2010-01-01から1年間の記事一覧
所属している機関の計算機更新構想の話を聞いて、次のような意見を言いたくなった。「機関共通の計算機の必要性は、計算をする機械としてよりも、職員間でデータを共有する場としてのほうが大きいのではないか。」そのことを文章にしようとしたのだが、頭が…
(題名は、われわれが選挙して決まった政府が使っている用語だが、英語もどきばかりでとても不満なので、日本語訳を試みてみた。)7月16日に総合科学技術会議で「平成23年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針」が決まったそうだ。http://www8.cao.go…
2009年8月31日から9月4日に開かれた第3回世界気候会議(WCC) [注] で、気候サービスの全地球規模の枠組み(GFCS)をつくることが決議された。 第1回は1979年に開かれ、これを機会に世界気候研究計画(WCRP)を含む世界気候計画(WCP)が発足した。 第2回は1990年に…
5月27日の地球惑星連合学会セッションで、コンビーナーのひとりとして、総合討論の前に問題提起のようなプレゼンテーションをした。その内容を文章にしようと思ったがなかなかできないので、ひとまずプレゼンテーション用PowerPointファイルを画像に変換して…
IPCC第4次評価報告書 (AR4, リンク先はWikipedia日本語版)について、2009年末以来、いくつかのまちがいが報道された。そのうちには、確かにまちがいだったもの(下の箇条書きの1, 2。5もそうらしいが未確認) もあるし、不適切な点はあったがまちがいとまでは…
1月29日、2月22日の続き。菊池誠さんのkikulogの「地球温暖化懐疑論批判(2)」のコメントとして書いたことや、「気候変動・千夜一話」のブログのいくつかの記事、Mosher and Fuller (2010)の本の読書ノートで書いたことと重なるところもあるが、少し整理しな…
5月末にかぜをひいてしまい、出勤を休むほどではなかったものの1か月ほど体調がすぐれず、仕事がとどこおってしまった。ブログで積極的に発言するほどの元気がまだないが、前に言いたりなかったことの補足くらいはしておきたい。まず科学技術社会論的な話題…
日本学術会議主催のIPCCのシンポジウムで米本昌平さんが指摘していたように(5月2日の記事参照)、気候研究に対する社会科学的検討が必要と思う。わたしは研究対象となる立場なので自分から議論をするのはむずかしいが、重要と思われる議論を見つけたときに紹…
産業革命以来の人類は、化石燃料を利用できることを前提に、エネルギーと物質の流れを拡大しながら文明を発達させてきた。しかし、それには限界があることは明らかだ。太陽から来て宇宙空間に出ていくエネルギーの流れは人間にとって事実上無限ではあるけれ…
きょう5月14日にはもうひとつ、国の意見募集の締め切りがあった。文部科学省の「最先端研究基盤事業における選定の観点について(案)」についての、研究者の意見の募集だった。きょうになって知らされて、あわてて文章を書いた。主張はこのブログに今年初め…
内閣府の行政刷新会議の国民の声を聞くサイト「ハトミミ」で、常設の意見募集のほかに、期限を切った意見募集がある。きょう5月14日締め切りのテーマが「情報公開制度の改正の方向性について」だった。昨年11月のイギリスのイーストアングリア大学の電子メー…
3月11日の記事で紹介した、InterAcademy CouncilによるIPCCに関するレビューの委員が決まったそうだ。http://reviewipcc.interacademycouncil.net というウェブサイトができている。"Statement of Task"のページに、期限の説明がある。記述が一貫していない…
4月15日の記事で紹介した、IPCCに関する日本学術会議主催のシンポジウムに、聴衆のひとりとして参加した。このシンポジウムの結果、参加者が何かの結論に合意した、ということは言えない。合意を得ることをねらった進行ではなかった。「IPCC第4次報告書(AR4)…
2月22日の記事でふれた、渡辺正氏の「時評」の続編が出た。 渡辺 正, 2010: 続・Climategate 事件 -- 崩れゆくIPCC の温暖化神話。化学, 2010年5月号, 66 - 71. (雑誌のウェブサイトhttp://www.kagakudojin.co.jp/kagaku/ で読める。ただしFlashが必要。) 題…
