2010-01-01から1年間の記事一覧
IPCCが2007年に第4次報告書を出した現在、気候変化にかかわる科学者の多く(全部というつもりはない)が、温暖化の見通しに高い確信度を与えている。IPCC (第1部会)は科学者の「合意」を得たというのはこのことだ。英語圏でこの件について「Science is settled…
Hockey Stick Illusionという本(Montford, 2010, 下の文献リスト参照)が出たそうだ。Klimazwiebel (気候のタマネギ)というブログの2月19日の記事で、Reiner Grundmannさんが紹介していた。わたしが「ホッケースティック論争」のページで紹介したのと同じ件を…
1月29日の記事でふれた、イギリスのCRUの電子メール暴露の件に関して、『化学』の3月号に渡辺正氏による「時評」が出た。これにはもっともなところもあるにはあるが、多くの誤解(もしかすると曲解)を含んでいる。その読者への注意のつもりで、わたしが参加し…
[この文章は急いで書いたのでよく練られていない。ことわりなしに修正するかもしれない。][注意: ここでいう「懐疑論」はすべていわゆる地球温暖化懐疑論をさし、一般的な意味での懐疑主義を意味しない。また、わたしは温暖化懐疑論と温暖化否定論を区別する…
[Excuse me, English speakers, this blog is designed for Japanese speakers. If you followed a link I made in other blogs, would you continue discussion there as long as it is appropriate?][Note on 2010-02-15: I am afraid this article is not…
[An article in the blog of a historian of science Kenji Ito on 2009-11-16 (in Japanese)] introduced me to what Science-Technology-Society scholars Harry Collins and Richard Evans discussed about experts in science and society. Soon I found…
I may be an amateur in philosophy of science, in addition to being a professional natural scientist. I have read several books of Popper, and several of Kuhn. I regret very much that Popper fans and Kuhn fans tend to denounce each other. I…
IPCCのありかたに関して、残念なまちがいがいくつか見つかったことをきっかけとして、いろいろな議論がされている。わたしはこの機会に、1月に書いた[気候変動適応策について、まず総論的に考えてみた。]、[気候変化への人間活動の影響は温室効果気体排出だ…
1月25日の記事への補足を述べる。同じことはくりかえさないので前の記事を参照していただきたい。ヒマラヤの氷河に関する資料として、アメリカの雪氷学者Kargel氏が中心となって作られたプレゼンテーションファイル(pptもあるがPDF版(8 MB)にリンクしておく)…
[English version is here.] [このページはほかに移動するかもしれない。その場合もここからリンクする予定。]これは、地球惑星科学連合の2010年5月の大会の、「地球環境観測データの行方および未来」というセッション(呼びかけのページ)のための予稿である…
[Maybe I am going to move this page to elsewhere. A link will remain here then.] [Japanese version is here.]This is my abstract for the meeting of Japan Geoscience Union (JpGU) to be held in May 2010. I am one of co-convenors of the sessio…
[Note added on 2010-03-09: The connotation of the English word "alarmist" seems to be always bad, so I reconsider how to call the concept mentioned as the title of this page. I have not yet determined it yet. A candidate is "a precautioner…
