京

起こる「可能性が高い」とまでは言わないが、「じゅうぶん可能性がある」と思う事態。 - - - 「東京は猛暑のうえ発電所の故障があり、競技場トラック・フィールドの冷房をする電力はありますが、観客席の冷房をする電力が不足しています。したがって、オリン…

工業化前(産業革命前)を基準にとることの意義とむずかしさ

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】 - 0 -国連気候変動枠組み条約の、パリ【バリではない】で開かれていた締約国会議で、「パリ協定」(The Paris Agreement【[2015-12-16改訂] 日本語表現を日本外務省のものに合わせた】…

歴史のもしも

わたしは、ときどき、「歴史のもしも」を考えてしまう。実際に起きたできごとの連鎖のなかで、どこかが少しだけ違っていたら、それ以後、何も強制がかからなくても、ものごとは実際の歴史とは違う経過をたどるだろう。しかし、事実に反する歴史の筋書きにつ…

攘夷原理主義の爆縮(implosion)

[Buchanan (2000)の読書ノート]に書いた(その本とは直接関係ない)「尊王攘夷原理主義者が主導権をとって客観的に勝ちめのない 戦争に突入し、日本が占領・植民地化されてしまう可能性」、[「神田原」というエッセイのページ]に書いた「原理主義者が主導権を…

20世紀の地球温暖化をどう見るか

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】 - 1 -地球温暖化ということばには、[2015-11-09の記事]で述べたように、複数の意味がある。大きく分けて次の2つが重要だ。 (A) 温室効果の強化を原因として起こる気候の変化。 (B) 世…

地球温暖化の不確かさと「驚き」をどうとらえるか(2)

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】[2015-11-29の記事]の中で予告した「別の記事」である。地球温暖化に関連して、次のようなことばが出てくることがある。前の記事ではひとまず「驚き」で代表させたが、「驚き」という…

地球温暖化の不確かさと「驚き」をどうとらえるか(1)

地球温暖化問題は、将来の数十年かけて起こることに早めの対策が必要だという構造の問題だ。将来の見通しに関する不確かさは避けられず、政策に関する判断をするのに、見通しが確かになるのを待っていたら遅すぎる。ただし、不確かさがあるというのは、何も…

学術論文の「オープン化」と費用負担

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】 == 1. 問題 == 「学術の成果である知識は社会に提供されるべきだ」という考えは前からあったが、ここ十年ほどの間に、「学術知識のオープン化」という要求が高まっている。それには、…

宇宙基本計画工程表に関する意見

内閣府から、「宇宙基本計画工程表(平成27年度改訂)(素案)」に関する意見募集が出ていた。http://www8.cao.go.jp/space/plan/plan2/kaitei_fy27/public_comment2015_koutei.htmlしめきり当日になってしまったが、11月17日、地球観測に関して、次の3件の意見…

火山噴火が世界規模の天候におよぼす影響

[前の記事]で予告したように、火山噴火が世界規模の天候におよぼす影響についての基礎知識をまとめておく。(影響の持続時間が、Pinatubo級の噴火で2年程度なので、「気候」というよりも「天候」と言ったほうがよいと判断した。もっと長期の気候に対する影響…

リンジャニ(Rinjani)火山の噴火

わたしは、地球科学に関連するニュースとして、火山の噴火はいくらか気にとめるけれども、正直なところ、溶岩や火山灰による被害があっても、知っている人が影響を受けないかぎり、継続して気にかけはしない。全世界規模(global)の気候を専門とする者として…

地球温暖化と、いくらかの関係はあるが、区別して認識する必要があることがら

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】[前の記事]と同じく、「地球温暖化について質問にお答えします」という試みをしたときに考えたこと。専門外の人と話していると、その人には、「地球温暖化」と、それと区別されるべき…

地球温暖化という用語の意味について

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】2015年11月7日、勤務先の研究所の一般公開の中で、「気候変動予測」あるいは「地球温暖化予測」と呼ばれる仕事をしている部署の一員として、「地球温暖化について質問にお答えします」…

南極の氷の増減について -- 研究成果の報道に一喜一憂せず基本を考えてほしい

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】 - 0 -南極の氷がふえているとか減っているとかいう事実を示した研究成果のニュースがいくつかあった。それを受けて、ネット上で、(たぶん、これから数十年のこととして)「温暖化は進…

気候変動リスク情報創生プログラムのシンポジウム(2015-10-13)

2015年10月13日、「気候変動リスク情報創生プログラム」http://www.jamstec.go.jp/sousei/ [注]の公開シンポジウム「気候変動のリスクを知る -- リスク情報の使われ方」http://www.jamstec.go.jp/sousei/jp/event/sympo/2015/index.html があった。わたしは…

「気候区分」をたなあげにして、気候を連続量の集まりでとらえよう

【ひとまず覚え書き。地理教育に向けての呼びかけは論旨を組み立てなおす必要がありそうだ。】ネット上の会話で「ケッペンの気候区分」が話題になっていた。【気候の専門家どうしの話題にはあまり出てこないのでしばらく忘れていたのだが】日本語圏の多くの…

