2011-01-01から1年間の記事一覧
職場のパソコンなどの機器更新について、組織体(仮に「社」と呼ぶ)の情報技術担当者から構想が示された。そういう段階なので詳しいことを書くわけにいかないが、他社にも共通する問題があると思うので、やや抽象的な形で論じてみたい。以下で述べる「社の構…
5月14日の記事で書いたように、わたしの今の職場のパソコンのOSは(わたしが苦手な) MS Windowsばかりだ。そしてその上で職員間で共有される文書の形式は、Microsoft OfficeのWord, Excel, Powerpointのファイルが大部分をしめている。【ただし旧形式(doc, xl…
(英語圏のブログで話題になっていたところにコメントした。詳しく論じる元気がないのでひとまず「つぶやき」として書いておく。)持続可能性の文脈でイースター島(Rapa Nui)を論じるならば、2つの「崩壊」があったことを認識するべきだ。第1のものはたぶん孤…
北朝鮮の人々の人権がわれわれ自身の人権と同様にまもられてほしいという気持ちをもって、北朝鮮の政権に要求したいことをあげれば、まず「自国民が外国に出ること、そして帰ることの自由を認めよ」と言いたい。しかし、そうすると、北朝鮮の経済状況が根本…
科学者が行政に助言することと、社会全体に向けて発言することとは重なりがある。少なくとも民主主義国では、原則として行政に助言する内容は広く公開するべきだろう。例外となる場合もありうるが、ここでは例外となる条件に深入りはしないことにする。行政…
「雑誌Natureにのった鳩山由紀夫 元総理大臣の論文」が話題になっているようだ。平 智之 衆議院議員との共著で筆頭著者は平氏である。これは「何かを論じた文」にちがいないので、日常用語で「論文」と呼ぶのはまちがいではないと思うが、自然科学者が「Natu…
12月14日、公正取引委員会は新日本製鉄と住友金属の合併を認めた。たとえば読売新聞の12月14日の記事新日鉄と住金の合併、30日余りでスピード認可で報道されている。鉄鋼業は世界の市場で競争しているのであり、日本市場内の占有率が高くなっても独占とし…
12月10日、内閣が2012年度税制改正大綱を決定した。その報道、たとえば読売新聞の12月10日の記事「『自動車産業は牽引役』…税制大綱を閣議決定」によれば、重要な改正点として、自動車重量税の減税がある。経済成長のために、自動車産業の売り上げが多くなる…
パートタイマーへの社会保険適用を広げる法改正案について、パートタイマーをおおぜい雇っている業界団体が反対の行動を起こしたという報道を聞いた。残念なことだ。しかし、業界団体を非難してもはじまらない。社会保険の雇用主負担がふえれば、経営を続け…
政策決定に対する科学者による助言は「ひとつの声」であるべきだという考えがある。11月26日に日本学術会議で開かれたシンポジウム 「東京電力福島原子力発電所事故への科学者の役割と責任について」で、アメリカ合衆国科学アカデミー(NAS)のKevin Crowley氏…
それぞれ聞けばもっともなことを言っていると思われる人どうしが、ひどく反目していることがある。わたしはtwitterをやっていないのでよくわからないが、twitterという、短く、対話型で、公開されたメディアが、この反目を強める働きをしているのではないか…
東日本大震災に伴う原子力発電所事故からの放射性物質の広がりに関して、日本気象学会(http://wwwsoc.nii.ac.jp/msj/)の理事長が3月18日に会員向けに出したメッセージ [PDF](ウェブサイトに置かれたのは21日) 【および、4月11日に出された追加メッセージ [PD…
東日本大震災前、日本は電力の質を誇っていた。簡単に言えば、電気がほしいときにいつでも得られること、つまりavailabilityである(日本語にしにくいのだが「可用性」というあまり聞かない単語がある)。まず、停電の確率が低いことだが、それに加えて、電圧…
19世紀から20世紀にかけて、多くのものの生産に関して、生産量を多くしたほうが、生産者があげられる利益が多くなり、また消費者もより安い値段で製品を手に入れることができるので、社会にとってもメリットがあると言われることが多かった。しかし、これの…
再生可能エネルギー技術にはいろいろな芽がある。そのうちどれを積極的に育てるか、選択しなければならないだろう。人間社会の資源消費を持続可能にしていくためには、おおぜいの人が使うエネルギーが再生可能エネルギーになっていくことが必要だ。したがっ…
