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ベテラン

ひとつ前の記事(のもとになったプレゼンテーションファイル)を書いたとき、ふと、自分は「ベテラン」だと言いたくなったのだ。

1960年代の子どもとして、わたしは日本語に「ベテラン」ということばがあることを知った。おもにスポーツの報道で使われていたが、その他の職種にも適用できるようだった。何かの専門的技能を使った仕事の経験を積んだ人、というような意味で、「新人」と対照されることばだ、というように理解した。ただし、自分からこのことばを使うことはなかったと思う。

おとなになってから、このことばは英語の veteran から来ていると知った。これは熟練者という意味もあるが、アメリカ合衆国では退役軍人をさす。アメリカではveteranの団体は政治にかなりの圧力をかける団体であるらしい。

そして、わたしはある種類の情報処理の専門的技能について自信をもち同業者の間でも頼りにされた職人であった時期があった。

しかし、情報処理の技術は急速に発展し、わたしはその進展についていけなくなった。今や、この分野の職人の募集があっても、わたしの能力でつとまるものは少ない。

わたしは、親の世代ならば定年となるはずだったとしになったが、今の時代、まだ職業人から引退するには若い。しかし、情報処理の職人としては、日本語の「ベテラン」というよりはむしろアメリカ英語の veteran のようなものになってしまったような気がする。

だが、veteranの経験を背景とした発言が必要とされることもあるような気もする。