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2011-01-01から1年間の記事一覧

遺伝子組みかえ作物についてわたしはこのように心配する

遺伝子組みかえはわたしにとって専門の外だ。しかし、気候変化への適応とか、バイオマス資源とかに関連して、遺伝子組みかえ技術を使う計画があった場合に賛同するか反対するかを考えなくてはならないことはある。遺伝子組みかえを受けた作物からできたもの…

TPPの件、ダムの件

前に書いたものが見つかりにくくなってしまったのでリンクだけ示しておきます。TPP (環太平洋戦略的経済連携協定)に関するわたしの意見は [2月5日の記事「TPP貿易協定には自然資本保全条項(ナチュラル・ダンピング関税など)が必須」]から基本的に変わってお…

納豆、たれ、からし

納豆は、植物性タンパク質を消化のよい形にした食べ物だ。人によってすききらいがあるが、わたしはたびたび食べるほうだ。ただし、スーパーマーケットにならんでいる納豆を見て、買うのをためらうことが多い。ひとつの理由は容器だ。「わらづと」や竹の皮を…

自動販売機

現代日本はおそらく世界のなかでいちばん自動販売機が普及しているところだと思う。電車の切符の販売機など(この場合は、電車にのることが必要な人にとってだが)生活に欠かせなくなっていることも多い。個人差もあると思うが、わたしは、人と対面で買うこと…

国家戦略会議に「学」の視点を

野田内閣が「国家戦略会議」をつくるという報道があった。わたしが見たのは読売新聞10月6日朝刊だった。このリンク先は goo だが、同じ記事を伝えているようだ。自民党(を主とする連立)の小泉内閣のときの「経済財政諮問会議」と同じではないかという声もあ…

都心の国家公務員宿舎は業務継続計画の立場で活用を

政府(財務大臣)が東京の都心部にある国家公務員宿舎を手離す(売る)決断をした、と報道されている。慣例で「宿舎」と呼ばれているがその多くは実質的に賃貸住宅だと思う。賃貸料がその地域の相場より安いことが公務員の特権として非難されているにちがいない…

政党は政策理念によって結集しなおすべきだ

たとえば 永代党: 持続可能性・子孫の世代の生きる権利を重視 共栄党: 公平性を前提として実現可能な豊かさを重視 自助党: 自由を重視、政府の役割を最小化

UTCPシンポジウム「脱原発シナリオをアセスメントする」

10月2日、UTCPシンポジウム「脱原発シナリオをアセスメントする」http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2011/10/symposium_on_nuclear_power_pla/ に出席した。UTCPとは東京大学「共生のための国際哲学教育研究センター」だ。次の講演と総合討論があった。 井…

飛行船は何で浮くか

9月28日の記事で、飛行機にそう簡単に乗れない世の中が来るだろうと述べたが、これは必ずしも、空を飛ぶことができなくなることを意味しない。飛行船、つまり駆動機構のついた気球という手段もあるからだ。飛行機は空気から揚力を得るためにも内燃機関エンジ…

人工衛星が降ってくるという災害

アメリカの高層大気観測衛星UARSが落ちてきたことは、話題としては知っていたのだが、詳しく追いかけないでいた。自分のいるところに落ちてきたらこわいことだが、確率が高くないので心配してもしかたがないという気分だった。寺門和夫さんのブログに9月26日…

地球外知性からの合成音声 (予想)

ド ヨウ スペアク エングリスヒ? ウェ ウンデルスタンド タハト ヨウ ウセ プホネティチ アルプハベツ、アンド ウェ エスティマテ テヘ モスト リケリ ソウンド フォル エアチヒ レッテル。 ド ヨウ ヘアル メ?リー ベンヌ ユー ウォ オ フア シ ニ ナ リ マ…

海外出張・旅行は1か月がかりの時代がまた来る

小宮山(1999, 69ページ)の言いかたによれば「水平輸送のエネルギーの理論的極限はゼロである。」しかし現実には、われわれのエネルギー資源消費のうち、かなりのものは移動・輸送のために使われる。とくに飛行機は、移動距離あたりのエネルギー資源消費が大…

エネルギー資源の問題三角(トリレンマ)についての個人的意見

エネルギー資源に関する政策の課題は、英語の頭文字で3E (energy=エネルギー、environment=環境、economy=経済)の三つの角(つの)をつかむ問題(tri-lemma)だと言われることが多い。ここで「energy」はエネルギー供給の確保をさし、「energy security」と書か…

「河川流出モデル・基本高水の検証に関する学術的な評価」について

9月28日、日本学術会議の土木工学・建築学委員会の下に作られた「河川流出モデル・基本高水評価検討等分科会」の「河川流出モデル・基本高水の検証に関する学術的な評価」(回答)の公開説明会を聞いた。これは科学者による政策決定への助言を日本学術会議とい…

論理的に言えること、言えないこと

次のような議論をする人がいるようだ。 原子力利用推進論者が「二酸化炭素は地球温暖化を起こす」と言っている。 原子力利用推進論者の言うことは信頼できない。 したがって、二酸化炭素は地球温暖化を起こさないにちがいない。 1は(「すべての」ではなく「…

