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高校学習指導要領案 大気水圏科学について (2) 地理関係の概観

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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文部科学省が2018年2月14日に発表した学習指導要領から、地学と地理の部分を抜き出して見ている([別記事]参照)。

「地理総合」と「地理探究」の科目の内容の項目名をひろってみると、次のようになる。(ここにあげたよりも細かいレベルの項目は、題目を示さずに文で示されているので、うまくひろえなかった。)

地理総合

  • A 地図や地理情報システムで捉える現代世界
    • (1) 地図や地理情報システムと現代世界
  • B 国際理解と国際協力
    • (1) 生活文化の多様性と国際理解
    • (2) 地球的課題と国際協力
  • C 持続可能な地域づくりと私たち
    • (1) 自然環境と防災
    • (2) 生活圏の調査と地域の展望

地理探究

  • A 現代世界の系統地理的考察
    • (1) 自然環境
    • (2) 資源,産業
    • (3) 交通・通信,観光
    • (4) 人口,都市・村落
    • (5) 生活文化,民族・宗教
  • B 現代世界の地誌的考察
    • (1) 現代世界の地域区分
    • (2) 現代世界の諸地域
  • C 現代世界におけるこれからの日本の国土像
    • (1) 持続可能な国土像の探究

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大気・水圏に関連するキーワードをさがしてみる。

地理探究」のほうは、「2. 内容」のうちの「A-(1) 自然環境」の中に「気候」が出てくる。ただし「地形,気候,生態系などに関わる諸事象」という まとまり としてであり、文脈からみて「自然環境」を論じることとこの まとまり を論じることとはほとんど同じこととしてとらえられているようだ。「気候」のなかみはこれ以上具体的になっていない。

また、これ以外にも大気・水圏がかかわる題材はありそうなのだが、明確には出てこない。「水文」どころか「水」ということばさえ出てこない。

ただし「地球環境問題」や「地球的問題」は何度も出てくる。それは(つぎにのべる「地理総合」の場合と同様に)地球温暖化問題を含むと想定されているだろう。

地理総合」のほうは、「2. 内容」には大気・水圏のキーワードがまったく出てこない。「3. 内容の取扱い」のほうの「(2)-ウ-(ア)」に「気候」と「風水害」が出てくる。これは「内容」の「C-(1) 自然環境と防災」への補足で、次のような文だ。

日本は変化に富んだ地形や気候をもち,様々な自然災害が多発することから,早くから自然災害への対応に努めてきたことなどを,具体例を通して取り扱うこと。その際,地形図やハザードマップなどの 主題図の読図など,日常生活と結び付いた地理的技能を身に付けると ともに,防災意識を高めるよう工夫すること。 「我が国をはじめ世界で見られる自然災害」及び「生徒の生活圏で見られる自然災害」については,それぞれ地震災害や津波災害,風水害,火山災害などの中から,適切な事例を取り上げること。

また、「B-(2) 地球的課題と国際協力」の「地球的課題」は、「地球環境問題,資源・エネルギー問題,人口・ 食料問題及び居住・都市問題など」と言いかえられている。この「地球環境問題」はおそらく地球温暖化問題を含むと想定されているだろう。(地球温暖化問題以外に何を含むと想定されているかはよくわからない。)

「B-(1) 生活文化の多様性と国際理解」では「人々の生活文化が地理的環境から影響を受けたり,影響を与えたりして多様性をもつことや, 地理的環境の変化によって変容すること」をとりあげている。補足(3の(2)-イ-(ア))に「地理的環境には自然環境だけでなく,歴史的背景や人々の産業の営みなどの社会環境も含まれる」とあるが、自然環境も含まれることは確かである。そして、この自然環境はおそらく気候・水文を含むだろう。

このほかにも気候・水文などがかかわるところはありそうだ。しかし明示されていない。