macroscope

( はてなダイアリーから移動しました)

再生可能エネルギー技術のうち応援すべきなのはシェアを拡大できるもの

再生可能エネルギー技術にはいろいろな芽がある。そのうちどれを積極的に育てるか、選択しなければならないだろう。

人間社会の資源消費を持続可能にしていくためには、おおぜいの人が使うエネルギーが再生可能エネルギーになっていくことが必要だ。したがって、おおぜいの人が使える技術がなければならない。少人数の人しか使えない技術は、参考にはなるかもしれないが、主力にはなりえない。

たとえば、希土類(レア・アース)のような存在量の少ない元素を使う装置は、広く普及させることはむずかしい。もし微量でよいならば、当初の装置の生産はできるかもしれないが、寿命を終えた装置の廃品から微量元素を回収再利用することはむずかしいだろう。もっとありふれた元素で代用できないかの研究をするべきであり、それに成功するまでは主力技術にならないと思う。

装置の製造に特殊な技術を必要とする場合は、その技術を(無条件公開に限らず特許のライセンスのような形も含めてだが)広く公開して多くの人が装置の製造にかかわれることが望ましい。ただし、技術の保有者が製造を独占する形でも、需要に応じて大量に生産し多くの人が買える値段で売ってくれるならば、受け入れられる場合もある。

装置の製造または運用に特殊な職人わざを必要とする技術も、普及するのはむずかしい。普及を可能にするひとつの道は、職人の仕事を科学的に研究して普及可能な技術に変えてしまうことだ。(ただしこの道を進むと、職人わざの伝統はほろびるかもしれない。) もうひとつの道は、職人わざを多くの人々に伝授していく社会的しくみを発達させることだ。

生物を使う技術については、普及できるのは、その生物が環境中に出ても大きな環境問題を起こさないものに限られる。特殊な化学物質を少量生産するのであれば、それに必要な生物を厳重に閉じこめることも可能かもしれない。しかし、燃料や肥料・飼料・主要食料を生産しようとするならば、かなり大きな面積の土地あるいは水面を必要とするので、そのすべてを厳密に管理することは不可能で、栽培・飼育している生物の一部が野外に出ていくことは当然ありうると想定して、安全性に配慮しなければならない。

(表題に「シェア」と書いたが、ここでの意味は、人間社会のエネルギーをまかなう手段のうちで、ある種類の技術がしめる割合のことである。ある種類の技術の市場のうちで特定の企業の製品がしめる割合をさしてはいない。)