This is an English version of my post in Japanese here on 2010-02-06.There have long been such opinions that scientists who work with public funding should make their computer programs and data open to public (or to be audited) to make the…
1月25日に書いたヒマラヤの氷河に関するIPCC第4次報告書のまちがいの話に関連して、ある別のかたのブログにコメントを書いたら、さらに別のかたからコメントがつき、それにはわたしに対する質問が含まれていた。それは地球温暖化対策に関するわたしの考えを…
[2010-02-07: English version is here.]公共のお金をもらって研究している科学者は、その研究が再現可能であることを示すために、計算機プログラムやデータを公開するべきだ(あるいは監査されるべきだ)という意見は、前からあったのだが、いわゆるClimatega…
2009年11月に、(少なくとも気候関係の)科学研究者にとっては恐ろしいことが起きた。イギリスのEast Anglia大学のCRU (Climatic Research Unit、日本の大学ならば「気候研究施設」というような名前になっていたと思う)の研究者が約13年前から最近までにやりと…
このところえらそうな主張を書いてきたが、自分の仕事ぶりにはいろいろなさけないことがある。これはその一例にすぎない。元同僚から、わたしが昔計算した結果のデータを使いたいという相談を受けた。昔というのは13年前から6年前にかけてで、大学に所属して…
気候変動枠組み条約を結んだ国々は、「危険な気候変化」を避ける策をとることで合意した。しかし、危険な気候変化とは何かは、条約でも、それに関する議定書でも決められなかった。また、IPCCは、政策決定を拘束しないという立場から、危険な気候変化はどん…
「チベットあるいはヒマラヤの氷河が縮小すると、氷河のとけ水を水資源として使っている十億人もの人が困る」という議論がある。ただしここで対象になっている地域は、チベット、ヒマラヤ、パミール、崑崙、天山などを含むアジア中央部の高地をさすようだ。…
【[2013-04-17加筆] この記事では「議論」という用語が複数の意味に使われていてわかりにくかったので、学術論文の中の英語でdiscussionあるいはremark(s)と呼ばれることが多い部分をさす場合は、用語を「考察」と変更した。】IPCC報告書の記述が信頼できる…
「わたしにはよくわからない」という覚え書きにすぎないのだが、別記事へのコメントから独立させて出しておく。IPCC第4次報告書について、第2部会第1章の中の気象災害被害額の件で、材料とした文献を正しく引用しないで勝手な議論をしてしまっているという批…
1月26日朝のNHKテレビのニュース番組の中で、タイ国で農家向けに天候保険のサービスが始まったという話題があった。検索してみると、産経新聞社が報道しているこの件らしい。 http://www.sankeibiz.jp/business/news/100112/bse1001122129005-n1.htm 損保ジ…
先に書いた天候保険に関するページでふれた産経新聞社の報道でついでに、ミュンヘン再保険による将来の気象災害被害額の予測の件が話題になっていた。わたしはまだその内容を確認していないが、温暖化に伴ってこのように気象災害がふえるのだというふうに解…
IPCC第4次報告書は、オンラインにも置かれているし、紙の出版物の形でも出ている。日本語訳が出ている部分もあるが全部ではない。そのありかを説明しようとするとなかなか複雑だ。Wikipedia日本語版の「IPCC第4次評価報告書」には、かなり詳しくリンクが示さ…
IPCCの報告書にまちがいがあったことが話題になっている。2007年に出たIPCCの第4次評価報告書(AR4)のうち第2作業部会の第10章「Asia」の10.6.2節「The Himalayan glaciers」(493ページ)の、次の1段落のヒマラヤの氷河の将来見通しに関する記述が科学的根拠が…
「...ではない」までだけ引用することはしないでいただきたい。話は次のように続くのだ。 地球温暖化はわれわれの時代の最も重要な話題ではない。それはわれわれの時代の最も重要な話題の一部分なのだ。人類はこの有限の惑星の上で成長して、ようやくそれが…
気候変化への人間活動の影響はCO2などの温室効果気体を排出することだけではない。これはあたりまえのことだ。ただし、温室効果気体排出以外の効果は相対的に無視できる、という主張はありうる。それを無視するべきではない、という評論が、学会(AGU=アメリ…
気候変動適応策について、まず総論的に考えてみた。【根拠を示さないと説得力がないと思うが、文献参照を書き始めるときりがないのでひとまず省略する。】【「地球温暖化」「気候変化」「気候変動」は、意味の広がりが違うが、重なる部分がある、ここでの議…
これはわたしが2002年4月22日にウェブ上(別のところ)に書いた意見だが、今も基本的に変わっていない。部分的修正をしてここに出す。【わたしは、自然科学を勉強してきた者である。政治学・経済学の系統的勉強は、高校卒業以来していない。最近、経済学書に属…