「rate」「率」については、[(1) 2014-11-01の記事] [(2) 2015-04-13の記事]に書いたが、本を読んでいたら、この用語には、(1)(2)で論じていなかった使いかたがあることに気づいた。
その本に出てくる話では
ある量 X が、A, B, Cの3つの因子の積である
ので、
Xの増加率(成長率)は、A, B, Cそれぞれの増加率の和になる
という議論がされていた。
わたしはその理屈を理解するまでにしばらくかかったのだが、ここでの「Xの増加率」とは、(1/X) dX/dt、つまり、単位時間あたりのXの増加量の、Xの(現在の)量自体に対する割合なのだとすれば、つじつまが合う。
式でかけば (ブログの技術的つごうで分数を「/」で書くので、誤解を避けるため、かっこをたくさん使って示すが)
(1/(ABC)) d(ABC)/dt = (1/A) dA/dt + (1/B) dB/dt + (1/C) dC/dt
という関係がある。これは、
log(ABC) = log A + log B + log C
の各項を時間で微分したものにあたる。
(1)(2)の記事で述べた、「rate、率」は単位時間あたりのXの増加量だった。今回述べるものはそれをさらにXで割ったものなのだ。同じ用語では区別がつかないので、わたしは今回のものを「相対増加率」と呼びたい。しかし、そう呼んだだけでは、何に対して相対的なのか、聞き手に正しく伝わらないおそれもある。きちんと伝えようとすると、毎度、何の何に対する割合なのか説明する必要があるのかもしれない。
相対増加率の量の次元は、時間の次元を[T]とすれば、Xの次元は分子分母で打ち消しあうので、1/[T]となる。社会データの場合はたいてい「年あたり何%」の形で示される。