4月30日(金)に、日本学術会議(http://www.scj.go.jp )が主催し、日本学術会議講堂(東京、もより駅は千代田線の乃木坂)で、「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)問題の検証と今後の科学の課題」というシンポジウムが開かれる。趣旨説明とプログラムは学術…
地球環境問題は地球温暖化問題ばかりではない、と、わたしは前から思っている。しかし、わたしの個人的意見だけではじゅうぶんな力がない。それで1月24日の記事では元ニューヨーク・タイムズの科学記者のAndrew Revkin氏のことばを借りた。今度は、アメリカ…
2月6日に「科学者はプログラムやデータを公開するべきだ」とはどういうことか?として書いたことの一部を、もう少し論じる。データにもあてはまる面があるが、計算機用のソフトウェア(「プログラム」とも書く)をおもに考える。最近、気候変化研究に関して問題…
IPCCの報告書にしっかりした裏づけのない記述があったことの再発防止策として、科学者たちが議論していることを断片的に聞いた。断片的情報なのでわたしが誤解しているおそれがあるが、基本的に、IPCC報告書自体の査読も、また材料として査読済み文献を使う…
北極海の海氷の広がりは、人工衛星による観測が継続されている最近30年間ほどを通してみると減少傾向がある。これは地球温暖化の一つの現われであり温暖化を強める要因でもあると考えられることが多い。とくに2007年9月に観測史上最小になったことは大きく話…
(3月21日の記事で書ききれなかったことの一部。本業での実践にあまりつながっていないので気がひけるのだが、読書で得た知識を提供することも社会への貢献かもしれないと思う。それにしても生煮えなので、今後も改訂するつもりである。)科学者の行動規範は、…
科学者は政治にどうかかわったらよいかは、むずかしい問題だ。政治と言ってもいろいろな問題があるが、ここでは、政策の決定・選択にしぼってみる。(ここに書いた考察は、Pielke (2007)の本を読んで、賛同したところと、賛同できなくて自分の理屈を考えたと…
[2010-03-21: この記事は3月13日から少しずつ書きたしたり改訂したりしてきた。どこをいつ書きかえたかを明示しようとしてみたが、あまりに複雑になるので、今後は省略する。]科学の話題がニュースになるのは、新しい研究論文が発表されたときが多い。しかし…
【[注(2019-01-17) このページからのリンクさきのページは消滅してしまったところがおおい。IPCCのウェブサイトにあったページのばあいは、www.ipcc.ch を archive.ipcc.ch にかえたアドレスにのこされている可能性があるが、まだ個別にたしかめていない。】…
科学・技術や環境の話題では、個別の新しい研究論文をあわてて紹介するべきでなく、年単位での進展を見るべきであることは、わたしは強く主張したいことで、「日々主義から年々主義へ」として書いたこともある。それに反するのだが、前からあるべきだと思っ…
人間社会が持続可能なものになり、それを達成するまでに悲惨なことがなるべく少なくてすみ、しかも近代文明によって得た幸福をなるべく失わないようにするには、どういう政策を考えたらよいだろうか。人間活動が地球環境(生態系と物理化学的地球表層システム…
WikiといえばWikipediaと思う人が多いが、wikiというのはソフトウェア技術の名前で、Wikipediaはその技術を使って実現した百科事典(というインターネット上のサービス、というべきか?)だ。Wikiの語源はハワイ語のwiki-wikiで、英語のquickに近い意味だそうだ…
IPCCとWikipediaとは共通の特徴をもっていることに気づいた。(わたしはIPCCには直接かかわっていない。IPCC報告書(もちろん全部ではない)を読んだのと、IPCCに採用されることを想定した研究活動にいくらかかかわっているだけだ。IPCCに深くかかわっている人…
2月11日に書いたIPCCの将来に関する個人的考え(その1)の続き。自分の能力の小ささをたなにあげて大言壮語する。人間活動が環境に影響し人間社会の持続性をおびやかすという問題は、地球温暖化に限ったものではない。とくに、生態系・生物多様性への影響は、…
IPCCは地球温暖化の見通しに関する「合意」(consensus)を得た、という言いかたがよくされる。これをどうとらえたらよいのか。科学は合意を求めるものではなかったはずだ。しかし政策決定者は科学者の認識がどのくらい一致しているかを知りたいのだ。認識に幅…
2月28日に気候変化(地球温暖化)の何がどのようによくわかっているのかの記事を書いた際には、その前の1月29日のIPCCの将来に関する個人的考え(その1) 巨視的な小さな国際組織で3つあげた論点のうち最初のものだけをくりかえし、あとの2つは省略した。 今後1…