macroscope

( はてなダイアリーから移動しました)

2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

種とニッチの共進化

「種(しゅ)とニッチの共進化」という語句をどこかで聞いた(あるいは読んだ)と思うのだが、どこだったか思い出せない。あるいは、別の形で述べられていたのをわたしが表現しなおしてしまったのかもしれない。わたしは生物の進化に関心はあるのだが、それに関…

シェールガス開発は慎重に

石油に続いて天然ガスも産出量ピークを迎えるのではないかと考えられてきたが、ガスのほうは最近になって産出量がふえる見通しが出てきた。それはおもにシェールガス(shale gas)の開発が可能になったからだ。シェールというのは頁岩(けつがん)という岩石だが…

原子力安全庁に暖かい応援を

内閣府にある原子力安全委員会、経済産業省にある原子力安全保安院、文部科学省にある原子力安全関係(放射能モニタリングなど)の部門を合わせて「原子力安全庁」とし環境省の下に置くという構想が示された。制度いじりだけでは意味がなく、むしろ変えないほ…

これはペンです

「これはペンです」という題名の小説が話題になっているが、わたしはそれを読んでいないし、これから読む予定もない。ここに書くのはその小説とは関係なく、「これはペンです」という文について思い出したことだ。1970年に中学生になったわたしは「This is a…

第4期科学技術基本計画が決まった

内閣府の「科学技術政策トップ > 科学技術基本計画 > 第4期科学技術基本計画」 のウェブページhttp://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/kihon4.html によれば、 【平成23年8月19日】第4期科学技術基本計画(PDF)が閣議決定されました。 とあり、http://ww…

二酸化炭素回収隔離貯留(CCS)について考える時だ。しかしだれが言い出すかがむずかしい。

地球環境問題は気候変化だけではなく、気候変化は温室効果の強化による温暖化だけではない。しかし、現代の人間社会は気候変化に対して弱いので、温暖化をなるべく小さく食い止めるべきだ。その対策の本筋は、化石燃料の消費を減らすことだ。これは、現代の…

IPCCは第5次報告書を出したあと発展的解消を

IPCC (気候変動に関する政府間パネル http://www.ipcc.ch )の将来についてのわたしの考えは、[2010年3月5日の記事]に書いたのと基本的に変わらないが、関連する世の中の動きに応じた改訂をして述べる。現代の人類社会は、気候変化への対策、生物多様性・生態…

再生可能エネルギー全量固定価格買い取りは暫定特別措置に限って賛成 (ふたたび)

[6月23日の記事]に書いたことだが、要点だけくりかえしておく。再生可能エネルギーの取得を奨励するため、再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が買い取る制度を、国の政策として進めることには、賛成する。ただし、発電された電力を電力会社が即時に…

日本の北西の海を「東海」と呼ぶのは無理がある

前に[ある本の読書ノート]の一部として書いたことと重なるが、関連するニュースを見たので、もう少しふくらませて書く。日本列島の北西側、ユーラシア大陸との間にある海は、日本語では「日本海」、英語では「Sea of Japan」と呼ばれている。こう呼ぶからと…

ヒマラヤの氷河の縮小:確かな情報

こちらは本来の意味のヒマラヤの氷河に関する研究のニュースです。名古屋大学の藤田耕史さんと縫村崇行さんによる論文が、アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)に出ました。印刷版が出る前のオンライン公開です。[2012-12-29改訂: 正式版への参照に変えておきま…

チベット・ヒマラヤの氷河は十億人の水資源なのか (ふたたび)

IPCC第4次報告書(2007年)の第2部会の巻には「ヒマラヤを含むアジア高地の氷河のとけ水に頼る人口がなん億人もいる」という趣旨の記述があるが、これはまちがっている。出典となる文献の知見に忠実に述べれば、「氷河のとけ水」を「積雪および氷河のとけ水」…

朝鮮人民に連帯し、すべての核兵器の廃絶をめざす

これは明らかに政治的な主張である。科学者という職種からの発言ではない。もちろん勤務先とは関係ない個人としての発言である。わたしは「8月は戦争を思い起こす季節」という第2次大戦後日本の文化現象の中で踊らされているにちがいない。ただしわたしはこ…

科学技術イノベーション? (3) 成長戦略から脱成長戦略へ

「イノベーション」ということばが題名にはいった本をさがすと、その大部分は企業の経営者か技術開発担当者向けのようだ。Schumpeterのいう「企業家」となって「新結合」を実行するにはどうしたらよいか、という話なのだろう。国の政策としてのイノベーショ…

科学技術イノベーション? (2) 新結合の遂行、技術革新

わたしは、人間社会を持続可能なものにしていくために、ある種の政策が必要だと思っている。それは科学技術イノベーション政策と言ってもよさそうだが、今どきの科学技術政策家が科学技術イノベーション政策と言うとき想定されているものとは、ずれているよ…

科学技術イノベーション? (1) 第4期科学技術基本計画の素案から

現代の人間社会は科学技術を必要としている。【科学と技術は本来別々なものであり、おそらく19世紀なかばまでの人には「科学技術」という表現は意味をなさなかったと思うが、今の同時代人の間では大筋で共有可能な意味をもっていると思う。】 人間社会を持続…

新成長戦略などと言っている場合ではない。脱成長戦略だ。

震災後の今こそ、長期的視野で国の政策の基本を見なおす機会だと思う。何かの量の成長率が正の一定の値をとることが続くということは、何かの量が時間とともに指数関数的に大きくなっていくことになる。人間社会は物理的に有限の地球環境の中にあるので(宇宙…