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2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧

電子メール暴露、いわゆるClimategate

2009年11月に、(少なくとも気候関係の)科学研究者にとっては恐ろしいことが起きた。イギリスのEast Anglia大学のCRU (Climatic Research Unit、日本の大学ならば「気候研究施設」というような名前になっていたと思う)の研究者が約13年前から最近までにやりと…

(わたしの)データマネジメントがなってない事例

このところえらそうな主張を書いてきたが、自分の仕事ぶりにはいろいろなさけないことがある。これはその一例にすぎない。元同僚から、わたしが昔計算した結果のデータを使いたいという相談を受けた。昔というのは13年前から6年前にかけてで、大学に所属して…

2℃を越えると危険なのか

気候変動枠組み条約を結んだ国々は、「危険な気候変化」を避ける策をとることで合意した。しかし、危険な気候変化とは何かは、条約でも、それに関する議定書でも決められなかった。また、IPCCは、政策決定を拘束しないという立場から、危険な気候変化はどん…

チベット・ヒマラヤの氷河は十億人の水資源なのか

「チベットあるいはヒマラヤの氷河が縮小すると、氷河のとけ水を水資源として使っている十億人もの人が困る」という議論がある。ただしここで対象になっている地域は、チベット、ヒマラヤ、パミール、崑崙、天山などを含むアジア中央部の高地をさすようだ。…

査読を経た論文だから信頼できるとは限らない

【[2013-04-17加筆] この記事では「議論」という用語が複数の意味に使われていてわかりにくかったので、学術論文の中の英語でdiscussionあるいはremark(s)と呼ばれることが多い部分をさす場合は、用語を「考察」と変更した。】IPCC報告書の記述が信頼できる…

気象災害被害額の増加に関するIPCC報告書への疑問

「わたしにはよくわからない」という覚え書きにすぎないのだが、別記事へのコメントから独立させて出しておく。IPCC第4次報告書について、第2部会第1章の中の気象災害被害額の件で、材料とした文献を正しく引用しないで勝手な議論をしてしまっているという批…

天候保険

1月26日朝のNHKテレビのニュース番組の中で、タイ国で農家向けに天候保険のサービスが始まったという話題があった。検索してみると、産経新聞社が報道しているこの件らしい。 http://www.sankeibiz.jp/business/news/100112/bse1001122129005-n1.htm 損保ジ…

気象災害被害額の増加

先に書いた天候保険に関するページでふれた産経新聞社の報道でついでに、ミュンヘン再保険による将来の気象災害被害額の予測の件が話題になっていた。わたしはまだその内容を確認していないが、温暖化に伴ってこのように気象災害がふえるのだというふうに解…

IPCC報告書のありかはWikipediaをごらんください

IPCC第4次報告書は、オンラインにも置かれているし、紙の出版物の形でも出ている。日本語訳が出ている部分もあるが全部ではない。そのありかを説明しようとするとなかなか複雑だ。Wikipedia日本語版の「IPCC第4次評価報告書」には、かなり詳しくリンクが示さ…

ヒマラヤの氷河に関するIPCC第4次報告書のまちがい

IPCCの報告書にまちがいがあったことが話題になっている。2007年に出たIPCCの第4次評価報告書(AR4)のうち第2作業部会の第10章「Asia」の10.6.2節「The Himalayan glaciers」(493ページ)の、次の1段落のヒマラヤの氷河の将来見通しに関する記述が科学的根拠が…

地球温暖化はわれわれの時代の最も重要な話題ではない。それは. . .

「...ではない」までだけ引用することはしないでいただきたい。話は次のように続くのだ。 地球温暖化はわれわれの時代の最も重要な話題ではない。それはわれわれの時代の最も重要な話題の一部分なのだ。人類はこの有限の惑星の上で成長して、ようやくそれが…

気候変化への人間活動の影響は温室効果気体排出だけではない

気候変化への人間活動の影響はCO2などの温室効果気体を排出することだけではない。これはあたりまえのことだ。ただし、温室効果気体排出以外の効果は相対的に無視できる、という主張はありうる。それを無視するべきではない、という評論が、学会(AGU=アメリ…

気候変動適応策について、まず総論的に考えてみた。

気候変動適応策について、まず総論的に考えてみた。【根拠を示さないと説得力がないと思うが、文献参照を書き始めるときりがないのでひとまず省略する。】【「地球温暖化」「気候変化」「気候変動」は、意味の広がりが違うが、重なる部分がある、ここでの議…

「景気対策」反対。ただし、「ワーク・シェアリング」を意味するのならば賛成

これはわたしが2002年4月22日にウェブ上(別のところ)に書いた意見だが、今も基本的に変わっていない。部分的修正をしてここに出す。【わたしは、自然科学を勉強してきた者である。政治学・経済学の系統的勉強は、高校卒業以来していない。最近、経済学書に属…