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新型コロナウイルス患者の関東地方の市区町村別分布を見る (10月16日まで)

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたか、かならずしも明示しません。】

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関東地方の1都6県がそれぞれ発表した、市区町村別 (区は東京の特別区だけ、群馬県と神奈川県は保健所管轄区域別) の新型コロナウイルス陽性患者数 (累積人数) を、市区町村別の地図の形で表示してみる。

これまで、東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県についてしめしてきた。その最新のものは、[2020-10-17の記事] で、10月16日(金)までに各都県が把握した数値にもとづいている。今回、茨城・栃木・群馬県をあわせてみた。ただし、地図表示のつごうで、東京都の伊豆諸島・小笠原諸島をふくめていない。

患者数のデータ源はつぎのとおり。埼玉・東京・千葉・神奈川は[2020-10-17の記事]と同じである。

  • 茨城県は、茨城新聞のサイトの「茨城の新型コロナ感染者数MAP」https://ibarakinews.jp/hp/hpdetail.php?f_jun=2420 に表示された地図のうち「全期間」(もうひとつは「第2波分」)のほうを10月17日23時に画面キャプチャーしたもの。「10月16日 17:59時点」と書かれている。
  • 栃木県は、「ホーム > 福祉・医療 > 健康・保健衛生 > 感染症 > 栃木県における新型コロナウイルス感染症の発生状況および検査状況について」http://www.pref.tochigi.lg.jp/e04/welfare/hoken-eisei/kansen/hp/coronakensahasseijyoukyou.html から10月17日17時にダウンロードした「栃木県における新型コロナウイルス感染症の発生状況一覧」20201016hasseijoukyou.xlsx 。
  • 群馬県は、「トップページ > 県政情報 > 広聴・広報 > (新型コロナウイルス感染症) > 新型コロナウイルス感染症患者の発生状況」https://www.pref.gunma.jp/07/z87g_00016.html から10月17日17時にダウンロードした「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況」 100172441.pdf 。
  • 埼玉県は、「/ホーム /組織 /埼玉県 保健医療部 /【埼玉県】新型コロナウイルス感染症の発生状況 」https://opendata.pref.saitama.lg.jp/data/dataset/covid19-jokyo から10月17日17時にダウンロードした「埼玉県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況 (2020/10/16 18:30)」 jokyo20201016.csv 。
  • 東京都は、「トップページ > 東京都の取組・対応 > 災害の情報・対応状況 > 東京都新型コロナウイルス感染症対策本部報」https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/saigai/1010035/index.html の「最新の本部報」のリンクさきにある「第916報」(10月17日)の「別紙」 20200101701.pdf。
  • 千葉県は、千葉日報のサイト http://chibanippo.co.jp の「新型コロナウイルス感染関連情報」のページから10月16日24時にダウンロードした covid_201016_1.jpg (内容は10月16日20時現在)。
  • 神奈川県は、「ホーム > 健康・福祉・子育て > 医療 > 感染症・病気 > 感染症・病気の随時提供情報 > 新型コロナウイルス感染症について > 新型コロナウイルス感染症対策 陽性患者数及び陽性患者の属性データ」http://www.pref.kanagawa.jp/docs/t3u/dst/s0060925.html から10月16日23時にダウンロードした patient.csv、内容の最後の日付は2020-10-16。

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人口のデータは、各都県が2015年国勢調査とその後の住民登録にもとづいて推計した、2020年9月1日現在の人口を、各都県のウェブサイトからダウンロードして、市区町村別の人口の値を読みとった。(1都3県の図をしめした記事では、2020年3月1日現在の人口をつかってきたが、変更した。)

市区町村の面積は、MANDARA 10 (谷 謙二 氏によるGISソフトウェア) が持っている値を使った。

人口密度を、人口を面積でわることによって計算した。その分布をつぎの図に示す。
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人口密度が 1万人/km2 をこえているのは、東京都23区(千代田区をのぞく)と多摩東部の複数の市、神奈川県川崎市、埼玉県蕨市である。ここからはなれるほど人口密度が小さい傾向と、いくつかの古くからの交通路ぞいに比較的人口密度の高いところがつづく傾向がみられる。

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市区町村別の陽性患者数(人口あたりではない)を記号(赤いまる)の数であらわす。記号は市区町村の代表位置(市役所など)の付近にしめされる。群馬県と神奈川県の保健所管轄区域ごとの人数は、保健所のある市の代表位置にまとめてある。患者数が10未満のところは表示されていない。
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東京都は全体として人数が多いということしかわからなくなった。群馬県と神奈川県は保健所所在地にまとめてあることに注意が必要だが、その他の全市町村別の値がわかっている県についてみると、県内でも患者の分布にはかなりの疎密がある。

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陽性患者数を面積でわったものの分布をしめす。(群馬県と神奈川県では、保健所管轄区域ごとに同じ色でぬっている。) 人口密度と同様な意味で「陽性患者数密度」ということもできる。
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分布の特徴は、いくつかの特殊な事情による異常値(千葉県東部の東庄町の1.6人 など)を別とすると、人口密度の分布とよくにている。ただし、人口密度よりもさらに地域間の不均一が大きい。

