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勾配・傾度、気圧傾度力

物理量が空間座標とともに変化するとき、物理量を空間座標で微分したものをその物理量の「勾配」あるいは「傾度」(「経度」と音が同じだが書きわけている) (英語ではgradient)という。

もともとは、地表面の高さを水平の座標で微分したものがそこの地形の勾配だ。(勾配は、傾斜角そのものではなく、そのタンジェントにあたる量だ)。
水平の座標を (x, y) とし、地表面の高さ Z が 水平の座標の関数 Z(x, y) だすれば、地表面の勾配の x 方向, y 方向の成分がそれぞれ ∂Z/∂x, ∂Z/∂y となる。ただし「∂」は偏微分記号で、たとえば「∂Z/∂x」は、Z の x による微分だが x 以外の独立変数 (ここでは y) を固定して微分することをしめしている。

その考えかたを、一般の物理量に拡張するとともに、3次元に拡張している。3次元の空間座標を (x, y, z) とし、なんらかの量 F が 座標の関数 F(x, y, z) だとすると、F の勾配の x方向、y方向、z方向の成分がそれぞれ ∂F/∂x, ∂F/∂y, ∂F/∂z となる。

大気の運動方程式を考える。大気のうちある部分を塊のように考えると、それに働く力は、重力のほかに、上下方向ならば塊の下側と上側の圧力の差によるものがある([教材ページ]の図を参照)。これは、塊に働く力としては、塊の上下の圧力の差に水平断面積をかけたものになるが、単位体積あたりの力としては、この力を塊の体積で割ればよいので、上下の圧力の差を塊の鉛直方向の厚さで割ったものになり、結局、圧力の鉛直勾配にあたる量になる。ただし下から上に向かって圧力が減るのに対して力は上向きだから、圧力の鉛直勾配に負の符号をつけてやらなければならない。単位質量あたりの力がほしければ、単位体積あたりの力を密度で割ればよい。

これが鉛直方向の「気圧傾度力」だ。(「気圧勾配力」とは言わないようだ。) 運動方程式の中では、鉛直座標([「p座標」の記事]参照)が高さの場合は単位体積あたり、鉛直座標が気圧の場合は単位質量あたりの力として示される場合が多い。

ここではまず鉛直方向を考えたが、水平方向の気圧傾度力も同様に考えることができる。たとえば東西方向、南北方向に分けてベクトルのそれぞれの成分の値を求めることができる。