【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】
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文部科学省が2018年2月14日に出した高校学習指導要領の案のうち、理科の「地学基礎」と「地学」について、[別ページ(暫定)]に抜き書きし、[このシリーズの記事の(1) 2018-02-15]で簡単に論じた。
ここでは、2009年3月に出た、現行の高校学習指導要領 (文部科学省のサイトのこのページ http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/1304427.htm にある)の同じ科目と見比べてみた。
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「地学基礎」では、まず、「宇宙における地球に関する探究活動」「変動する地球に関する探究活動」という項目がなくなっている。そのほかについて、小項目のレベルで比較してみると、次のようになる。
(現行) 地学基礎 | (案) 地学基礎 |
---|---|
(1)-ア-(ア) 宇宙のすがた | (2)-(ア)-○ア 宇宙、太陽系と地球の誕生 |
(1)-ア-(イ) 太陽と恒星 | |
(1)-イ-(ア) 太陽系の中の地球 | |
(1)-イ-(イ) 地球の形と大きさ | (1)-(ア)-○ア 地球の形と大きさ |
(1)-イ-(ウ) 地球内部の層構造 | (1)-(ア)-○イ 地球内部の層構造 |
(2)-ア-(ア) プレートの運動 | (1)-(イ)-○ア プレートの運動 |
(2)-ア-(イ) 火山活動と地震 | (1)-(イ)-○イ 火山活動と地震 |
(2)-イ-(ア) 地層の形成と地質構造 | (2)-(ア)-○イ 古生物の変遷と地球環境 |
(2)-イ-(イ) 古生物の変遷と地球環境 | |
(2)-ウ-(ア) 地球の熱収支 | (1)-(ウ)-○ア 地球の熱収支 |
(2)-ウ-(イ) 大気と海水の運動 | (1)-(ウ)-○イ 大気と海水の運動 |
(2)-エ-(ア) 地球環境の科学 | (2)-(イ)-○ア 地球環境の科学 |
(2)-エ-(イ) 日本の自然環境 | (2)-(イ)-○イ 日本の自然環境 |
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「大気と海洋」(現行(2)-ウ、案(1)-(ウ)) の内容はまったく変わっていないようだ。(文書の構成上は、「内容の取扱い」の節から「内容」の節に移されたことがらはあるが。)
「地球環境の科学」の内容は、「地球環境の変化を科学的に考察すること。」という単純なものから、「地球規模の自然環境に関する資料に基づいて,地球環境の変化を見いだしてその仕組みを理解するとともに,それらの現象と人間生活との関わりについて認識すること。」というものに変わった。しかし、「内容の取扱い」での「地球温暖化,オゾン層破壊,エルニーニョ現象などの現象を,データに基づいて人間生活と関連させて扱うこと。」という記述は現行にすでにあるものだった。
したがって、(1)の記事に書いた「大気と海洋」と「地球環境の科学」についてのわたしのコメントは、現行の指導要領にもあてはまる。
「日本の自然環境」の内容もほとんど変化がないが、「内容の取扱い」の文章中で、現行で「日本に見られる季節の気象現象」とあるところが案では「季節の」がなくなっている。
(1)の記事に、「大気物理(=気象)と海洋物理...のうち「地学基礎」で扱う内容はグローバルな気候システムの話題に集中しており、そのほかの気象学の話題は、天気予報を理解するための基礎知識やローカルな気候も含めて、「地学」のほうに行っている。」と書いてしまったが、現行でも案でも「地学基礎」のうち「日本の自然環境」のところで「日本に見られる...気象現象」を扱うことになっているのだった。「地学基礎」では現象を見るだけにして、理屈の説明は「地学」のほうに出てくる、という構造になるのだろう。「地学」の教科書や教材を(その科目を開講しない学校の人にも)手にいれやすくしておいて「地学基礎」履修者の疑問にこたえるのにも使えるようにしておくのがよいかと思う。
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なお、「地学」のほうは、項目の構成をざっと見たかぎりでは、「探究活動」のところの表現の変更があるほかは、どこも変わっていないように見える。「地学基礎」で扱いが軽くなった小項目の内容を「地学」でカバーすることが必要になると思うのだが、とくに明示されていないようだ。すでに「地学」に含まれていた項目で対応できるという判断なのだと思う。ただし、わたしはまだ詳しい比較検討をしていない。