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新型コロナウイルス患者の関東地方の市区町村別分布を見る (4) (12月25日まで)

【まだ書きかえます。いつどこを修正したかをかならずしもしめしません。】

【[お知らせ (2021-04-10)] この記事をふくむ、このシリーズ(1)~(8)の記事にあった図 (地図、散布図) は、個人ウェブサイトの[関東7都県の新型コロナウイルス累積陽性患者数の市区町村別分布] のページにまとめました。このブログ記事に対応する図は、一覧表形式にしたうちの「2020-12-25」の行にあります。このブログ記事には図のあったところに「図1」「図2」「図3」「図4」「図5」という文字を置きました。】

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関東地方の1都6県がそれぞれ発表した、市区町村別 (区は東京の特別区だけ、群馬県と神奈川県は保健所管轄区域別) の新型コロナウイルス陽性患者数 (累積人数) を、市区町村別の地図の形で表示してみる。

[(1) 2020-10-20の記事]で10月16日まで、[(2) 2020-11-09の記事]で11月6日まで、[(3) 2020-12-06の記事]で12月4日までに各都県が把握した数値にもとづいた図をしめした。

ここでは、12月25日(金)までの数値で同様に表示してみる。12月29日にこの記事を出したときは千葉県については(わたしが12月25日までの数値をふくむ資料を見つけそこなって) 24日までの数値によっていたが、その後、千葉県の25日までの数値がのった資料をみつけたので、12月30日に図をさしかえて、全部25日までの数値によるものにした。[この段落 2020-12-30 改訂]

数値の階級わけや色わけは、原則として変えないことにし、変えたときはことわることにする。

データ源は、だいたい [(1) 2020-10-20の記事]と同様である。栃木県、埼玉県、神奈川県は個人別の表の市町村の列によってわたしが集計した。茨城県は茨城新聞による報道のウェブ情報を利用した。千葉県は、千葉県のサイト http://www.pref.chiba.lg.jp/shippei/press/2019/ncov-index.html で「感染者数の詳細グラフ」としてしめされているPDFファイル [注] のうち12月25日のもの http://www.pref.chiba.lg.jp/shippei/press/2019/documents/1225chiba_corona_shihyou.pdf の「新型コロナウイルス感染者数 (居住地別)」 のグラフにそえられた数字を利用した。[この段落 2020-12-30 改訂]

  • [注] 「感染者数の詳細データ」の Excel ファイルにも「居住地別」の表がふくまれていて、こちらのほうがつかいやすいのだが、1225chiba_corona_data.xlsx のファイルの内容は26日現在となっていて、1226のファイルは見あたらない。県の担当の職員がいそがしすぎてファイルをとりちがえてしまったのだろうか? [2020-12-30改訂]

ここからの本文は、だいたい[(3) 2020-12-06の記事]のくりかえしで、図をさしかえてかわったところだけ修正したものである。

各都道府県の資料で患者の住む市区町村名 (群馬、神奈川は保健所名) がしめされていなかった人は、ここでの集計にふくまれない。感染が報告された都道府県が居住地の都道府県とちがうばあい、実際には居住地の市区町村がわかっていても、都道府県発表の資料にはその情報が(原則として)ふくまれないので、ここでの集計にふくめることができなかった。したがって、ここでの集計は、都道府県の境をこえて医療をうける人の多い地域の患者数を過小評価する傾向がある。

人口は各都県の推計による2020年9月1月現在の値である。人口密度の分布は、[(1) 2020-10-20の記事] の2節にしめしてある。

累積人数なので当然ながら、結果の特徴も、全般に数値がふえているほかは、[(1) 2020-10-20の記事][(2) 2020-11-09の記事][(3) 2020-12-06の記事]とだいたい同様である。

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市区町村別の陽性患者数(人口あたりではない)を記号(赤いまる)の数であらわす。記号は市区町村の代表位置(市役所など)の付近にしめされる。群馬県と神奈川県の保健所管轄区域ごとの人数は、保健所のある市の代表位置にまとめてある。患者数が10未満のところは表示されていない。この表示方法では、東京は患者数が多いということしかわからなくなった。市町村別患者数がわかっている栃木、茨城、埼玉、千葉県についてみると、県内でも大きな不均一がある。
[図1]

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陽性患者数を面積でわったものの分布をしめす。(群馬県と神奈川県では、保健所管轄区域ごとに同じ色でぬっている。) 人口密度と同様な意味で「陽性患者数密度」ということもできる。大まかには人口密度とにた分布をしているが、人口密度よりも疎密の格差が大きい。東京の都心部でとくに値が大きい (ただし千代田区はあまり大きくない)。
[図2]

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陽性患者数を人口でわったものの分布をしめす。単位は「人/十万人」である。各地域に住む人にとっての感染リスクの大小のめやすと考えることができるだろう。[(3) 2020-12-06の記事]よりも全体に数値がふえているので、いちばん上の階級を分割した。今回は、いちばん大きい値の階級は黒ではなく、東京の都心部に見られる青で、値は、新宿区 1220.5、港区 899.6、渋谷区 783.8、中央区と中野区が600台である。千葉県 東庄町の大きな値(579)は3-4月に集団感染がおきたことによる異常値である。そのほかに、埼玉県で300台の値が出ている。戸田市、和光市は東京都の区部に接したところだが、吉見町、ふじみ野市は (わたしの感覚的には) 異常値と感じられる。異常値を別として大まかには人口密度とにた分布をしているが、人口密度ほどは疎密の格差が大きくない。
[図3]

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[(1) 2020-10-20の記事] の6節と同様に、市区町村別の陽性患者数がわかっている1都4県について、人口密度を横軸、人口あたりの陽性患者数を縦にとって、両対数軸で散布図をつくってみた。東京都は23区と多摩地域に分けた。

結果をみると、人口密度が 1000 人/km2 よりも小さいところでは、人口あたりの陽性患者数は大きくばらついている。人口密度が 1000 人/km2~10000 人/km2のところでは、人口密度が大きいほど 人口あたりの陽性患者数が多い傾向がある。グラフ上で点群に直線をあてはめるとその傾きはおおまかに 1/2 に近いので、人口あたりの陽性患者数は人口密度の平方根に比例に近いといえる。人口密度が 10000 人/km2 以上のところ(その大部分が東京都23区) では、陽性患者数は、人口密度が 1000 人/km2~10000 人/km2のばあいの線を延長したところよりはだいぶ大きな値をとっている。
[図4]

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人口あたり陽性患者数(人/十万人)を、人口密度(人/km2)の平方根でわったものの分布をみる。(数量としてはわけがわからないものになるが、人口密度という要因の効果をうちけしてみるための試行錯誤のひとつである。) 群馬県と神奈川県は、同じ保健所管轄区域の市町村を同じ色でぬった [この部分、2021-01-01 改訂][注]。周辺部の、人口密度の小さいところは、ここでの計算の分母が小さいので、大きい数値も小さい数値も出やすい。4節でのべた千葉県東庄町の異常値もそのひとつである。それ以外の大部分の地域では、1~10 のあいだの値をとっている。このような変数にすると地理的分布は一様に近くなるのだ。
[図5]

  • [注] [2021-01-01 追加] これまでわたしは、保健所管轄区域ごとの人口あたりの陽性患者数と、市町村ごとの人口密度から計算した値を図にしめしていたが、その結果の管轄区域内の分布は無意味なので、保健所管轄区域でまとめた人口密度をつかうように変えた。過去の(1)(2)(3)の記事の図も追って同様に変える予定である