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2014-01-01から1年間の記事一覧

巨大火山噴火と原子力発電所稼動の複合問題

原子力規制委員会の、原子力発電所の再稼動を認めるかどうかの判断について、さまざまな議論がある。ここで起きている問題の原因としては、原子力規制委員会の役割を決めるにあたって、政策的判断を拘束しない態度で価値判断をできるかぎり含めないで行なわ…

気象学における科学コミュニケーションのありかた (日本気象学会シンポジウム)

日本気象学会のシンポジウム「気象学における科学コミュニケーションの在り方」が2014年5月23日に開かれた。(シンポジウム企画者による予告ページがここにある。https://www.facebook.com/events/251398138344803/ TwitterのまとめがTogetterのここにある。h…

科学者によるadvocacy (「社会はこうすべきだ」と言うこと)

日本気象学会のシンポジウム「気象学における科学コミュニケーションの在り方」が2014年5月23日に開かれた。(シンポジウム企画者による予告ページがここにある。https://www.facebook.com/events/251398138344803/ TwitterのまとめがTogetterのここにある。h…

原因は「過去のすべてのものごと」ではあるのだが

われわれ人間は、ものごとを因果関係でつながったものだとして理解しようとすることが多い。とくに科学という いとなみ は、その態度を明確にしたものだと言えるだろう。しかし、科学が発達した結果わかってきた ものごと の因果関係は、必ずしも人間にとっ…

「知的財産推進計画2014」の策定に向けた意見

国の内閣官邸の下にある知的財産戦略本部 (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ )から、「『知的財産推進計画2014』の策定に向けた意見募集」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/ikenbosyu/2014keikaku/bosyu.html )が出ていた。言いたいこと…

理事会決定を受けて、シンポジウムの方針

2014年5月11日(日)のSTS学会理事会があり、シンポジウムの方針について決定されました。開催は9月6日(土)または13日(土)のいずれかになる予定です。 [別ブログ記事]をごらんください。【[2016-01-19改訂] 別ブログをやめることにしたので、リンク先を変更し…

気象学での実験

(2月に書きはじめて書きかけだった記事。5月10日に出席した会合で、気象学でのシミュレーションは実験か、という話題があったので、思い出した。)「気象学では実験はできない」と言ってしまうことがある。他方、数値モデルによるシミュレーション(のすべてで…

論点整理の試み

[別ブログ記事]として書いた。【[2016-01-19改訂] 別ブログをやめることにしたので、リンク先を変更した。】 要点は 1. 地域で得られた知見の他地域への移植可能性。 2. 科学的事実認識と政策advocacyの間にある暗黙の価値規範の顕在化。

「エネルギーを消費する」

「『エネルギーを消費する』という表現は正しくない」という議論がある。この議論は次のような根拠に立っていると思う。 「エネルギー」という用語の意味は、物理学で使われている意味を標準とするべきだ。 物理学でいうエネルギーは「保存則」に従う。つま…

地球惑星科学連合2014年大会参加

2014年4月28日から5月2日まで開かれた日本地球惑星科学連合 (http://www.jpgu.org/ )の2014年大会のうち、次の部分に参加した。A-CG38 地球環境関連データセット博覧会 http://www2.jpgu.org/meeting/2014/session/A-CG38.htmlG-04 高等学校の地球惑星科学教…

人為起源気候変化とその対策とくに気候工学の位置づけに関する根本的考察 (学会発表)

2014年4月28日から5月2日まで開かれた日本地球惑星科学連合 (http://www.jpgu.org/ )の2014年大会のセッション「M-ZZ45 地球科学の科学史・科学哲学・科学技術社会論」http://www2.jpgu.org/meeting/2014/session/M-ZZ45.htmlで、予稿を[2014-02-12の記事]で…

地球環境問題のむずかしさ

グローバルな環境問題には、ローカルな問題とは違ったむずかしさがあると思う。これまでこのブログで書いてきたことと部分的に重なるが、STS学会シンポジウム企画を考える材料として、ひとまず3つに分けて書き出してみた。根拠を示せることと漠然と思ってい…

