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2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

レギュラトリーサイエンス

7月29日の総合科学技術会議(CSTP)の本会議で、「答申『科学技術に関する基本政策について』に関する意見具申」が決まったそうだ。第98回会議の議事次第http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu98/haihu-si98.html の「資料1−2 答申「科学技術に関する基本…

エコ

「エコなになに」という形の表現を、1970年代に聞いたような記憶があるのだが定かでない。ただし、あったとすれば、それは「エコノミー」の略だった。「エコノミー」とは、「経済的」と言ってもよいのだが、経済学とはあまり関係がなくて、前からあった日本…

科学技術研究の課題設定を産官学エリートだけにまかせられない。ではどうするか?

(疑問にぶつかったのでそれを表題にしたが、明確な答えがあるわけではない。)科学技術(ここでは仮に「科学」で代表させる)研究のうちには、科学者が自発的に研究を進め、それが結果として社会の役にたつものもある。税金に由来する公的資金の一部を、そうい…

本屋さんに行く時間

5月4日の「本屋さんの棚」の記事の続きで書こうと思ったが保留していたことを、その後の観察で修正して書く。わたしにとって重要な本屋さんは理科系の本が置いてあるところだ。軽い読み物だけではなく、専門書というほどではないが、大学の理科系各分野の教…

日本の科学技術政策の目的は日本の産業の国際競争力を高めることだけではない

日本政府の科学技術研究への目的は「日本の産業の国際競争力向上」だとする議論を聞く。それが複数の同等な目的のひとつならばわたしも賛同できる。しかし、圧倒的に重要な目的のように言われると、わたしには納得できない。政府の第一の存在意義は、明らか…

今後の原子力工学: 選択的核反応の探求と、廃炉理工学

まえおきわたしが給料をもらっている組織の仕事も、このブログ記事も、日本の科学技術研究に関する提案ではあるのだが、その質はだいぶ違っている。専門組織の成果物として出す提案は、そのブランドをけがさない質のものでなければならず、そのためには、材…

南蛮海・東夷海

南シナ海の島々のうちでもとくにスプラトリー(Spratly, 南沙[Nansha], Truong Sa [長沙], Karayaan)諸島は、複数の国が領有権を主張しているだけでなく、複数の国がそれぞれ一部の島を実効支配していて、とても複雑な状況にある。とくに今年になって中国と他…

IPCCとそれに関係する科学の自律性について

IPCC (気候変動に関する政府間パネル)は、政策決定者のために科学的知見を整理して提供するが、政策をしばることはしない、という位置づけで作られた。このようなしくみによって、科学者が、科学者としての規範を曲げずに活動しながら、政治に影響を与える道…

IPCC業務改善のゆっくりした動き

IPCC (気候変動に関する政府間パネル http://www.ipcc.ch )の再生可能エネルギーに関する特別報告書が出た([別ブログの記事]でふれた)のを機会に、それを認めた5月10-13日のIPCC総会のほかの議事について少し見てみた。ただし、調査したというほどではないし…

気象学会について思うこと(2)気象庁との関係、地球惑星科学連合との関係

(1)の記事の続き。日本気象学会は、事務局を気象庁の建物の一室に置いている。この事実から、気象学会が気象庁に事実上従属した組織であると見る人もいるようだが、学会員の感覚としては、それほどではない。つまり学会から見て気象庁は明らかに他者だ。ただ…

気象学会について思うこと(1)放射能輸送シミュレーションの件

7月14日、日本学術会議(http://www.scj.go.jp )のシミュレーションに関するシンポジウムに出席した。話題はたくさんあって論じきれない。その中で、福島原発事故に関連した気象シミュレーション情報提供について、日本気象学会( http://wwwsoc.nii.ac.jp/msj…