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2015-01-01から1年間の記事一覧

時計の身になってみたら時計の針は時計まわりなのか

回転の軸の方向をひとまず固定したとすると、その軸のまわりの回転運動の向きには、ある向きとその逆向きとがある。その向きを、どうやって伝えるか、という問題がある。「右まわり」「左まわり」という表現がよく使われる。「右まわり」は、前に進むにつれ…

グラフの軸をゼロから始めないのはうそつきか / そろばんグラフのすすめ

数量をあらわすグラフの「うそ」が、たびたび問題になる。対象となる数量と画面上の長さなどの数量との対応がまちがっている場合もある。しかし、対応は正しくてもまずいとされる場合がある。そのうちで、たびたびむしかえされる議論に、「軸の原点がゼロか…

rate, 率 (2) 死亡率と致死率

「rate、率」について[2014-11-01の記事]に書いたことに関連する話。人口統計などでいう「死亡率」は、時間軸上の単位期間あたりの死亡数の全人口に対する比率だ。時間については「年あたり」、全人口については「千人あたり」「十万人あたり」のような単位…

高層

-- 0 -- 現代日本語圏で「高層」と言ったらいちばん多い使われかたは高層建築に関するものだろう。高層建築がどのくらいの高さのものをさすかは時代や地域によってまちまちだと思うが、数十メートルから百メートル程度だろう。地上このくらいの高さは、気象…

天下分け目

西暦1600年。関が原の戦いは、天下分け目の戦いとなった。つまり、10年前にやっと統一された日本が、今度は東西のふたつに分かれてしまったのだ。小早川勢が予定どおり西軍につけば西軍、東軍に寝返れば東軍が有利だと見積もられていたのだが、彼らは結局戦…

アイウエオ、カキクケコ

唐の元和元年(日本の延暦25年)、明州(のちの寧波)の港町で、空海は迷っていた。前の年に日本に帰る遣唐使を見送って、空海は唐に残った。ところが遣唐使の船のひとつが難破して乗員が唐に遅れて来たので、彼らのための帰国船がしたてられていた。空海に、20…

東海地方(Donghai Difang)にて

205X年。ここは「大東亜共栄圏」である。ただしニホンゴ読みのダイトーアキョーエーケンは共栄圏公民権停止になりかねない政治的禁句だ。大東亜語言でダードンヤーゴンロンチュアンか、英語でthe Greater East Asian Commonwealthと言わなければならない。大…

日本学術会議の情報学シンポジウム(2015-03-09)、Steve Fuller氏の未来論ほか

- 1 -2015年3月9日、日本学術会議の講堂で「情報学シンポジウム」があった。これは学術会議第3部の情報学委員会が主催するもので、この形になって第8回だそうだ。(それよりも前から学術会議の情報学シンポジウムというものはあったのだが、それは発表を公募…

国立・公立研究機関は「技術営業」に力をいれる必要があるだろう

公的研究機関でも、技術開発をしていて、その技術が商品化できる場合には、そうすることが求められることが多い。ただし公的研究機関自身は商業活動ができないから、民間企業に技術移転することになる。その代償をもらうのか、もらう場合は担当した機関、働…

『数値と客観性』(Porter: "Trust in Numbers")をめぐって

Porter (1995/2013)の『数値と客観性』(原題 Trust in Numbers)の読書会に参加した。そこでわたしが発言したことについてのメモをここに出しておきたい。(読書会全体の論点の紹介ではない。この本と直接関係ない論点もある。)(読書会は2か所を通信でつないで…

オーケストラ

【別のブログに、[2011-09-08の記事]、そのあちこちの部分の補足を[2011-10-07の記事]として発表した内容ですが、補足を本文に埋めこみ、少しだけ修正したものです。】【ブログの「カテゴリー」をあまり多くしたくないので「フィクション」に含めましたが、…

地球温暖化対策の失敗は破局を招く?

【まだ、問題が整理しきれていないところ、書きたりないところがあります。今後も修正するかもしれず、その際に必ずしもいつどこを修正したか示さないかもしれないことをおことわりしておきます。】 -- 1 -- 地球温暖化の原因となる温室効果気体の排出をじゅ…

放射能をこわがることについて

-- まえおき 1 -- この話題は重い。書いてみても、書きたりないところ、考えのたりないところがまだあると思う。気がついたら書きなおすかもしれない。わたしのブログではいつものことだが、いつどこを書きなおしたか必ずしも明示しないことを、おことわりし…

DIASは解体的出直しが必要

【わたしは地球環境科学関連のデータマネジメントの中核となるべき人材だったはずだ。ところが、なさけないことに、わたしは自分の能力(とくにプロジェクトマネジメント能力)を育てることに失敗してしまったと思う。しかし、仮にわたしが高い能力を持ってい…

ISIS (自称「イスラム国」)をどう呼ぶか

日本人2人を殺害した(ことが確からしい)武装集団をどう呼ぶか、いろいろ迷うところがあるが、わたしは当面「ISIS」とすることにした。【本論にはいるまえにおことわり。「イスラーム」が宗教の名まえであって「教」をつけるのは蛇足だという考えもあるのは承…

NCARのデータマネジメントについて、わたしが知っていること

IT

アメリカ合衆国のNational Center for Atmospheric Research (NCAR、全国大気研究センター http://www.ncar.ucar.edu )のデータマネジメント業務について、おたずねがあった。わたしは1980--90年代、おもにデータ利用者として、NCAR Data Support Section (D…

環境決定論・気候決定論に関する勉強途中の覚え書き

このごろ、「環境決定論」あるいは「気候決定論」のような話題に接することがいくつかあった。どうやら、関連があることはあるが別々の問題がまざっているようだ。まだ整理の途中なのだが、いつ完了に至るかわからないので、ひとまず書き出してみることにす…

グリッド・グループ論に関する勉強途中の覚え書き(3)

[2014-09-28の記事]、[2015-01-07の記事]の続き。科学論に関する何かの用語でウェブ検索していたら、科学史家の成定薫さんが勤めておられた広島大学に残されているウェブサイトに行きあたった。そのサイトを見ていたら、成定さんにはグリッド・グループ論の…

軍事研究との距離

【この件についてのわたしの意見は必ずしもまとまっていない。ひとまず資料集のような意味でブログ記事にしておく。今後も書きかえる可能性があり、その場合にいつどこを書きかえたかいちいち明示しないかもしれないことをおことわりしておく。】 - 1 - 2015…

(勧めたくない用語) hiatus (ハイエイタス) ... 地球温暖化の温度上昇の停滞

【ブログ「気候変動・千夜一話」の2013-10-17の記事「地球温暖化は止まった?」または「hiatus」に書いたことのくりかえしになりますが、おもに用語の話題として、こちらにも書いておきます。】最近の20年ほどの全球平均地上気温の変化は、その前の20年ほどの…

グリッド・グループ論に関する勉強途中の覚え書き(2)

[2014-09-28の記事]への補足。Douglas and Wildavsky (1982)の本を読んだ。気づいたことは[読書メモ]に書いた。この本では、grid軸とgroup軸で構成される4象限のうち、次の図に示す3つの象限にあたる類型だけが論じられている。 ↑[Grid] Hierarchy[Group]→ I…