2014-01-01から1年間の記事一覧
2014-12-22の記事[データの「可聴化」「聞こえる化」を考えてみる(まだ机上論)]に対して、「データの可聴化には、ラジオ気象通報などもあるのではないか」というコメントをいただいた。そのようなものは、わたしが22日の議論で想定した範囲の外だったのだ。…
「データの可視化」は、いろいろな需要があるが、とりわけて言えば20世紀以来の自然科学をやっていくためには必須のことであり、そのための技術開発もいろいろされている。データにもいろいろあるが、ここではおもに数量であらわされるものを考える。ただし…
「適応」と「適用」「適応」と「適用」が混同されることがあるのは、ときおり気づいてはまた忘れていたのだが、2014年12月3日に川端裕人(@Rsider)さんのtweetで指摘されていたのであらためて意識した。指摘の対象はスポーツ関係の報道記事で、「ルールを適用…
多くの物質は、固体、液体、気体の3つの「相」の状態になる。相の間をうつりかわる変化には名まえがついている。ところが、このうち、固体から気体、気体から固体への変化の標準的な名まえは、いずれも「昇華」(英語では sublimation)だ。【わたしは、1970年…
英語の rate ということばには、関連はあるが、いくつか違った意味がある。動詞の rate は「評価する」のような意味で、評価の結果は数量のこともあるが、階級わけのことが多い。ここではこの使いかたは追いかけないことにする。名詞の rate は「割合」に関…
科学者が当時としてはまじめに考えた結果が、あとの時代の科学の視点から見ると大きなまちがいだった、という話の例として、Kelvin (William Thomson, 1824 -- 1907; Lord Kelvinになったのは1892年だが便宜上一貫してこの名まえで呼ぶことにする)による地球…
【わたしは自然科学者であり、自然科学のうち自分の専門に近い分野の仕事について専門外の人に説明する役まわりになることが多い。そのなかでは専門知識が発達してきた過程を歴史的に説明することもある。そういうとき、科学史の立場から見てもまちがいのな…
左巻 健男 (さまき たけお)さんのブログの2014年9月17日の記事[今は見えないJSTサイエンスポータルの「EM団子の水環境への投げ込みは環境を悪化させる」記事]と基本的に同じ情報だが、ここでも紹介しておくことにする。左巻さんが編集長となって、「理科の探…
世の人々の間には「ものの考えかた」の違いというべきものがある。ある「ものの考えかた」の人は何かの政策課題に賛成することが多く、別の「ものの考えかた」の人は反対することが多い、といった構造のことはよく起こるだろう。さらに、政策課題についての…
[前の記事]の最初の段落から続く。政策に関する意見の分かれかたに関係しそうな、世界観の分類を試みる。まだ「たたき台」的なものである。第1は、人の意図的行動が世界(社会に限ってもよい)に影響を与えると思うか。 人がいくらがんばっても歴史は変わらな…
2日前となりましたが、講演者のかたがたから講演要旨の原稿をいただきましたので、それを含めてあらためてお知らせします。講演要旨の追加と、講演プログラムの細かい修正以外は、学会ブログの7月22日の記事 http://blog.jssts.jp/2014/07/2014.html と同じ…
わたしは、学術論文はほとんど電子版(PDF)をパソコン画面で読み特別なときだけプリントするようになったのだが、本についてはほとんど紙のものを買ってきた。電子書籍のうちにはせっかく買っても売り手が廃業したら消えてしまうものもあるので、まだ全面的に…
東海道新幹線の車内で英語のアナウンスを聞いた。録音にちがいないのだが、いくつかの駅でのアナウンスでは明らかに単語ごとに録音したものを機械でつないでいるのとは違って、文単位で人が続けて読んだもののようだ。それでいて、英語の単語は英語らしい発…
もう30年近く前のことだったと思うが、今でも起こりうるだろうと思う。東京の本郷あたりを歩いていたら、英語で何かたずねられた。"You know" と聞こえたのだが何を言っているのかわからなかった。どうやら、ユーノウというところへ行く道をたずねているらし…
【わたしは経済、財政、税制についてしろうとである。それに加えて、わたしは、公務員ではないが、給料を国の支出のうちからもらっている立場にある。そして、自分の職はともかく、その同類の専門職が社会的に必要なものだと思っている。しかし、ここではな…
