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2011-11-20から1日間の記事一覧

サービス科学(市民によって評価される科学)

科学のありかたには、同じ分野の専門家どうしの間で評価されるアカデミズム科学、企業や官僚機構の目的のために雇われた人が働く産業化科学のほかに、市民によって評価される科学があるべきではないか。それを中山(1979, 1980)は「サービス科学」と名づけて…

「中山茂、学問を語る -- 科学史と歩んだ60年」より

11月19日、科学史家の中山茂さんの話を聞く会があったので出席した[主催者によるお知らせのページ]。科学史の総論を聞きたいと思った人はがっかりしたと思う。しかし、中山氏は科学史の通史を最近語ったばかりであり(中山, 2011)、その本のことは主催者によ…

地球温暖化問題についての視野を広げる

11月16日に出席した会議[注]の中で、IPCC第3部会の編著者のひとりである杉山大志さんの講演を聞いた。杉山さんはもちろん地球温暖化問題の重要性やIPCCの意義を否定はしないが、「『温暖化を産業革命前+2℃以内にくいとめる必要がある』という主張がIPCCのも…

高速増殖炉をやめないとしても「もんじゅ」をやめるべきだろう

わたしは、核エネルギーの利用を絶対してはいけないとは思っていない。しかし、その具体的な技術体系について、操業中と操業終了後の廃物管理とにわたって安全が確保できるという見通しがあって初めて実用設備の設計にかかれるのだと思う。この観点で、軽水…

定量的地球物理学に寄与した東洋の伝統

確かめられていない科学史的思考の覚え書き。20世紀の後半に、気候モデルをはじめとする地球物理学の数量的方法が発達したことに、日本出身者(おもにアメリカ合衆国で活動したので日系一世というべきかもしれない)が多数活躍したことは、偶然ではないだろう…