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Anthropocene (人類世、人新世) (8) 別府湾が注目されるのはよいが「ベップワニアン」はこまる

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたか、かならずしも しめしません。】

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きょう、ひとつまえの [Anthropocene (人類世、人新世) (7) ]の記事をだしたきっかけは、NHK のニュースで、別府湾の海底堆積物を研究している人たちが、それを「人新世」の定義に採用してもらおうと提案している、という話を見たことだった。

わたしは、(7) の記事でのべたように、「人新世」を地質時代名とすることに反対だ。

もし「人新世」を地質時代名とすることにきまったとして、別府湾を代表とするのがよいかどうかは、提案の内容をみないとわからない。わたしの背景知識では、もし提案の内容をみても、よいとも悪いとも言えないかもしれない。

しかし、時代名の問題をはなれていえば、地層に人間活動の影響の変遷が見られる例として、別府湾の海底堆積物が注目されるのはよいことだと思う。

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報道によれば、その研究者たちは、人新世とともに、「ベップワニアン」という時代名も提案しているそうだ。これは、「チバニアン」が「更新世」の細分である「期」 (「世」より大きい「紀」ではないことに注意) となっているのと同様に、「人新世」のなかの「期」の名まえの提案なのだろう。

「期」の名まえに模式地の地名がつけられるのは慣例になっているから、それにはわたしは反対しない。(模式地をきめる人が注目しているのが「期」の境となる時刻、チバニアンならば約77万年まえの1時点にであるのに対して、時代名をつかう人がとらえたいのは「期」の全体、チバニアンならば約77万年まえから約13万年まえの期間である、というくいちがいの問題はあるのだが。)

また、「期」の名まえがラテン語を意識した英語でつけられ、「-ian」という形をとる慣例があることも知っている。

ラテン語や英語ではそれでよいのかもしれないが、日本語には「ワニ」という単語がある。「ベップワニアン」といわれれば、「ベップワニ」というワニの化石が出たのだと思われるのだろう。それはまずい。別府湾にちなむとしても、ちがう形を考えてほしいと思う。
【わたし個人が、地球科学を専門としたきっかけに第四紀 (更新世) のワニ化石がかかわっているので、ワニということばに思いいれがありすぎるかもしれないが。】