下町トリアージ

地球温暖化に伴う海水準の上昇が避けられないことになりそうだが、その数量は、人間活動からの温室効果気体排出の不確かさに加えて、大陸氷床の融解や海洋深層の熱膨張のプロセスに関する科学的知識の不確かさもあって、あまりよくわからない。IPCC報告書な…

理系知識人と文系知識人の発想について

安井至氏のウェブサイト「市民のための環境学ガイド」の9月18日の記事「内田樹氏と藤原正彦氏の主張」の中に、藤原氏の著書「日本人の誇り」の論点を参考にした、文系知識人と理系知識人の発想の違いの議論がある。理系の側から、文系知識人の議論のしかたに…

津波火災、エネルギー貯留担体に関する注意

これもテレビ番組を見て考えさせられた件。NHKテレビ9月11日21時(15日0時15分の再放送を見たのだったかもしれない)の「NHK特集『巨大津波』」を見て、東日本大震災の被害のかなり重要な部分が「津波火災」によっていたことを知った。地震の揺れに伴って火事…

日本の原子力発電の歴史、津波に負けた理由

題目にした話題の全般の話ではなく、テレビ番組とそれを見た感想の覚え書きである。NHK教育テレビの、2011年9月18日22時から23時半までの「ETV特集:原発事故への道程(前編)」を見た。前編はサンフランシスコ講和(1952年)から東京電力福島第1原子力発電所建…

ダム建設はその目的から考えなおそう

やんばダム【わたしは「八ッ場ダム」と書くことを避けたい。理由は[別記事参照]】についてのニュースがあった。「国土交通省が他の策と費用の比較をした結果、ダムのほうが安上がりになることがわかった」というような話らしかった。情報もとは国土交通省河…

経済成長へのこだわりを捨て、再生可能エネルギーに適応しよう

原子力発電所の事故をきっかけに、地球温暖化(の原因)は加速してしまったにちがいない。(直接の被災地以外の)日本の(そしてたぶんほかの国の)人々が、エネルギー資源の消費をいくらか節約はしたが、産業構造を変えてまで減らすことはせず、原子力による電力…

やんば? やつば? Yabba? Yappa?

ダムについて論じようと思ったのだが、その例のところに注釈をつける必要があるので、それを先に書く。建設が中断されているダム(になる予定のもの)のひとつの名まえが、文字では「八ッ場ダム」と書かれている。しかし声では「ヤンバダム」というのが正しい…

すべての白鳥は白いか

英語で、論理について説明するとき、次の例文にたびたび出会う。 All swans are white. だれが言い出したのかは知らないが、わたしが出会ったのはKarl Popperの仮説反証主義といわれる科学方法論の話題でだった。人はすべてのswanを観察しつくすことはできな…

「北京」をベイジンと読むべきか

わたしの今のところの結論は「ペイチン」が適切というものだ。真山仁の小説「ベイジン」[わたしの読書メモ]の題名は「北京」をさすのだが、とくに、中国がオリンピックを機会に北京をBeijingというつづりとともに世界に売り出したことをさしている。このよう…

万能薬症候群

世の中に、科学的に考える人の多くがまちがっていると判断する言説が、流行することがある。まちがい自体は常にありうることだ。まずいのは、ある言説に対して、批判が起こっても、その言説の信奉者がそれを聞こうとしなくなることだ。こういうことは、いろ…

2002年9月11日の記憶

2002年9月11日にはニューヨーク郊外の大学キャンパスにいた。前の年のパリの会議とメンバーの一部が重なる、ひとまわり小さい会議だった。主催者が、アメリカは元気だということを示すためにわざとニューヨークで開いたのだった。ニューヨークの町は通過した…

2001年9月11日の記憶

2001年9月11日、わたしはパリのカルチエラタンにいた。200人規模の1週間の会議だった。日本からやってきた同僚が日本語で「貿易センタービルに飛行機がつっこんだ」と言ったので驚いた。貿易センタービルといえば(東京の)浜松町の羽田空港行きのモノレールの…

2種類の「はずれ」をどちらもなるべく小さくしたいのだ

統計学や意志決定論の教科書で「第1種のまちがい」「第2種のまちがい」という表現をしていることがあるが、わたしはどちらがどちらだったか覚えられない。ともかく、2種類のまちがいがあることを忘れてはいけないということだ。一般的に、一見よく似たものが…

当用漢字育ちの日本語表記論

[前の記事]で、「からぶり」を「空振り」と書かなかった。漢字変換で「空振り」が出てきたのだが、それでは「空気の振動」のような気がして(「空間の振動」だと思わなかったのはたまたまだが)、ほかに適当な候補がなかったので、ひらがなにしたのだった。少…

もっと植物性たんぱく食を開発してほしい

ヒトという種が今のような形に進化したのは肉食をしたおかげだという説もある。人は動物を食べることなしで生きるのはむずかしいかもしれない。しかし、純粋な肉食ではなく雑食であり、植物を食べることもできる(デンプンは消化できるがセルロースは消化でき…