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2013-01-01から1年間の記事一覧

滞在強い

「空耳、空目、誤変換」の「誤変換」は日本語のキー入力から漢字への変換のまちがいをさすつもりだったのだが、言語間の機械翻訳の変換のまちがいも同類なので、この分類に含めることにしよう。2013年9月30日、nofrillsさんによる「NAVERまとめ」の「英語圏…

「地球温暖化問題と科学コミュニケーション」シンポジウムの感想

2013年9月27日(金)の晩に札幌で開かれた、北海道大学CoSTEPと科学技術社会論学会の共催によるシンポジウム「地球温暖化問題と科学コミュニケーション --哲学者・科学者・社会学者が闘論--」に参加した。シンポジウムのウェブサイトは開催後移動して、現在はh…

いわゆる「化学物質過敏症」、鈍い意味と鋭い意味、学説過信

【この記事はまだ書きなおす可能性があり、その際に当初の形を残すことを約束いたしません。】「(多種類)化学物質過敏症」(英語ではmultiple chemical sensitivity、MCS)あるいは本態性環境不耐性症(idiopathic environmental intolerance、IEI)と呼ばれる病…

鋭い用語づかいと鈍い用語づかい

科学の中での議論を含むがそれに限らず、理屈をたてた議論をするときには、相手との間で用語の意味がだいたい一致していないと議論がすれちがう。現実世界で起こっていることの認識が一致していても、何がAであり何がBであるかの認識が一致していなければ、…

科学者が安全寄りのことを言っても全面不信にならないでほしい

【この記事はまだ書きなおす可能性があり、その際に当初の形を残すことを約束いたしません。】東日本大震災以後たびたび、「科学」あるいは「科学技術」全体に対する否定的意見と、それに反発する科学者側の言いぶんとが対立している状況が見られる。これは…

デマ

ネット上(twitterやブログなど)で「デマ」という表現をよく見かける。[前の記事]で導入した用語を使うと、「鈍い用語づかい」で、「事実に反するうわさが伝わり、それを事実と思った人の行動に影響を与えること」ぐらいの意味で使われていることがあると思う…

びっくりする画像が出まわるのは放置してはおけない

2013年8月23日、「福島の汚染水で太平洋は終り」ということばがtwitterで伝えられているのを見た。【わたしは「これで太平洋が終わりならばビキニ水爆ですでに終わっている。」とつぶやいた(tweetした)。ただし「だからといって、水爆実験をどんどんやってい…

気候科学者の政策に対するかかわりかたのわかりにくさとわたしの考え

9月27日(金)の晩に札幌で、北海道大学CoSTEPと科学技術社会論学会の共催によるシンポジウム「地球温暖化問題と科学コミュニケーション --哲学者・科学者・社会学者が闘論--」が予定されている。そのウェブサイト http://forum.hucc.hokudai.ac.jp/sympo/ htt…

地球温暖化に関する議論

地球温暖化に関するコメントをつけるための記事です。

「学説過信」 -- いわゆる「ニセ科学」問題の論点整理の試み

2013年3月10日の記事[「ニセ科学」と仮称される問題群の論点整理の試み]に続いて考えたこと。金森(2013)の論文を読んで、その中に出てくる「科学的イデオロギー」という概念が参考になると思った。【金森氏のこの論文は、2013年5月に開かれた日本哲学会のシ…

改革開放?

近ごろ、(日本国内の)鉄道の駅で電車を待っていると、おそらく同じ録音の再生で、何度も、「カイカクカイホー」と聞こえるアナウンスがあった。「改革開放」といえば中華人民共和国の1980年代の政治スローガンだ。ただし、わたしはその時期に中国に行ってい…

地球環境問題解決に向けて期待される、専門知識をもつ人の役割 (STS学会予稿)

【科学技術社会論(STS)学会2013年大会(11月16-17日)の講演予稿。(学会に提出した予稿に含まれないリンクを追加する。)】人間社会は自律性をもったシステムだが、物質・エネルギーの流れに関する限り地球環境システムの内にある。人間社会は各地の環境を制約…

「温暖化の発見」原書出版から10年、残された問題

わたしは、ワート(Weart)著『温暖化の〈発見〉とは何か』という科学史の本(原書2003年、日本語版2005年)の共訳者である。翻訳の作業の大部分は翻訳業の熊井ひろ美さんによるもので、わたしは専門的内容のチェックを担当した(したがって「訳者」と紹介される…

「風立ちぬ」

「風立ちぬ」という映画が話題になっている。わたしは映画を見る習慣がないし、宮崎駿(はやお)監督にもとくに興味がない。航空工学の中身に立ち入った話ならば、気象学の歴史にもかかわる可能性があるのだが、うわさによればそうではなさそうだ。関東大震災…

解氷

テレビのチャンネルを自然ドキュメンタリーに変えたら、「カイヒョー」ということばが聞こえた。動物の話だったらヒョウ(豹)の一種かと思ったかもしれないが、そうではなかった。氷らしいものが出てきたので、海氷のことだと思った。【これは気候システム専…