科学のありかたには、同じ分野の専門家どうしの間で評価されるアカデミズム科学、企業や官僚機構の目的のために雇われた人が働く産業化科学のほかに、市民によって評価される科学があるべきではないか。それを中山(1979, 1980)は「サービス科学」と名づけて…
11月19日、科学史家の中山茂さんの話を聞く会があったので出席した[主催者によるお知らせのページ]。科学史の総論を聞きたいと思った人はがっかりしたと思う。しかし、中山氏は科学史の通史を最近語ったばかりであり(中山, 2011)、その本のことは主催者によ…
11月16日に出席した会議[注]の中で、IPCC第3部会の編著者のひとりである杉山大志さんの講演を聞いた。杉山さんはもちろん地球温暖化問題の重要性やIPCCの意義を否定はしないが、「『温暖化を産業革命前+2℃以内にくいとめる必要がある』という主張がIPCCのも…
わたしは、核エネルギーの利用を絶対してはいけないとは思っていない。しかし、その具体的な技術体系について、操業中と操業終了後の廃物管理とにわたって安全が確保できるという見通しがあって初めて実用設備の設計にかかれるのだと思う。この観点で、軽水…
確かめられていない科学史的思考の覚え書き。20世紀の後半に、気候モデルをはじめとする地球物理学の数量的方法が発達したことに、日本出身者(おもにアメリカ合衆国で活動したので日系一世というべきかもしれない)が多数活躍したことは、偶然ではないだろう…
2月5日にTPP貿易協定には自然資本保全条項(ナチュラル・ダンピング関税など)が必須と書いたのだが、ダンピングという用語づかいは、相手国(アメリカ合衆国を想定)に対して必要以上に敵対的だったかもしれない。もっと親切に考えることにしよう。 ===== 日本…
日本政府がベトナムに原子力発電所一式を輸出する予定を変えないという報道を聞いて、残念に思った。しかし、ベトナムが原子力発電所をもつ計画を変えず、日本ではなくほかの国から輸入するのならば、改善にならない。日本が輸出する案の最大の問題は、放射…
地球環境問題と天然資源枯渇の問題は境目がない。Daly流に「自然資本の消耗」とまとめたほうがよいかもしれない。この問題がむずかしいことには、自然的理由と社会的理由がある。社会的理由を総括的に述べることもむずかしいが、関係するキーワードとして「…
地球環境と人間社会はそれぞれシステムをなしていてその間に相互作用があると考えることができる。人間活動の規模が小さかったころは、作用は地球環境が人間社会を制約する一方だと考えることができた。しかし産業革命以後は、人間社会が与える影響によって…
エネルギー利用技術の文脈で「水素」はとても重視されている。核融合関係を除くと、水素は酸素と化合する際に化学エネルギーを放出できるエネルギー担体として期待されている。使われかたには、燃焼によってロケット噴射やタービンをまわすことによって動力…
エネルギーをあとで使えるようにたくわえておくことはとても重要だ。その能力をもった人工物を開発することは、今の社会にとって重要な課題だ。エネルギーをたくわえる物体をさすことばとして、たとえば「蓄電池」があるが、これは電気をたくわえるものに限…
[このブログには世の中に対する意見を書くことが多くなったが、科学的知識や科学で使う方法について書きたくなることもある。ウェブサイトにまとまった知識を書くときは、単純HTMLページかwikiを使おうと思うのだが、そこまで行っていない覚え書きを書く場と…
米本昌平さんの新しい著書「地球変動のポリティクス」を読んだ[わたしの読書メモ]。主題は地球温暖化に関する国際政治なのだが、東日本大震災を経験した日本の立場から、地震・津波などの災害に対する安全保障のための、気候変動枠組み条約と同様な国際的体…
[8月9日の記事「チベット・ヒマラヤの氷河は十億人の水資源なのか (ふたたび)」]の補足。[2010年1月28日の記事「査読を経た論文だから信頼できるとは限らない」]で、とくに論文の序論や、結論を述べたあとの補足的考察の部分は、著者の勝手な発想を査読者が…
わたしは日本が武器輸出禁止の原則をゆるめることには基本的に反対だ。(ただし、武器以外にも使える汎用品についてはゆるめてほしいと思うこともある。)しかし、日米安保条約が非対称的ながら軍事同盟なので、相互運用性上、同盟国間で同じ武器を使うことが…