STS学会シンポジウム準備遅れのおわびと当面の状況

2013年暮れ、[2013-12-17の記事]のように、科学技術社会論(STS)学会2014年シンポジウムの企画を提案し、その準備のためメーリングリストを作ると申しました。しかしその後、約4か月にわたって、わたしの作業がとどこおり、メーリングリストに参加したいと言…

論文の内容に含まれる不正の対策と、査読という制度と

学術研究の不正のうちで、論文などの形で研究成果を発表する際に起こるもので、一般社会の法律その他の規範に反するかどうかはともかく、学術共同体の規範に反するものとして、捏造[ねつぞう]や改竄[かいざん]、 盗作、authorshipの誤用(著作に責任をもてな…

授業レポートや論文での他人の著作の盗用・いわゆる「コピペ」について

ある大学のある教員が指導して博士号をとった人たちの博士論文に、他人が書いた文章がほぼそのまま出典を明示せずに含まれていた、ということが報じられ、議論のまとになった。わたしは日本語圏で話題になった件について内容に立ち入って見ていないが、英語…

研究者が勤務中に書いたものはだれのものか

[前の記事]で「2」として予告した件。(自分の経験に基づくことと、経験から遠いことについて想像で述べていることや、希望を述べていることが混ざってしまっている。)法人に雇われている研究者について、「実験ノートは法人のものであり、研究者が自由に持ち…

研究過程の記録の必要性とそれについての悩み

研究不正の疑いが濃い事件が起こり、ネットメディアだけでなく(日本の)マスメディアで大きくとりあげられている。わたしはその事件について論評するつもりはない。ただ、それをめぐる人々の論評のうちに、科学研究一般の規範を論じているものがある。それは…

人為起源気候変化とその対策とくに気候工学の位置づけに関する根本的考察 (発表予稿)

2014年4月におこなわれる日本地球惑星科学連合(http://www.jpgu.org/)の大会の、科学論のセッション(M-ZZ45「地球科学の科学史・科学哲学・科学技術社会論」)に、発表を申しこんだ。予稿をこの下につける。「根本的」というほど考えは深まっていないのだけれ…

初期値、初期値問題、initialization

時間の関数(あるいは時間と空間座標との関数)となる数量に関する微分方程式または差分方程式で表現される問題のうちには、ある時刻(便宜上 時間座標の原点 t = 0 とされることが多い)での条件が与えられるとそれ以後(t > 0)の値が決まるようなものがある。こ…

地球温暖化をとらえる枠組みを考えなおすいくつかの論点

[まとまらない思考を書きだしたもの。とくにことわらずに修正するかもしれない。]地球温暖化は必ずしもわたしの興味の中心ではないのだが、わたしが専門家としてコメントできる代表的話題ではある。その話題に関する「正しい議論」がひととおりにしぼれると…

ジオエンジニアリング、気候工学、意図的気候改変(2)

[2013-11-03の記事]の話題の続き。Boucherほか(2014)のレビュー論文を読んだ。著者は、イギリス、フランス、ドイツ、スイスを含むヨーロッパの研究者たちである。地球温暖化の対策は、「緩和策」(mitigation)、「適応策」(adaptation)、「ジオエンジニアリン…

エセ科学(ニセ科学)批判と科学論との両立

2014年1月8日にわたしはTwitterに次のようなことを書いた。 ある主題に関する評論が出ると、ある人々は全面賛成であるかのような、ある人々は全面反対であるかのようなコメントを書く。その評論が話題になり続けると両グループは憎みあい続けることになりか…

エネルギー基本計画に対する意見に対する意見

国の総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会が2013年12月に「エネルギー基本計画に対する意見」という報告 http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonseisaku/report-1.pdf をまとめた。これはエネルギー基本計画改訂の原案であるらしい。これに…

寝台車

わたしは、(関東を本拠として)北海道にこれまでに20回くらい行っているが、飛行機に乗ったことは1回か2回だけだ。昔は座席列車と連絡船だった。青函トンネルができてからは、夜行の寝台車に乗った場合と昼間の座席列車に乗った場合がある。仕事をたくさんか…