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試験で対数などをふくむ計算問題を出すことのむずかしさ

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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大学で非常勤講師として授業を担当している。成績をつける材料として、わたしは期末レポートと小レポートによることがおおいのだが、ある大学では期末レポートではなくて期末試験にした。直接には、その大学は非常勤講師にかわって(紙の)レポートを受け取ってくれない、という事情による (ネット上で受け取るしくみはある)。働く人がかぎられているのだからそうなるのもしかたないと思う。成績をつけるうえでは、試験のほうがよい面もある。

わたしは、試験やレポートの課題に、数量の計算をふくめることにしている。(数だけでなく、物理量の単位のついた数値をあつかう。単位の換算が重要なばあいもある。) どういう問題を出せるかは、試験のばあいとレポートのばあいでだいぶちがう。

レポートのばあいは、ちかごろ、【すくなくともわたしが授業を担当する学部では、学生は、自分のものか大学のものかはともかく、パソコンを使えるだろうと想定できるので】 パソコンがあれば計算できるような問題ならば、あまり気がねなしに出している。【「4乗根は、平方根の平方根、または、〈4分の1〉乗として計算すればよい」といった説明はする。】 ただし、週1回の講義科目の担当では、プログラミングの指導まではできない。学生のプログラミング能力がまちまちなのはやむをえないと思っている。そのような科目では、学生各人の能力を判定するために各自別々にやらせるよりも、学生どうしの教えあいを奨励したほうがよいと思っている。人間関係で孤立している学生には気の毒なことになるかもしれないが。

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このごろむずかしさを感じているのは試験のばあいだ。わたしは、四則演算のほかに、平方根や対数・指数や三角関数をふくむ問題を出したい。日常は、そういう計算は「電卓」かパソコンを使ってやっている。【わたし自身のばあいは、1970年代には電卓をつかっていたこともあるが、1995年ごろからはいつもパソコンにたよるようになり、電卓の使いかたはわすれた。パソコン上ではかつては Unix系OSのシェルから awk を起動していたが、ちかごろは R を起動してそのコンソール画面で1行コマンドを実行している。】 指導も、計算機を使うことを奨励するものになる。それが試験の場では通用しないのだ。

各自パソコンを持ちこめというわけにはいかない。(大学の方針として全員にノートパソコンをもたせているばあいはできるかもしれないが、それでも期末試験の会場でその条件をそろえるのはむずかしいだろう。) ちかごろは「スマホ」で「電卓」の機能を使っている人が多いだろうけれど、試験の場では、通信で他の人からこたえをおしえてもらうような不正をふせぎたいので、「スマホ」の利用は みとめないほうがよさそうだ。(パソコンのもちこみをみとめることについても、同様な心配はありうる。)

対数表や三角関数表を紙でくばることや、実際に試験問題にこたえるのに必要な対数とか三角関数とかの数値だけを問題文に書きこんでおくことは、(準備すれば)可能ではある。かつてはそのようにやっていたこともあったと思う。しかしそれは、試験よりもまえの授業で、対数表などをつかう計算の方法を説明していたからできたのだ。当時は専門家も日常に使っていたから教える意義があった。しかし、いま、教えたい項目にくらべて時間が不足しがちななかで、試験のときぐらいしか使いそうもない対数表の使いかたを経験することに時間をかけたくはない。

大学の学部ぐらいのレベルで方針が統一できれば、学生各自に通信機能のない電卓をもたせて、試験のときはそれをもってくるように指示する、という形もありうるかもしれない。

個別の授業担当者としてできることはあまりない。問題を筆算かグラフ読みとりでできるものにかぎるしかなさそうだ。