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牧の原、牧ノ原、牧之原

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

静岡県の島田市の南にある台地を、1960年代に島田の小学生だったわたしは、「牧の原」として記憶している。ただし、自分が書くとすればそう書いたということであって、当時おとながそのように書いていたかどうかはわからない。

ともかく、2021-2022年にそのあたりでおきた たつまき についてこのブログに書いたとき、わたしは「牧の原」という文字づかいをした。

ところが、いまウェブ検索で「牧の原」といれると出てくるのはほとんど千葉県の駅名になっている「印西 [いんざい] 牧の原」に関するものだ。

静岡県の牧の原についての記事での文字づかいは「牧之原」となっていることがおおいようだ。いまでは、「牧之原市」があるし、その市の領域の外についての記述でも、静岡県や島田市の行政によるものは、たとえば 島田市 (もと金谷町) の「牧之原公園」など、ほとんど「牧之原」となっているようだ。

しかし、帝国書院の高校用地図帳 (手もとにあるのは『新詳高等地図』 2022年12月発行) では「牧ノ原」だ。地学の研究論文にでてくる地名も「牧ノ原 (台地)」であることが多い。

わたしの想像だが、2005年に榛原 [はいばら] 町と相良 [さがら] 町が合併したとき、市の名を「牧之原市」としたのをきっかけとして、他の自治体の文字づかいもそれにあわせて変更されたのだろうとおもう。「まきのはら」はむかしからの地名で、とくに明治維新直後の入植からは一貫してつかわれているけれど、大字[おおあざ]名ではなく、たぶん字[あざ]名でもなかったとおもう。(「布引原 [ぬのびきはら] 」という字名があることは、わたしはたつまきの報告で知ったのだが。) 市の名にするときにどんな字をあてるかは、あらたにきめたのだろう。そのとき、自治体名の途中に かな文字をはさむのは、禁止されてはいないものの、体裁がよくないとおもわれて、漢字があてられたのだろう、とおもう。しかしこれは想像にすぎず、まちがっているかもしれない。

なお、「牧ノ原」が台地をさすとき、「台地」ということばをつけるかどうかという問題がある。帝国書院の地図帳では、ながらく「牧ノ原台地」としていたらしいが、1984年版から「台地」なしに変更した。これは国土地理院の方針にあわせたものだそうだ。

かつての地図帳では、「武蔵野台地」「牧ノ原台地」などの表記を用いていました。しかし、昭和59年度版の地図帳かrら「『原・野』は、その文字自体が台地状の地形という意味をもっているため、語尾に『台地』をつけない」という国土地理院の見解に統一して表記することになりました。この際「台地」という語が削除された自然地名は、「武蔵野」「牧ノ原」「三本木原」「那須野原」「相模原」「磐田原」「三方原」「笠野原」の計8か所です。

わたしは今後、「牧之原市」をさすとき以外は「牧ノ原」としようと思う。しかしこれまでに「牧の原」と書いたものは変更しない。