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ソーシツ

「音が同じで意味が反対」の事例集にひさしぶりの追加。

選挙前、テレビで政策の話をしているのを、不連続に聞いていた。「雇用の喪失」ということばが出てきたと思ったが「雇用の創出」だったのかもしれなかった。

もし注意して聞いていたとしても、話し手の発音そのものが、どちらでも区別がなかったかもしれない。とくに関東型の発音では、無声子音にはさまれた母音が無声化しやすく、しかも u を口びるをまるめずに発音するので、「シュツ」と「シツ」を区別するとしても違いは小さく、区別を意識しない人も多いだろうと思う。

もちろん、文脈が理解できていれば区別はできる。「雇用」が望ましいことだという前提をおけば、現在起きている問題点の話題に出てくるのは「喪失」であり、政策としてやりたいことの話題に出てくるのは「創出」にちがいないのだ。望ましくない「○○」について「○○の喪失」と言ったり「○○の創出」と言ったりすることがあるとまぎらわしくなるが、どちらもあまりありそうもない。