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首都大の学部再編成

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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首都大学東京」の学部が再編成されることが本決まりになったという報道があった。それで、このブログの[2016-05-13 首都大の改組案について]の記事を見にこられたかたもおられるようなので、新しい情報を補足しておきたい。

ただし、わたしはとくに首都大の内部情報をもっているわけではない。首都大の公式ウェブサイト http://www.tmu.ac.jp/ に出ている情報と、すでに知っていたことにもとづいて書いている。

【...】の形のところは、わたしの個人的感想である。

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2017-07-05現在、首都大ウェブサイトの「お知らせ」の「ニュース」の下に「平成30年4月に学部・大学院を再編します。」http://www.tmu.ac.jp/news/topics/h30_index.html というページがあり、「掲載日:2017年3月28日(2017年4月26日更新)」となっている。そこには

というリンクがある。

ここでは、この「再編の詳細」のページを見ればわかることはくりかえさず、その情報を組みかえた形で説明する。現 都市教養学部 の再編成以外は、たまたま気づいたことについて述べているが、網羅はしていない。

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首都大になったときにつくられた「都市教養学部」がなくなり、その部分の学部の構成は、東京都立大学のときの構成に近づく。ただし、完全にもどるわけではない。

かつての都立大の学部構成を知っている人向けに整理すると、次のようになる。

都立大の学部2018年度以後の首都大の学部2018年度以後の首都大の大学院
人文学部人文社会学人文科学研究科
法学部法学部法学政治学研究科
経済学部経済経営学経営学研究科
理学部理学部理学研究科(a)
工学部システムデザイン学部システムデザイン研究科(b) (c)

  • (a) 都立大 理学部のうち、地理は首都大の当初から都市環境学部に属し、今回変化なし。
  • (b) システムデザイン学部は、首都大の当初に 旧 都立科学技術大学 をもとにしてできたもの。今回の旧 都立大 工学部 由来の組織との合流にともなって、学科レベルの再編成がある。
  • (c) 都立大 工学部のうち、(旧学科名)建築、土木、工業化学は、首都大の当初から都市環境学部に属し、今回変化なし。

【学部と大学院研究科がほとんど一対一に対応するようになった。名まえが少しちがうところは、学部のほうが最近の関係者の感覚を反映したもので、大学院のほうは首都大発足当初の名まえから変更を最小限にしたのだと思う。
法学部、理学部はむかしの名まえになったが、人文、経済は少し変わった。
都立大「経済学部」にいた経済学者の多くが首都大に行かず、首都大のこれに対応する組織は、内容に経済学を含んでいたものの都市教養学部の「経営学系」となっていた。今度の再編成では、名まえを見る限りでは、経済の重みが、むかしほどではないが、復活しているような気がする(ただし実態がどうかは知らない)。
都立大「人文学部」と新「人文社会学部」に含まれる専門分野は(表現の変化はあるが)実質的にほとんど変わっていないようなので、学部名を変えた理由はよくわからない。再編成後の学科名を見ると「人文学科」と「人間社会学科」になっているので、いくつかの専門分野の人たちが、自分たちがやっているのは「社会科学」や「人間科学」であって「人文」ではないと意識するようになったのだろうか?】

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再編成の要点には、「都市政策科学分野を再構築」というのがある。

都立大は東京都が設置したものだから、その初期から、都市政策に関する研究活動があった。

1991年に移転したのにあわせて、「都市研究所」という組織ができた。専任教員がいたが、学生はいなかった。

それから、その教員が教育を担当する、大学院の「都市科学研究科」ができた。首都大になったとき、これは都市環境科学研究科の部分になった。

他方、首都大では、都市政策に関する学部教育も始められたが、それは都市教養学部の中の教育コースとして置かれていた。

今回の再編成で、学部のほうも都市環境学部の都市政策科学科となることになった。

都市政策研究は、問題による専門分野であって、ディシプリンではないと思うので、これを学部の「学科」として1年生から教える体制には、わたしは疑問を感じる。しかし、授業だけでなく組織運営にもかかわる教員にとっては、学部の組織と大学院の組織と教員の組織の対応がよくないと仕事が煩雑になってむだが多いので、対応のよい組織に変えたくなるのはわかる。】

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大学院について、「分野横断プログラムを導入」というのもある。これは、複数の研究科にまたがって授業を履修して修了できるような教育課程だ。ただし、大学院全体に副専攻のような制度をつくるわけではなく、当面は「超伝導理工学」と「生体理工学」という専門を学ぶ人のためのカリキュラムをつくった、ということらしい。

【学生が学びたい専門領域は、大学の「研究科・専攻」のわくに合っているとはかぎらないので、横断型の履修が可能になることは望ましいと思う。わたしがもし首都大の大学院担当教員だったら[事実に反する仮定]、地球観測のプログラムを提案したいほどだ。しかし、制度としてつくってしまい、従来のカリキュラムに加えて、分野横断のほうでも毎年だいたい一定の人数の修了者を出す義務を負ってしまうと (しかも、教員の人数を正味でふやさないでやれと言われたら)、教員にとっては重荷だ。希望する学生が来たときだけ発動できるようにして、ふだんは休眠でもしかられないのならば、歓迎なのだが。 】