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低緯度・中緯度・高緯度、熱帯・温帯・寒帯

「低緯度、高緯度」という表現は一定の約束に従って使われているわけではない。それぞれの話題の文脈で、相対的に赤道側か極側かを表わす。

ただし、「低緯度、中緯度、高緯度」という組で使うときは、だいたいどのくらいの緯度をさすかの共通理解はあると思う。大ざっぱには、低緯度は0度から30度、中緯度は30度から60度、高緯度は60度から90度にあたるとみてよいことが多い。

「熱帯、温帯、寒帯」などの気候帯をあらわす用語の意味づけはなんとおりもある。それを説明するだけで本1冊くらいの分量が必要になるだろう。

そのうちひとつ、天文学的定義と呼ばれることがあるものがある。これは天文学で使われているという意味ではなく、伝統的に天文学に含まれていた概念によって定義されたという意味だ。赤道から南北回帰線(緯度23.4度)までが熱帯、南北それぞれの極から極圏の緯線(緯度66.6度)までの範囲が寒帯【と言わず「北極圏」「南極圏」ということが多いが】、その中間を温帯とするものだ。「熱帯」を表わす英語tropicsは「回帰線」と同じ語源であり、もともと両回帰線ではさまれた領域をさしていたようだ。

熱帯低気圧」と「温帯低気圧[4月9日の記事参照]は構造の違いをさしているが、もちろん発生しやすい場所の違いを反映した名まえではある。ただし日本語で「温帯低気圧」というものの英語は extra-tropical cyclones であり、熱帯以外と言っているので、温帯だけでなく寒帯も含むと考えたほうがよい。

低気圧以外の気象力学の話題でも、熱帯とそれ以外の二つに分けるのが適切なことがよくある。英語ではtropicsとextra-tropicsという。日本語では対称性がよくないが「熱帯」と「中高緯度」とすることが多いようだ。