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温暖化で雪がふえるのはどんなばあいか

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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2020年12月16-18日ごろ、北関東の大雪がニュースになった。それを機会に、地球温暖化と雪との関係もちょっと話題になった。

地球温暖化にともなって雪が減るかふえるかについては、現役の研究者である川瀬宏明さんのそれを主題とする本があるが、ここではわりあい簡単な理屈で言えることをのべておきたい。

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わたしは、「地球温暖化」ということばを、二酸化炭素そのほかの温室効果気体の増加によっておきる (気温の上昇にかぎらない) 気候の変化、という意味でつかうことにしている。しかし、ここでは、(「地球」のつかない) 「温暖化」を、広域 (水平規模 数千 km) の地上気温や海面水温があがるような気候の変化をさしてつかうことにする。温室効果気体の増加は、たぶん、この意味の「温暖化」をもおこすだろう。

降水が雨になるか雪になるかの境界に近い温度にあるところで、降水をもたらすしくみが変わらず、温度が全般に上がれば、前の気候で雪だったものが のちの気候では雨になり、雪の量としてはへるだろう。日本の平地の冬は、おおまかには、この状況にあると思われる。

しかし、温度があがれば、大気がふくみうる水蒸気の量がふえる。水蒸気の供給がふえることによって降水がふえることがある。温度があがってもなお降水が雪になる温度範囲であれば、雪の量はふえるだろう。

とくに、北極海から数百kmの距離にある陸地を考えてみよう。陸上では温度の年変化が大きいから、いまよりもいくらか温暖化しても秋の気温は降水が雪になるぐらい低いだろう。しかし海上では温度の年変化が小さく、温暖化すれば海氷が減って、とくに秋に海面が氷におおわれていないことがふえ、海面からの水蒸気の蒸発はふえるだろう。海からの水蒸気の供給によって雪がふるような陸地では、雪の量がふえるだろう。

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現実の大気では、数十年から百年の気候の変化のほかに、天候の年々変動も、日々の天気の変化も、かさなっておきている。

いくらか温暖化しても、日本の中央付近の緯度帯 (北緯35~40度ぐらい) で、冬のうちの日々の天気の変化のうちでとても寒い日にかぎれば、降水が雪になるような気温が出現するだろう。そのとき、温暖化するまえの「とても寒い日」よりは温度 (とくに、まわりの海面水温) が高いからこそ、水蒸気の供給が多いので、ふる雪の量が多い、という状況が生じるだろう。

川瀬さんもいうように、温暖化すれば雪は平均的にはへるが、「ドカ雪」のときの量はふえる、ということがありそうなのだ。(これがこのブログ記事の結論的な主張で、あとはついでに考えたことである。)

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大雪がどんな天気のときにおこるかは、日本のうちでも地方によってちがう。

日本海側では、冬の季節風が雪をもたらす。ただし、すなおに季節風がふいているときは、山地の斜面での強制上昇が雲ができるおもなきっかけになるから、雪の量は山地で多い「山雪」型になる。小低気圧 (典型的温帯低気圧よりは小さい低気圧) や収束線 (風のあつまるところ)ができていると、日本海側の平地で雪の量が多い「里雪」型の状況になりやすい。

太平洋側の関東平野や十勝平野などで、(その地方にしては) 大雪になるのは、冬の季節風型の気圧配置がくずれて、温帯低気圧が発達しながら通過するときである。

太平洋側でも、日本海側とのあいだの山がわりあい低いところでは、季節風が強いときにふきぬけて雪をもたらすところがある。たとえば名古屋がそうである。

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温暖化にともなって雪がどう変わるかには、季節風がどう変わるかという要因や、天候の年々変動 (たとえば「北極振動」とよばれるもの) のあらわれかたがどう変わるかという要因もある。このあたりは、予想がむずかしい。

文献

  • 川瀬 宏明, 2019: 地球温暖化で雪は減るのか増えるのか問題。ベレ出版, 254 pp. ISBN 978-4-88064-603-5. [わたしの読書メモ]