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日本の国の作物統計、「作況指数」に かわって 2025年産からは「作況単収指数」が発表される

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたか、かならずしも しめしません。】

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[(2025-06-28) 作況指数をやめてもよいが、収穫量と作付面積の公的統計をつづけることは必要] のつづきのうち、日本政府が米 (水稲) の収穫量についてどのような数値を発表することにしたか、ひとまず現状をしらべたので記録しておく。

数年まえから「作況指数」というものが「現場の実感にあわない」とか「誤解をまねいている」という話があり、農水省はこれをだしつづけるのをやめて別のものに変えようとしていた。そのことがおもてに出たのは2025年6月当時の小泉進次郎大臣の発言だったが、小泉大臣の新機軸ではなく、まえからの検討事項だった。

作物統計は総務省の統計局がまとめている国の統計の一部分にもなっているので、それを変更することに関して、総務省のもとの統計委員会で審議がおこなわれた。「統計委員会 会議記録」の 第219回 (2025-07-22) のところに諮問、第221回 (2025-09-29) のところに答申がある。

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農水省の作物統計のうち水稲の作況調査の報告は、「令和7年産」つまり2025年産についてのものから、「作況指数」にかわって「作況単収指数」をふくむものになっている。

  • (農林水産省) 統計情報 > 分野別分類/作付面積・生産量、家畜の頭数など > 作物統計 > 作況調査(水陸稲、麦類、大豆、そば、かんしょ、飼料作物、工芸農作物)

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調査の結果 > 第1報 > 水陸稲」のあたまに「水稲収穫量調査の見直しについて」というPDF ファイル (プレゼンテーションファイルをPDFにしたものらしい) がある。

まず作況単収指数とはなにか。便宜上、作付け面積あたりの収穫量を「単収」とよぶことにする。作況指数は、その年の単収を単収の平年値でわって百分率にしたものとされていた。しかしその平年値の決めかたが変遷していた。作況単収指数は、その年の単収を、単収の「前年産までの5年中3年の平均」でわって百分率にしたものである。どのような3年であるかはこのファイルにはないが、つぎにのべる「公表資料」には「(最高、最低除く)」とある。現場の感覚にちかづけるために、従来の作況指数よりも、比較のあいてを近年にしぼった、という趣旨だ。【長期統計をつかうたちばからすると、分母の変動が大きいので統計指標としてのねうちは低く、研究用の指標は単収から計算しなおさないといけなくなったと思う。】

指数の名まえに「単収」を入れたことは、作況指数の変動が (作付面積の変動によるものもふくむ) 全収穫量の変動であるかのように誤解されたことへの反省をふまえている。【その意味では従来の「作況指数」も単収の指数であって、旧データを読まれる際に名称に「単収」がはいっていないからそうでないと誤解されるとまずいのだけれど。】

その資料の2ページめに「ふるい目」の件がある。従来の 1.70 mm による値も出すけれども、「主食用収穫量」として出すのを「生産者ふるい目」 (各都道府県の農家がつかっている代表的なふるい目) によるものにする、ということだ。【作況指数はすでに「生産者ふるい目」によるものに移行していたので、これは2025年に話題になった作況指数への不満への対応ではないのだが、作物統計への不満への対応ではある。】

3ページめ以後は、2025年産の統計にはあらわれない、今後の指標の改良のためにとりくまれていることがらである。

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つづいて「令和7年産 公表資料」がある。そのうち公表資料名「令和7年産水陸稲の収穫量 」(令和7年12月12日公表) をみる。

「作況単収指数」がつかわれており、全国のその指数の値が、1995年から2025年までしめされている (ただし2025年は「概数値」とされている)。「生産者ふるい目」による収穫量の値があるのは 2015年からであり、作況単収指数が生産者ふるい目によるものなのは2020年からである。

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確報 (統計表一覧)」にはすでに「令和7年産」 (2025) の表が収録されている。しかし「市町村別データ」は まだである。

長期累年」からのリンクさきの「作物統計(普通作物・飼料作物・工芸農作物)〔e-Stat〕」は、いまのところ令和6年 (2024) まで、「作物統計(普通作物・飼料作物・工芸農作物)〔e-Stat〕」は令和5年 (2023) までである。

(ひとまずここまで。)