【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】
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2025年12月22日、「ローマ字のつづり方」についての内閣告示が出された。
- (文化庁) 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 内閣告示・内閣訓令 > ローマ字のつづり方 https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/roma/index2.html
同時に「内閣訓令」も出されているが、「訓令式」ということばが今回の告示の方式をさすことはないだろう。
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告示の内容をわたしはまだたしかめていないが、[2025-08-24の記事] で紹介した 文化審議会の答申から変わっていないらしい。
それを前提として、わたしの意見をのべる。
今回の決定の残念なところは、母音 (とくにオ段) の長音の表記について、長音記号をつかう方式と母音字をならべる方式を並列にみとめ、優先順位をつけなかったことである。
現実問題として、ローマ字つづりには個人差があり、多様性をみとめるべき場面もあるだろう。
しかし、単語を同定・照合するため、一定の順序に整列するため、もれも重複もなく検索できるようにするために、それぞれの語は一定の文字列で表現されていてほしいことがある。そのときのために、「標準」という表現は強すぎるかもしれないが、「参照されるべき表記方式」 (略して「参照方式」) をきめておくべきだとおもう。今回の「告示」が標準とされる状況でも、参照方式を必要とする事業どうしが協力して、なるべく共通の参照方式を決めてほしいとおもう。
とくに、日本語圏の言語生活では、かな表記とローマ字表記の一方があたえられて他方を知らなければならないことが多い。その変換をすべて機械的にすることは (今回の告示が「現代かなづかいから機械的に変換したものを標準とする」とならなかったので) あきらめるしかなさそうだが、規則どおりでないことがおきる状況をなるべく少なくするために、一定の参照方式にそろえてから変換するべきだとおもう。名簿や人名索引ならば本人によるつづりの情報はあったほうがよいが、主索引キーではなく副のものにするべきだろう。
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日本語の基本的な拍のつづりの表としていわゆる「ヘボン式」が採用されたことについては、わたしは、利用者が多いものにあわせたことであり、妥当だとおもう。(ただし、ローマ字かな変換入力ではかならずしも多くない。むしろ、ヘボン式・訓令式をとわずキー入力数が少ないつづりがこのまれるようだ。)
そして、「ん」をつぎの音によって書きわけずいつも n としたのはよかった。
「っち」に前例がまれな cchi というつづりをあてたことにはわたし個人としては賛成しないが、まちがっているとまではいえない。
かなで「えい」のように書かれる 音の多くを「え」の長音とみなす解釈が採用されているが (この「え」は五十音表のエの段を代表したもの) 、そのつづりとしては長音記号よりも「ei」のほうが「一般的である」とされたのはよかった。
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わたしのものと近い意見として、カナモジカイ ( https://www.kanamozi.org/ ) のものを見たので、引用しておく。
- (カナモジカイ) 「ローマ字のつづり方」の改定に関する声明 (PDF) https://www.kanamozi.org/romaji-seimei.pdf