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2013-01-01から1年間の記事一覧

「地球温暖化問題と科学コミュニケーション」シンポジウムの感想(2)

2013年9月27日に、北海道大学CoSTEPと科学技術社会論(STS)学会によるシンポジウム「地球温暖化問題と科学コミュニケーション」が開かれた。わたしは[2013-09-30の記事]で感想を述べた。なお、そのシンポジウムのために事前に用意された「ガイドブック」とい…

(空)

福祉、welfare、厚生

日本では外食や衣服のうちに(日本人の所得分布のうちでは比較的に)貧しい人でも買えるような値段のものがあることを、日本型の福祉である、というふうに述べていた人がいた。わたしはその認識が正しいかどうかわからないが、仮に、比較対象となる国では社会…

気候変動についての政策決定にとっての科学者の役割

[2013-12-19の記事]では、そこでふれた2回の講演で話した内容のうち、気候変動についての政策決定にとっての科学者の役割に関する話題を省略した。それは、「地球環境問題解決に向けて期待される、専門知識をもつ人の役割」[2013-09-02の記事(STS学会予稿)][…

地球温暖化の見通しは、確かであり、不確かである。

地球温暖化の話題に対して、その分野の科学的知見の状況を知っている者として、「地球温暖化の見通しは非常に確かなのだ」と言いたくなることもあるし、「地球温暖化の見通しは非常に不確かなのだ」と言いたくなることもある。それだけ切り離して示されると…

順問題と逆問題

わたしの頭の中の辞書では、「順問題」「逆問題」の意味はだいたい次のようになっている。 「順問題」(forward problem): 原因から結果を知ろうとすること 「逆問題」(inverse problem): 結果から原因を知ろうとすること これは気象学を含む地球物理学の分野…

科学技術社会論(STS)学会2014年度シンポジウムの企画

科学技術社会論(STS)学会2014年度シンポジウムの企画案については、[2013-11-17の記事]でも述べましたが、学会のニュースレターに出すために趣旨説明を書きなおしましたので、その文章をこの下にものせます。 - - -2014年のシンポジウムは、2014年6-7月ごろ…

NUSAP - 数値、単位、広がり、評価、由来

社会の中で使われる科学的知見の不確実性の表現として、NUSAPというものが提案されている。ICA-RUS(地球規模の気候変動リスク管理戦略の構築に関する総合的研究)、とくに藤垣裕子さんを中心とするその「テーマ5」では、実際にこれを使ってみようとしており、…

デマケ - 出負け?

中央官庁の人を主とする会話の中で、「デマケ」ということばがとびかっていた。わたしには「出負け」と思えたが、それでは意味が通じるような通じないようなだった。わたしも会話に加わる必要が生じた際に、これは英語のdemarcationからきたことばだと教えて…

「6つのアメリカ」: 気候変動についてだれにはどのように話すかについての研究例

ICA-RUS(地球規模の気候変動リスク管理戦略の構築に関する総合的研究)の研究集会で、Edward Maibach氏の話を聞いた。Maibach氏はSkypeによる遠隔参加だったが、日本側担当者との綿密な打ち合わせのおかげで、有益な議論ができたと思う。Maibach氏はGeorge Ma…

いわゆる健康食品の問題、資本主義政策への疑問

[2013-12-01]の記事で述べた、日本科学者会議 東京科学シンポジウムのニセ科学問題分科会で聞いた話のうち、いわゆる健康食品あるいはサプリメントに関する問題について、もう少し考えてみた。健康食品というのははっきり定義された概念ではない。日本の法制…

なぜ、どのように「気候工学」(ジオエンジニアリング)に関する研究をするか

わたしは、「気候工学」(ジオエンジニアリング)[2013-11-03の記事参照]に関する研究にかかわっている。その一部は、環境省の環境研究総合推進費S-10「地球規模の気候変動リスク管理戦略の構築に関する総合的研究」(ICA-RUS) http://www.nies.go.jp/ica-rus/ …

科学技術社会論(STS)学会2014年度シンポジウムの企画案(補足)

科学技術社会論(STS)学会2014年度シンポジウムの企画[2013-11-17の記事]の準備として、連絡先メールアドレスを設定した。関心のあるかたは sts2014symp @ mld.nifty.com [mldはエム、エル、ディー]にご連絡ください。

「ニセ科学問題」から「学説優良誤認問題」(仮称)へ

日本科学者会議東京支部の東京科学シンポジウムの「ニセ科学問題」の分科会に参加した。この分科会については、天羽優子(apj)さんによる実況tweetがあり、parasite2006さんによってhttp://togetter.com/li/597312 にまとめられている。ここに書かれていない…

リニア(linear)、リニア モデル(linear model)

数理科学のリニアモデル英語のlinearは、いくつもの専門分野で、共通した特定の意味に使われる。この「いくつもの専門分野」を「数理科学」と総称しようと思った。しかし、この用語は数学を応用した方法を使う科学をさすのだと思うが、その数学が集合論・ト…

デフォールト(default)

