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人気変

20世紀の地球温暖化をどう見るか

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】 - 1 -地球温暖化ということばには、[2015-11-09の記事]で述べたように、複数の意味がある。大きく分けて次の2つが重要だ。 (A) 温室効果の強化を原因として起こる気候の変化。 (B) 世…

地球温暖化の不確かさと「驚き」をどうとらえるか(2)

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】[2015-11-29の記事]の中で予告した「別の記事」である。地球温暖化に関連して、次のようなことばが出てくることがある。前の記事ではひとまず「驚き」で代表させたが、「驚き」という…

地球温暖化の不確かさと「驚き」をどうとらえるか(1)

地球温暖化問題は、将来の数十年かけて起こることに早めの対策が必要だという構造の問題だ。将来の見通しに関する不確かさは避けられず、政策に関する判断をするのに、見通しが確かになるのを待っていたら遅すぎる。ただし、不確かさがあるというのは、何も…

地球温暖化と、いくらかの関係はあるが、区別して認識する必要があることがら

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】[前の記事]と同じく、「地球温暖化について質問にお答えします」という試みをしたときに考えたこと。専門外の人と話していると、その人には、「地球温暖化」と、それと区別されるべき…

地球温暖化という用語の意味について

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】2015年11月7日、勤務先の研究所の一般公開の中で、「気候変動予測」あるいは「地球温暖化予測」と呼ばれる仕事をしている部署の一員として、「地球温暖化について質問にお答えします」…

南極の氷の増減について -- 研究成果の報道に一喜一憂せず基本を考えてほしい

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】 - 0 -南極の氷がふえているとか減っているとかいう事実を示した研究成果のニュースがいくつかあった。それを受けて、ネット上で、(たぶん、これから数十年のこととして)「温暖化は進…

地球温暖化の認識の発達にかかわる山本義一の業績

山本義一 (1909-1980) (大先生であるがここでは歴史上の人物扱いという意味で敬称略)は、1946年から1973年まで東北大学教授をつとめた気象学者で、大気乱流と大気放射の両方にわたって世界の気象学に貢献した。その業績の概略は田中(1980)に紹介されている。…

気候感度についてもう少し広く考える

「気候感度」(climate sensitivity)については、[2015-07-15の記事]で簡単にふれたが、もう少し話題を広げて考えてみる。「感度」は「敏感さ」であって、定性的なものかもしれないのだが、ここでは定量的な扱いができる場合に限ってみる。気候に関する話題を…

二酸化炭素濃度に対する気温の定常応答(平衡応答)と過渡応答、気候感度

【[別ブログ2010-01-20の記事]から、それを書いた当時の時事的話題を取り除いて、ひとまず再録して、改訂を加えています。「気候感度」という表現のいろいろな使われかたは別記事にしました。】定常応答 (steady-state response) 気候システムにとっての外部…

地球温暖化対策の失敗は破局を招く?

【まだ、問題が整理しきれていないところ、書きたりないところがあります。今後も修正するかもしれず、その際に必ずしもいつどこを修正したか示さないかもしれないことをおことわりしておきます。】 -- 1 -- 地球温暖化の原因となる温室効果気体の排出をじゅ…

(勧めたくない用語) hiatus (ハイエイタス) ... 地球温暖化の温度上昇の停滞

【ブログ「気候変動・千夜一話」の2013-10-17の記事「地球温暖化は止まった?」または「hiatus」に書いたことのくりかえしになりますが、おもに用語の話題として、こちらにも書いておきます。】最近の20年ほどの全球平均地上気温の変化は、その前の20年ほどの…

「拡大されたピアレビュー」「第三の波」「相互作用的専門家」

[2014-07-21の記事]で紹介したPaul Edwardsさんの話のうちの、とくに、気候変動の科学的知見に対する専門外の人による「監査」の話題について、科学技術社会論のうちで考えられてきたほかの議論とのつながりを示しておきたい。かつては、多くの人びとが、気…

「グローバル・リスクとしての気候変動」シンポジウム (2014-07-20)から

2014年7月20日、科学社会学会と国立環境研究所によって東京で開かれたシンポジウム「グローバル・リスクとしての気候変動」http://www.sssjp.org/news/4 に出席した。わたしにとってこの題目の行事は多すぎてきりがないのだが、A Vast Machine [読書ノート]…

科学者によるadvocacy (「社会はこうすべきだ」と言うこと)

日本気象学会のシンポジウム「気象学における科学コミュニケーションの在り方」が2014年5月23日に開かれた。(シンポジウム企画者による予告ページがここにある。https://www.facebook.com/events/251398138344803/ TwitterのまとめがTogetterのここにある。h…

地球温暖化をとらえる枠組みを考えなおすいくつかの論点

[まとまらない思考を書きだしたもの。とくにことわらずに修正するかもしれない。]地球温暖化は必ずしもわたしの興味の中心ではないのだが、わたしが専門家としてコメントできる代表的話題ではある。その話題に関する「正しい議論」がひととおりにしぼれると…

「地球温暖化問題と科学コミュニケーション」シンポジウムの感想(2)