[2014-07-21の記事]で紹介したPaul Edwardsさんの話のうちの、とくに、気候変動の科学的知見に対する専門外の人による「監査」の話題について、科学技術社会論のうちで考えられてきたほかの議論とのつながりを示しておきたい。かつては、多くの人びとが、気…
2014年7月20日、科学社会学会と国立環境研究所によって東京で開かれたシンポジウム「グローバル・リスクとしての気候変動」http://www.sssjp.org/news/4 に出席した。わたしにとってこの題目の行事は多すぎてきりがないのだが、A Vast Machine [読書ノート]…
学術雑誌論文や博士論文についての盗作 【いわゆる「コピペ」。出典を明示した引用でない、まる写し。ただし、少し変更した場合も含む。わたしは「剽窃」の「剽」の字をこの目的のために覚える気が起きないので、芸術作品でなくても「盗作」を使いたい。】の…
【[2014-08-08補足] 講演題目を含めた第2報がSTS学会ブログの次のページにあります。http://blog.jssts.jp/2014/07/2014.html 】2014年度科学技術社会論学会シンポジウム 地球環境問題に立ち向かう『知』をどのように育てていくのか?世界の人間社会は、生物…
[2010-08-01の記事]で、世界の地上気温観測データを統合したデータセットを作る国際共同事業が始まったことを紹介したが、わたしはその後追いかけていなかった。最近、参加機関のひとつであるアメリカ合衆国NOAAのNational Climatic Data Centerからデータセ…
地球温暖化対策の文脈で、英語で mitigation、日本語で「緩和(策)」ということばが使われる。これは、温暖化の原因を減らすことであり、ほぼ「温室効果気体排出削減(策)」と同じことだ。(「ほぼ」と書いたのは、森林育成など、排出削減という表現に合わない…
「モンスーン」と「季節風」は、どちらも英語の monsoon に対応し、同じ意味のことばとして扱われることもあるが、区別されることもある。意味の広がりが一定しないので、文脈ごとに確認が必要だ。本論にはいる前に、関連する他の用語についておことわりする…
「北極の氷がとけても海面上昇に寄与しない」という議論は、ある意味で正しいのだが、ある意味では正しくない。どちらかといえば「...寄与する」のほうがもっともな局面が多いと思う。水に氷が浮いているとき、氷の一部分は水面の上に出ているが、水面から下…
Albedo は英語では「アルビードウ」のように発音されることが多いようだが、日本語でふつうの「アルベド」という表記はラテン語に忠実なようだ。もともとラテン語で「白さ」のような意味の語らしい(が、「alb-」が「白い」に関連することだけしか確認してい…
気候にとっての海洋の役割の話をする材料として、NHK(1998)のドキュメンタリー「海」のシリーズの「深層海流」の回のビデオを使った。その番組で「メキシコ湾流」という用語が使われていることに気づいた。この番組の科学的内容は海洋学の専門家の監修を受け…
[2012-10-06の記事「病的科学(2)」]で話題にしている「ミトゲン線」の件について、「T」となのるかたからMetcalf and Quickenden (1967)という文献の情報をいただいたので、その文献に目をとおしてみた。これはNatureの「Letter」だが、当時のこの雑誌のこの…
気象学の話題で「暖かい雨(英語ではwarm rain)」「冷たい雨(cold rain)」という表現が使われることがある。これは、雨ができるしくみに関する分類だ。雲粒は水滴または氷の結晶で、雨粒も水滴だが、大きさが違う。雨粒ができるためには、たくさんの雲粒が集…
気象に関する英語の文書では、zonal と meridional ということばがよく現われる。そのいちばん多く使われる意味は、地球上の位置を示す座標に関するもので、東西方向がzonalで、南北方向がmeridionalなのだ。たとえば、風について([2012-03-18の記事「西風は…
「大循環」ということばについては[「GCM」の記事]でふれたが、もう少し説明を加えたい。大気の大循環は、大規模な循環にちがいないのだが、この語の意味はそれだけではない。しかし、それではどういう意味か定義のような形で示そうとすると、そう簡単ではな…
[2014-06-02の記事]で予告した「地球科学がからんでいるいくつかのリスクの問題」に関する2つめの記事で、記事の性格についてのおことわりはくりかえさないが前の記事と同様だ。活断層と原子力発電所の稼動あるいは建設の可否の判断にかかわる話題は、前に[2…