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人気変(?) -- 人為起源気候変化

英語圏のブログで、ある気候研究者が、global warming (地球温暖化)という表現はよくないと言っていた。その人はclimate change (気候変化)と言うべきだという。もっと正確にはanthropogenic climate change (人為起源の気候変化)だ。この主張には賛同したいと思った。

地球温暖化という現象は、全球平均地上気温の上昇という特徴を伴う。しかし、それは全球一様に温度が上がるということではない。地域(ここでは数千キロメートル四方の広がりを考えている)ごとに、大雨がふえたり、乾燥化したり、いろいろな特徴となって現われる。温度上昇に限っても、全球的温度上昇傾向が地域規模の年々変動や季節内変動と重なって、極端な高温偏差(いわゆる熱波)が強まることが、人間社会に大きなインパクトをもたらすのだ。それを地球温暖化と表現すると、全球平均気温に必要以上に強く注目してしまうことになる。

しかし、用語の選択はなかなかむずかしい。英語圏(とくにイギリス、オーストラリアなど)ではClimate Changeと言えば日本語で言う「地球温暖化」のことだと思う人が多くなったが、日本語では、「気候変動」はもちろん、「気候変化」でも、どちらかと言えば自然の原因による変化のことだと思う人が多いのではないだろうか。かといって「人為起源気候変化」は毎回くりかえすには長すぎる。

長いことばがくりかえし使われる場合には、人々は短く略した形を使うようになることが多い。現代日本語の場合、複数の要素からなる語を省略するには、それぞれの要素から、漢字1字あるいは2拍(たとえばドイツ語からの外来語「ゼミナール」を「ゼミ」とするように)を抜き出してつなげるのが定跡だ。

その規則性に従うと「人為起源気候変化」の略語は「人気変」(ジンキヘン)となる。(ここで「人為起源」は一つの要素だと考えた。) しかし、文字にしてみると、「人気」(にんき)が「変」だと読まれるにちがいないので、これは没だろう。何か、「地球温暖化」よりも短くて意味がわかりやすい略語が作れないだろうか?