DIASの制度設計失敗に関するメモ

ここでいう「DIAS第1期」は2006-2010年度に文部科学省の事業「海洋地球観測探査システム」の一部として実施された「データ統合・解析システム」、「DIAS第2期」は2011-2015年度の事業「地球観測データ統融合プログラム」をさしている。現在、DIAS第2期の活動…

地球環境問題解決に向けて期待される、専門知識をもつ人の役割 (序論)

科学技術社会論(STS)学会の2013年大会は11月16-17日に東京工業大学大岡山キャンパスで開かれる。その講演しめきりは8月9日だった。そこでは400字以内の要旨を出し、9月2日までに2ページの予稿を出すことになっている。わたしは「地球環境問題解決に向けて期…

政策への助言者としての学者、とくに学術会議の役割

2013年8月7日、学術会議で開かれた「学術フォーラム『社会の中の、社会のための科学技術イノベーションの推進』」に出席した。総合科学技術会議、学術会議、科学技術振興機構の研究開発戦略センター(CRDS)の共催であり、会議の情報はこのウェブサイトにある…

スーパーグローバル大学

2013年7月末ごろ、「文部科学省が、いくつかの大学を『スーパーグローバル大学』化するという事業を始める」という趣旨の報道があった。あとでウェブ検索をすると、報道記事はいくつか見つかるが、文部科学省からの新しい発表は見つからず、少し前の5月28日…

子ども/子供

「日本教育新聞」2013年7月15日号に 「子ども」表記を「子供」に -- 下村文科相 公用文の統一指示 という報道記事が出ていたことを7月24日に知った。下村文部科学大臣が、「子ども」という単語の文字表記を「子供」とするように文部科学省内に指示したのだそ…

人間力

2013年7月25日、下村文部科学大臣の発言をきっかけに、「人間力」ということばが話題になった。わたしが27日ごろまでにTwitter上のいろいろな発言を見て考えたことをまとめておく。Twitter上の発言者のお名前はひとまず出さない形にしておく。「人間力」とい…

ベテランプログラマーの出番か? 応用科学史家の出番か?

IT

わたしが自分が「ベテラン」の情報処理職人だと思ってからしばらくして、本物のveteran (アメリカの退役軍人)と情報処理技術のからんだニュースに出会った。 Slashdot日本語版 http://it.slashdot.jp/story/13/07/14/0555217/ COBOLで書かれた米国防総省の給…

ベテラン

ひとつ前の記事(のもとになったプレゼンテーションファイル)を書いたとき、ふと、自分は「ベテラン」だと言いたくなったのだ。1960年代の子どもとして、わたしは日本語に「ベテラン」ということばがあることを知った。おもにスポーツの報道で使われていたが…

地球環境データ統合解析の場について、ベテランからの提言

IT

データ統合解析の場について 1980年代に地球環境ビッグデータユーザーだったベテランからの提言2013年6月21日に作成してまだ使う機会がなかったプレゼンテーションファイル。[2013-12-21改訂] これまで画像で示していたが、HTMLテキストに変えて、[別のウェ…

ぶんか

「文化」「文科」「分化」「分科」は4つともわたしの科学論には必要なことば。聞いて区別できないのでどれかひとつを残してほかのことばで置きかえたいのだが、なかなかよい表現が見つからないまま使ってしまっている。(「文科」は自分が積極的に使う概念で…

気候モデリング研究者の(複数の)思考様式 (Shackley 2001)

[6月26日の記事]で紹介したNorton and Suppeの論文がのっているMiller and Edwards (2001)の本の別の章。Norton・Suppe両氏は哲学者だが、Shackley氏は社会学者で、科学社会学あるいは知識社会学に分類されると思う。他の著作を検索してみると、地球環境問題…

「シュミレーション」から「しむらし」へ

「シミュレーション」ということばを連発してしまったが、わたし自身、日本語の会話の中でこの単語を正確に発音できる自信がない。もっと短い形にならないかと思う。2008年に[このような記事]を書いた。

気候という分野のシミュレーションの特徴

気候の予測型シミュレーションに使われるモデルの位置づけは、シミュレーション一般と分けて考える必要があるかもしれない。ここでは、シミュレーションモデルとして、現実世界の数量と定量的に関係づけられるような変数を含んでいるものを考える(すべての変…

シミュレーションによる科学的知見の意義 (Norton and Suppe 2001)

地球温暖化に関する政策決定の材料として、科学的知見が使われているが、そのうちでも予測型のシミュレーションで得られた知見が重要な位置をしめている。ところが、ときどき、専門家から見て信頼できないと思われるシミュレーション結果の細部まで、信頼で…

科学周辺論のすすめ (Ken Alder 2013 の "episcience")

わたしは現代の科学(理科系に限らないので「学術」というべきかもしれないがここでは便宜上「科学」とする)のありかたについての検討がもっと必要だと思う。いわば「科学の科学」が必要なのだ。ただし、科学のありかたのひとつの重大な問題は専門分化の行き…