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アメリカへの武器輸出許可はイスラエルへの横流し禁止が前提

わたしは日本が武器輸出禁止の原則をゆるめることには基本的に反対だ。(ただし、武器以外にも使える汎用品についてはゆるめてほしいと思うこともある。)

しかし、日米安保条約が非対称的ながら軍事同盟なので、相互運用性上、同盟国間で同じ武器を使うことが望ましいことはあるだろう。それに関連して、日本が開発した武器をアメリカ軍が使いたいならば売ることを認めたいという立場は理解できる。

ところが、アメリカ合衆国は、イスラエルとも事実上の軍事同盟関係にある。そしてイスラエルは進行中の武力紛争の当事国である。日本の武器がイスラエルパレスチナやその他のアラブ諸国との軍事的緊張をイスラエルに有利に傾けることに使われることは、日本国民の利害にそぐわない。

日本政府は、アメリカ合衆国イスラエルが正式な軍事同盟関係にないことを根拠とし、アメリカに対し、日本から提供する武器およびその技術をイスラエル横流ししないことの確約を求め、それを満たさない場合は武器輸出を許可しないという断固とした態度をとるべきだと思う。

なお、わたしは、軍事と関係のないこと、とくに科学(ただし情報が世界に公開されるもの)に関しては、日本はイスラエルともパレスチナとも友好的につきあうべきだと思う。[2011-10-16追記: 実際には科学の多くの内容が、軍事と全く関係ないとは言い切れない。わたしの言いたいことは、得られた知見が知的公共財つまり国籍に関係なくだれでも見られる知識になるような活動は、相手がイスラエルでもパレスチナでもイランでも北朝鮮でも遠慮なくやりましょう、ということだ。]

[2011-10-14追記] アメリカ合衆国自体が進行中の武力紛争の当事国だが、アフガニスタンイラクでの武力行使に関する限り、日本政府は支持を表明してしまったので、それを理由にアメリカへの武器提供を拒否することがむずかしくなった。