2013年9月27日に、北海道大学CoSTEPと科学技術社会論(STS)学会によるシンポジウム「地球温暖化問題と科学コミュニケーション」が開かれた。わたしは[2013-09-30の記事]で感想を述べた。なお、そのシンポジウムのために事前に用意された「ガイドブック」とい…

気候変動についての政策決定にとっての科学者の役割

[2013-12-19の記事]では、そこでふれた2回の講演で話した内容のうち、気候変動についての政策決定にとっての科学者の役割に関する話題を省略した。それは、「地球環境問題解決に向けて期待される、専門知識をもつ人の役割」[2013-09-02の記事(STS学会予稿)][…

地球温暖化の見通しは、確かであり、不確かである。

地球温暖化の話題に対して、その分野の科学的知見の状況を知っている者として、「地球温暖化の見通しは非常に確かなのだ」と言いたくなることもあるし、「地球温暖化の見通しは非常に不確かなのだ」と言いたくなることもある。それだけ切り離して示されると…

「6つのアメリカ」: 気候変動についてだれにはどのように話すかについての研究例

ICA-RUS(地球規模の気候変動リスク管理戦略の構築に関する総合的研究)の研究集会で、Edward Maibach氏の話を聞いた。Maibach氏はSkypeによる遠隔参加だったが、日本側担当者との綿密な打ち合わせのおかげで、有益な議論ができたと思う。Maibach氏はGeorge Ma…

地球温暖化の直観的とらえにくさ

地球温暖化という問題があることは多くの人が知っているが、それが社会のいろいろな問題のうちで重要だと考えている人はあまり多くないようだ。これは、いろいろな意味で無理もないことだと思う。まず、用語の問題がある。「地球温暖化」と表現すると、地球…

地球環境問題解決に向けて期待される、専門知識をもつ人の役割 (STS学会発表)

[2013-09-02の記事]で予稿を示した発表をした。予稿から発表の間に追加した情報 気候変動政策に科学がかかわる国際的なしくみ[説明図] 「第1」 2012年日本でのエネルギー政策に関する国民的議論の例 エネルギー・環境戦略 市民討議 実行委員会(2012) 市民の…

「地球温暖化問題と科学コミュニケーション」シンポジウムの感想

2013年9月27日(金)の晩に札幌で開かれた、北海道大学CoSTEPと科学技術社会論学会の共催によるシンポジウム「地球温暖化問題と科学コミュニケーション --哲学者・科学者・社会学者が闘論--」に参加した。シンポジウムのウェブサイトは開催後移動して、現在はh…

気候科学者の政策に対するかかわりかたのわかりにくさとわたしの考え

9月27日(金)の晩に札幌で、北海道大学CoSTEPと科学技術社会論学会の共催によるシンポジウム「地球温暖化問題と科学コミュニケーション --哲学者・科学者・社会学者が闘論--」が予定されている。そのウェブサイト http://forum.hucc.hokudai.ac.jp/sympo/ htt…

地球温暖化に関する議論

地球温暖化に関するコメントをつけるための記事です。

地球環境問題解決に向けて期待される、専門知識をもつ人の役割 (STS学会予稿)

【科学技術社会論(STS)学会2013年大会(11月16-17日)の講演予稿。(学会に提出した予稿に含まれないリンクを追加する。)】人間社会は自律性をもったシステムだが、物質・エネルギーの流れに関する限り地球環境システムの内にある。人間社会は各地の環境を制約…

「温暖化の発見」原書出版から10年、残された問題

わたしは、ワート(Weart)著『温暖化の〈発見〉とは何か』という科学史の本(原書2003年、日本語版2005年)の共訳者である。翻訳の作業の大部分は翻訳業の熊井ひろ美さんによるもので、わたしは専門的内容のチェックを担当した(したがって「訳者」と紹介される…

地球環境問題解決に向けて期待される、専門知識をもつ人の役割 (序論)

科学技術社会論(STS)学会の2013年大会は11月16-17日に東京工業大学大岡山キャンパスで開かれる。その講演しめきりは8月9日だった。そこでは400字以内の要旨を出し、9月2日までに2ページの予稿を出すことになっている。わたしは「地球環境問題解決に向けて期…

気候モデリング研究者の(複数の)思考様式 (Shackley 2001)

[6月26日の記事]で紹介したNorton and Suppeの論文がのっているMiller and Edwards (2001)の本の別の章。Norton・Suppe両氏は哲学者だが、Shackley氏は社会学者で、科学社会学あるいは知識社会学に分類されると思う。他の著作を検索してみると、地球環境問題…

気候という分野のシミュレーションの特徴

気候の予測型シミュレーションに使われるモデルの位置づけは、シミュレーション一般と分けて考える必要があるかもしれない。ここでは、シミュレーションモデルとして、現実世界の数量と定量的に関係づけられるような変数を含んでいるものを考える(すべての変…

シミュレーションによる科学的知見の意義 (Norton and Suppe 2001)

地球温暖化に関する政策決定の材料として、科学的知見が使われているが、そのうちでも予測型のシミュレーションで得られた知見が重要な位置をしめている。ところが、ときどき、専門家から見て信頼できないと思われるシミュレーション結果の細部まで、信頼で…