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陽性患者数を人口でわったものの分布をしめす。単位は「人/十万人」である。各地域に住む人にとっての感染リスクの大小のめやすと考えることができるだろう。
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千葉県東庄町(571人)は実人数75人で、福祉施設での集団感染があった。人口が少ないので人口あたりの値が大きくなったが、地理的分布にとっては例外とみられる。

東京都23区はいずれも150人以上となっている。東京都23区で300人以上のところをあげると、新宿区(841.9人)、港区(507.2人)、渋谷区(453.9人)、中野区、中央区、目黒区、台東区 (300人台)である。

東京都23区以外で100人以上のところをあげると、

  • 東京都多摩地域では、武蔵野市(132.0人)、西東京市(121.7人)、三鷹市(113.8人)、府中市(108.2人)、調布市(104.0人)、狛江市(103.5人)、
  • 埼玉県では所沢市(106.9人)、
  • 千葉県では浦安市(125.7人)、
  • 神奈川県では川崎市(114.9人) である。

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人口あたりの陽性患者数と 人口密度との関連について、[2020-08-06の記事][2020-08-09の記事]で、1都3県のデータにもとづいて、いくらか論じた。

ここでは、市区町村別の陽性患者数がわかっている1都4県について、[2020-08-09の記事] と同様に、人口密度を横軸、人口あたりの陽性患者数を縦にとって、両対数軸で散布図をつくってみた。
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結果をみると、人口密度が 1000 人/km2 よりも小さいところでは、人口あたりの陽性患者数は大きくばらついている。人口密度が 1000 人/km2~10000 人/km2のところでは、人口密度が大きいほど 人口あたりの陽性患者数が多い傾向がある。グラフ上で点群に直線をあてはめるとその傾きはおおまかに 1/2 に近いので、人口あたりの陽性患者数は人口密度の平方根に比例に近いといえる。人口密度が 10000 人/km2 以上のところ(その大部分が東京都23区) では、陽性患者数は、人口密度が 1000 人/km2~10000 人/km2のばあいの線を延長したところよりはだいぶ大きな値をとっている。

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人口あたり陽性患者数(人/十万人)を、人口密度(人/km2)の平方根でわったものの分布をみる。(数量としてはわけがわからないものになるが、人口密度という要因の効果をうちけしてみるための試行錯誤のひとつである。)
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周辺部の人口密度の小さいところは、数値があばれるので、図から地理的特徴を読みとろうとしないほうがよいと思う。

人口密度がある程度以上大きいところにかぎってみると、東京都新宿区(数値は6.1)、港区(4.5)、渋谷区(3.6)、千代田区(3.2)は数値が3をこえて黄色で表示されているが、そのほか大部分の市町村が、表示された数値で 0.3 ~ 3 のあいだにおさまっている。

人口密度が高いところほど、人口あたりの陽性患者数が多い」という傾向は明確にあるといえそうだ。

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ここで表示しているのは、2020年2月ごろからの累積の陽性患者数である。東京都のばあいは、市区町村別に、内わけとしてすでに退院または死亡した人数もしめしているので、それをひいたものが、だいたい、現在 患者として隔離されている人数にあたる。他の県でもそれに相当する情報を出しているようだが、表現がまちまちで、わたしには都・県について共通基準で整理できそうもない。

- 8X [2020-10-25 追加] -
わたしがつかっている集計では、感染を確認した都県と、患者の住所の都県とがちがっている患者の人数がふくまれていない。感染を確認した都県の患者総数にははいっていて、おそらくその都県は住所をつかんでいるのだが、発表された資料では住所のところが「県外」のような表現になっていて、市区町村にふりわけることができないのだ。まれに住所の市区町村がわかることがあるが、資料の原則からはずれた処理のようなので、わたしの処理で市区町村にふりわけることはしないことにした。

この集計もれが結果にどのような影響をおよぼしているかはわからないが、たぶん、得られた地理的パターンを大きく変えるものではないと思う。

ただし、埼玉県 所沢市の人口あたりの陽性患者数がその南側に接する東京都の複数の市よりも多いという空間的特徴があって、その理由をわたしはまだつかめていないのだが、もしかすると、東京都側の住民で、所沢市の病院で診断をうけ、埼玉県の統計に「県外」の人としてふくまれる陽性患者がかなりいるのかもしれない、と想像している。

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地図の作図につかった GIS (地理情報システム) ソフトウェア「MANDARA 10」については、別ブログの読書メモをごらんいただきたい。

  • 谷 謙二, 2018: (フリーGISソフト) MANDARA 10 入門 — かんたん! オリジナル地図を作ろう。古今書院, 122 pp. ISBN 978-4-7722-8118-8. [読書メモ]

散布図は、データを表計算ワークシートからCSVで書き出し、R のグラフィックス機能 (plot, points)をつかって作図した。