アメリカの高層大気観測衛星UARSが落ちてきたことは、話題としては知っていたのだが、詳しく追いかけないでいた。自分のいるところに落ちてきたらこわいことだが、確率が高くないので心配してもしかたがないという気分だった。
寺門和夫さんのブログに9月26日にUARS 落下:情報連絡室とは何だったのかという記事がある。
これを手がかりにに日本政府の情報発信をたどってみると、
文部科学省から、「研究開発局参事官(宇宙航空政策担当)付」の担当として、9月21日づけで米国衛星「UARS」の落下に関する情報についてという報道ページがある。
そこから直接のリンクが見あたらないが、主要な情報は「衛星の落下に関する情報」http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/satellite/ のページにある。
【「科学技術・学術」の「分野別の研究開発」の下にならんでおり、まぎらわしいが、研究開発局宇宙開発利用課のページは http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/ だ。】
「米国衛星「UARS」の落下に関する情報について」という見出しの下に次の文書へのリンクがある。
情報の細かい更新は、Facebookの文部科学省公式ページ http://www.facebook.com/mextjapan で伝えられた。
人工衛星が落ちることはたびたびあるだろう。「燃えつきる」と言われている小さい衛星にしても、大きい衛星の表面付近の物質にしても、大気に混ざってしまうことになり、まったく影響がないわけではない。しかし、災害になりそうのは固体のまま落ちてくる場合だろう。
寺門さんが言うように、軌道情報が伝えられれば、それ以外のところでは心配はしなくてすむ。しかし軌道に近いところにはもっと確実に情報伝達する必要があるだろう。
今後はどういう態勢でのぞむのか?
今回、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室(臨時)が作られたそうだが、寺門さんが伝えるところによれば、文部科学省の情報をリレーする以外の機能は果たさなかった。
今後も、災害が起こったあとと、非常に大きな災害のおそれがあるときは官邸に動いてもらう必要があるが、それ以外は専門担当官庁にまかせるのが適当ではないだろうか。ただし、その担当官庁に、ふつうの事務職場でなく、緊急対応ができる職場を作る必要があるだろう。
文部科学省にはまだ緊急対応可能な常設体制はないと思う。(原子力事故の緊急対応は新しく作られる原子力安全庁でやることになるのだろう。) 人工衛星関係の緊急対応は、責任者は省内にいる必要があるだろうが、実質は宇宙航空研究機構(JAXA)内とし、衛星を原因とする災害のおそれと、衛星で見つけた他の災害への緊急対応体制を兼ねたものをつくるのが現実的だろうか?
あるいは、情報通信研究機構(NICT)の宇宙天気情報センター http://swc.nict.go.jp/ と合わせるのがよいだろうか。宇宙天気とはおもに太陽の変動に伴う宇宙空間の磁場の変動で、とくに人工衛星に対して影響が大きく、その結果人間社会にも影響がおよぶ。常時モニターして、危険があれば警報を出す必要があるのだ。ここに、人工衛星自体が原因となるトラブルの担当を合わせてもふしぎはないと思う。