計算機に仕事を指示するとき、詳しい指定をすることもできるが省略することもできるようにソフトウェアを設計することが多い。詳しい指定を省略したときの動作をdefault actionという。日本語では「省略時動作」ともいうが「デフォールトなになに」(「なにな…

地球温暖化の直観的とらえにくさ

地球温暖化という問題があることは多くの人が知っているが、それが社会のいろいろな問題のうちで重要だと考えている人はあまり多くないようだ。これは、いろいろな意味で無理もないことだと思う。まず、用語の問題がある。「地球温暖化」と表現すると、地球…

科学技術社会論(STS)学会2014年度シンポジウムの企画案

科学技術社会論(STS)学会の2014年度シンポジウム企画担当になった。次のような案を2013年11月16日の理事会で認めていただき、総会でも趣旨説明した。今後改訂して、学会ブログhttp://blog.jssts.jp などで広報する予定。それに合わせてわたしのブログでもお…

地球環境問題解決に向けて期待される、専門知識をもつ人の役割 (STS学会発表)

[2013-09-02の記事]で予稿を示した発表をした。予稿から発表の間に追加した情報 気候変動政策に科学がかかわる国際的なしくみ[説明図] 「第1」 2012年日本でのエネルギー政策に関する国民的議論の例 エネルギー・環境戦略 市民討議 実行委員会(2012) 市民の…

高潮と津波、そして気象津波なるもの

フィリピンで強い台風による大きな被害が出てしまった。おもに高潮によるようだ。被災地の映像を見て「津波のようだ」というのはよいのだが「津波だ」といわれると訂正しておく必要を感じる。「津波」と「高潮」は原因で区別していて、地震によって起こるの…

森林を育てるには「植林」を奨励しないほうがよいのかもしれない

2012年11月16日に「宮脇昭氏の「森の防波堤」論をめぐる暫定的考え」を書いてから追いかけていなかったのだが、最近Twitter上で話題になっているのを見た。 Togetterで次のようにまとめられている。 leaf_parsley さんの「緑の防波堤」 (2013年11月6-7日のmo…

予測(予報、予知)に向かう科学の目標再設定

【いくつか別々に考えてきたことに共通の問題があると思ったので、ひとまず総論的に述べてみる。】人間は、将来起こることの予測情報を求める。【「予測」「予報」「予知」などのことばは、少しずつ違うが重なり合った意味に使われる。ここではそれを「予測…

科学基礎論学会「シミュレーション科学の哲学的基礎」の覚え書き

2013年11月2日、科学基礎論学会 2013年度秋の研究例会 http://phsc.jp/conference.html のワークショップ「シミュレーション科学の哲学的基礎」に出席した。わたしは会員ではないのだが、当日の朝知って間に合うことに気づき聞きに行った。シミュレーション…

大気大循環シミュレーションによる知識の位置、とくに荒川差分スキームについて

[別記事]で述べた科学基礎論学会のワークショップ「シミュレーション科学の哲学的基礎」の(たぶんワークショップの本筋ではない)ひとつの話題について考えたことを書く。田名部 元成(たなぶ もとなり)さんの講演「シミュレーションのシステム哲学的基礎」の…

ジオエンジニアリング、気候工学、意図的気候改変

2013年9月27日、IPCC第5次報告書(第1部会の部)が発表された際の日本の文科省・経産省・気象庁・環境省共同報道発表文(http://www.jma.go.jp/jma/press/1309/27a/ipcc_ar5_wg1.htmlからリンクされたPDF) には「ジオエンジニアリング」ということばが出てくる…

めがねを忘れた

ある日、講演を聞こうとして、めがねを持っていないことに気づいた。前日も講演を聞いたので(講演する側でもあったのだが)そのときめがねを使ったことは確かだった。前日の帰りに落としてしまったのではないかと心配したが、(上着のときとは違って)家に忘れ…

上着をなくした

10月下旬、日本のA地から、熱帯のB地、C地をへてD地まで出張した。行きのB-C間の飛行機の中で、家を出たときには着ていたはずの上着がないことに気づいた。A-B間の飛行機の中か、A空港、B空港それぞれの出発ゲート待合室に置き忘れた可能性が高いと思った。D…

QWERTY (2)

[前の記事]に、思いがけず、参照した論文の著者の安岡孝一さんからコメントをいただいたので、もう少し調べてみた。(ただし「少し」であって「詳しく」ではない。この主題についてはわたしは気にかけつづけるつもりではあるが、本気で調べるかどうかは、まだ…

ジャパンスケプティクス公開討論会「EMについて考える」の感想

2013年10月13日、東京・目白の学習院中・高等科で開かれたジャパン スケプティクスhttp://www.skeptics.jp/ の公開討論会「EMについて考える」http://www.skeptics.jp/news/63-em-symposium.html に出席した。(ただしわたしは主催団体「ジャパン スケプティ…

QWERTY

現在のコンピュータ用のキーボードのアルファベットの配列は、英語用の場合で言えば、左からQWERTYと文字がならんでいる。(日本語用キーボードでは、かなが加わり、記号類の位置が英語と違うところがあるが、アルファベットに関しては英語用と同じものが使わ…