安保法制について考えたこと

2015年9月19日未明、いわゆる安保法制が、国会で成立した。【内閣官房のウェブサイトに「平和安全法制等の整備について」 http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/housei_seibi.html という表題のページがあって、中身を見ると、成立した法律は「我が国及び国…

降水帯、rain band、線状降水帯、squall line

【わたしは気象学という専門を代表する立場にはないが、これまで、「気象むらの方言」のカテゴリーで示した記事の多くは、気象学の専門家からの標準的用語解説として読まれる覚悟をして書いてきた。しかし今回のは違う。気象学の中でも専門は細分化していて…

グラフのまちがいもあるが、むしろ論旨に対してデータの選択が不適切 (気候の話題で)

【文部科学省が編集した高校生向け教材の中で、人の妊娠しやすさに関するグラフが不正確に引用されていたことと、さらにそのグラフが示す情報がそれを使った本文の記述に合っていないのではないかという疑いについて、見聞きしている。この教材は少子化対策…

地球温暖化の認識の発達にかかわる山本義一の業績

山本義一 (1909-1980) (大先生であるがここでは歴史上の人物扱いという意味で敬称略)は、1946年から1973年まで東北大学教授をつとめた気象学者で、大気乱流と大気放射の両方にわたって世界の気象学に貢献した。その業績の概略は田中(1980)に紹介されている。…

「著作物等の利用円滑化のためのニーズ」 テレビ番組を録画して教材として使うこと

2015年7月7日づけ、7月27日しめきりで、文部科学省 文化庁 長官官房 著作権課 企画審議係から「著作物等の利用円滑化のためのニーズの募集」が出ていたことを、しめきりの1週間前くらいに知った。著作権に関する制度の整備は、本来、人類の知識への貢献が目…

気候感度についてもう少し広く考える

「気候感度」(climate sensitivity)については、[2015-07-15の記事]で簡単にふれたが、もう少し話題を広げて考えてみる。「感度」は「敏感さ」であって、定性的なものかもしれないのだが、ここでは定量的な扱いができる場合に限ってみる。気候に関する話題を…

二酸化炭素濃度に対する気温の定常応答(平衡応答)と過渡応答、気候感度

【[別ブログ2010-01-20の記事]から、それを書いた当時の時事的話題を取り除いて、ひとまず再録して、改訂を加えています。「気候感度」という表現のいろいろな使われかたは別記事にしました。】定常応答 (steady-state response) 気候システムにとっての外部…

日射量、全天日射、直達日射、散乱日射、日照時間

「日射」と「日照」はどちらも、気象の話題によく出てくるが、(あとに述べるように)それから派生した数量はしっかり定義されているものの、それ自体はあまりしっかり定義されていないことばだ。どちらも、放射 ([2012-07-05の記事]参照) のうち、太陽放射、…

渦、vortex、eddy

渦(うず)ということばは、気象学では、大きく言えば二つの違った意味に使われる。英語で言えば、一方は vortex、他方は eddy である。どちらも、気象に限らず、流体の運動にかかわる多くの分野で使われることばであり、ここで述べることの多くは気象以外の分…

rate, 率 (3) 相対増加率

「rate」「率」については、[(1) 2014-11-01の記事] [(2) 2015-04-13の記事]に書いたが、本を読んでいたら、この用語には、(1)(2)で論じていなかった使いかたがあることに気づいた。その本に出てくる話では ある量 X が、A, B, Cの3つの因子の積である ので…

いろいろな解析、分析、analysis

気象学では「解析」ということばが複数の意味で使われる。さらに、日本語では「分析」だが、英語では同じanalysisになるものもある。これだけの意味を使いわけて、まちがいがあまり起こらないのがふしぎなほどだ。まちがいを防ぐために、問い返すこともけっ…

SPEEDIに期待された機能、それをどうやって実現するか

【[おことわり] わたしは気象学の専門家ではあるが、とくに原子力防災を専門とするわけではないし、その関連の政策に対してとくに発言力があるわけでもない。ここに書くのは、個人としての意見を表明し、できれば政策決定にかかわる人にも読んでいただきたい…

ジオエンジニアリング、気候工学、意図的気候改変 (3)

[2013-11-03の記事][2014-01-19の記事]の続き。アメリカ合衆国科学アカデミー(NAS)の関連機関であるNational Research Council (略称はNRCだが原子力規制委員会でないことに注意。日本語表現は決まっていないようだが「全国研究評議会」とされていることがあ…

システム

-- 0 -- 現代、「システム」ということばはそこらじゅうに出てくる。その意味はまちまちだと思う。いろいろな文脈で使われる「システム」ということばから共通の意味をとりだそうとしても、「複数の部分からなり、しかし単なる部分のよせあつめではなく、全…