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「チバニアン」公認

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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2020年1月17日、国際地質科学連合 (IUGS) の理事会で、地質時代区分の 新生代 第四紀 更新世のうちのカラブリアン期と中期のあいだの境界をきめる「国際境界模式層断面とポイント (GSSP)」として、日本の千葉県 市原市 にある (提案者のいう)「千葉セクション」を採用することが決まった。これにともなって、更新世中期は「チバニアン」と呼ばれることになる。

提案者たちによるプレスリリースが、国立極地研究所のサイトに出ている。

また、菅沼 悠介 さんによる解説が、講談社のブルーバックスのサイトに出ている (題名と導入部分は出版社の人によるものだろう)。

わたしのブログ記事[2017-11-19「チバニアン」= 第四紀 更新世 千葉期(仮称) ]に書いたことは、「もし決まれば」という形で書いたことが実際に決まった、ということ以外は変更の必要はなさそうだ。ただし、日本語でのよびかたについてはしかるべき組織 (日本地質学会だろうか)の決定を待ちたい。

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わたしは、この話題にふれながら、GSSPのなまえをその層の堆積時点からはじまる時代のなまえにもするという、いま採用されている地質時代区分の慣習に疑問を感じた。また、一方で日本の地点がGSSPに採用されるとよいと思ったけれども、他方では更新世の細分はすでにきまった「ジェラシアン」「カラブリアン」にあわせて地中海沿岸で研究している人が使ってきたなまえで統一したほうがわかりやすいと思ったこともある。また、[2017-11-19「チバニアン」でよいのか? ]の記事でも書いたように、Chiba というつづりのよみかたが言語によってまちまちだということも気にかかっている。Chiba がでてくるたびに「牙・木場」でも「芝・柴・司馬」でも「ひば (桧葉?)」でもなく「ちば」です、という説明が必要になるだろう。

しかし、ここまできまったら、決定を尊重したいと思う。

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これまでは、GSSPが採用されることが課題だったから、GSSP (候補)の露頭ばかりが、「チバニアン」の地点として、見学場所として、また将来の観光資源になりうるかという話題で、とりあげられていた。

しかし、これから「チバニアン」は、GSSPよりもむしろ、77.4万年まえから12.9万年まえまでの時代のなまえとして参照されるだろう。千葉地域には、この64.5万年間の地球の歴史について学びたいという期待がかかってくる。上総層群と下総層群をあわせれば、その期待にはこたえられると思う。しかし、それには、GSSPにかかわってきたよりもずっとおおぜいの地学専門知識のある人がかかわることが必要になるだろう。