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日本語のローマ字つづりかたについての国の審議会のうごき (2025年3月)

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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国の 文化審議会 国語分科会 ローマ字小委員会 が 2025年 3月 11日に会合をひらいている。
文化庁 > 政策について > 文化審議会・懇談会等 > 文化審議会国語分科会 > ローマ字小委員会 > ローマ字小委員会(第8回)(令和7年3月11日) > 文化審議会国語分科会ローマ字小委員会(第8回)(令和7年3月11日)https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/roman/roman_08/94182101.html

「配布資料」の「資料2」として「ローマ字のつづり方に関する今期の審議のまとめ(案)」(PDF) https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/roman/roman_08/pdf/94182101_01.pdf が でている。(わたしはまだ内容を検討していない。)
「参考資料」として「ローマ字使用の在り方に関する意見募集に寄せられた意見の概要(案)」、 「意見募集の結果を踏まえた対応の方向性の整理」もふくまれている。

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明治書院からでている季刊の雑誌『日本語学』の「2024冬」号 (vol. 43, No. 4) に、特集 (この号の2つめの特集だが) 「ローマ字の規範」があり、つぎの記事がふくまれている。

  • 森山 卓郎: 新たな「令和式ローマ字表記」にむけて。124-134.
  • 武田 康宏: 日本語のローマ字表記の歴史と現在 -- 国語施策の観点から。136-148.
  • 長岡 由記: 国語科におけるローマ字学習の目的の検討 -- ローマ字学習指導の困難さに着目して。150-159.

森山氏はローマ字小委員会の主査 (座長)、長岡氏もその委員、武田氏は文化庁 国語課 主任国語調査官 である。

[ここから 2025-03-17 追記]
武田氏の論説は、ヘボン式と訓令式 (およびその源流である日本式) の対立を中心に、明治期から現在までの日本語ローマ字表記方式についての決定や主張の歴史をたどったものである。

長岡氏は学校の国語教育の現場で生じる問題を論じているが、おもな論点はやはりヘボン式と訓令式である。ただし、情報機器のローマ字かな変換のローマ字入力方式とローマ字文の規範とのちがいも困難な問題としてとりあげられている。
【ちなみに、わたしは、ローマ字のつづりかたをおしえていないが、情報処理のファイル名をローマ字でつけさせることがある。統計をとっていないが、学生によるつづりはローマ字文の規範よりもローマ字かな変換の入力方式になりがちだ。ただし個人差も大きいようだ。】

森山氏は規範のかんがえかたとして「翻字」か「表音」かという類型をたてる。「翻字」はたとえば かな表記から一定の規則で変換するものである。森山氏は訓令式は「翻字」に近くヘボン式は「表音」に近いとみる。ただし長音の表記については訓令式も翻字とはちがう。この論説では、訓令式とヘボン式との対立よりも、長音の表記について、かなからの翻字と、長音符号をつかう方式 (訓令式・ヘボン式ともにこちら) との対立が重視されているようだ。