こちらは本来の意味のヒマラヤの氷河に関する研究のニュースです。
名古屋大学の藤田耕史さんと縫村崇行さんによる論文が、アメリカ科学アカデミー紀要(PNAS)に出ました。印刷版が出る前のオンライン公開です。[2012-12-29改訂: 正式版への参照に変えておきます。doiはオンライン公開のときについたものが変わらないのですね。]
- Koji Fujita and Takayuki Nuimura, 2011: Spatially heterogeneous wastage of Himalayan glaciers (ヒマラヤの氷河の空間的に不均一な消耗). Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 108, 14011-14014. doi:10.1073/pnas.1106242108 .
http://www.pnas.org/content/early/2011/07/25/1106242108.abstracthttp://www.pnas.org/content/108/34/14011.abstract
ネパールのRikha Samba、Yala、AX010という3つの氷河について、2008-2010年の著者たち自身による測量と、1970年代以来の調査記録を合わせて、氷河の質量収支の変遷を計算しています。いずれの氷河も質量が減っていますが、減りかたは一様ではありません。また、3つの氷河を合わせてみると、1980・90年代には世界平均よりも速く縮小していたのですが、2000年代には世界のほうが追いついてきたようで同程度の縮小になっています。