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学術雑誌の学術論文以外の記事のディジタル化を

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

[2016-05-19の記事]で書きわすれたこと。ただし、19日の記事に書いたことはわたし個人の事情が多いが、こちらは公的意義があると思って書いている。

学会誌などの学術雑誌が、わたしの蔵書の体積のうち大きな部分をしめていた。しかし、多くの雑誌がディジタル化されたので、数年前に、それまで持っていたものの大部分を捨ててしまった。それ以後のものはたまっているが、いつ捨ててもよいと思っている。しかし...】

学術雑誌のディジタル化が完全でないという問題がある。 日本語圏の学会誌などの多くはJ-Stageでディジタル版が公開されているが、ディジタル化の対象が査読済みの学術研究論文に限られていることが多いのだ。

学会誌には、解説記事や、書評・読書案内などの記事もある。専門外の人がその専門を知る上では、そういうもののほうが、学術研究論文よりもむしろ有用だ。また、学会誌には、その学会の活動の報告やお知らせ、学会員間の意見交換などがのることもある。その学会がどんな性質の組織かを知るうえでは、そういうものもあったほうがよい。とくに、学問の発達をふりかえりたい場合に、過去のそういう記事が見たくなる。([2016-05-02の記事]で述べたように、古い記事は、古い情報であることを承知の検索でだけ見つかったほうがよいかもしれないが。)

また、[2016-03-01の記事]の3節で述べたように、論文雑誌としての信用を得るためにも、学会の紹介や学会誌の編集体制に関する記事も見られるようにしておいたほうがよいと思う。

自分がかかわっている学会から例をあげると、日本気象学会の『天気』は、J-Stageとは別に学会独自にディジタル化しており、論文に限らずほぼ全部の記事がディジタル化されている。他方、『Journal of the Meteorological Society of Japan』(『気象集誌』)はJ-Stageで論文だけのディジタル化だが、『天気』が始まって以後に関する限り、実質的に論文だけの雑誌なので、ほぼ全部ディジタル化されたと言える。(表紙裏にのっていた当時の投稿要領や編集委員名簿などを見たいときだけ困るのだが。)

水文・水資源学会誌』はJ-Stageにあって、今年の巻は巻頭言なども含めて全部の記事がディジタル化されているようだが、数年前の巻は「原著論文」と「研究ノート」だけになっている。それぞれの巻のディジタル化対象範囲を知るにはその巻のページをあけて見る必要があるようだ。

このような状況が生じたのは、ディジタル化の費用負担に関するJST (J-Stageの管理者)と出版者である学会との契約条件の結果なのだろう。大ざっぱに言って、学術論文をディジタル化することについては国からの補助があるが、その他の記事については出版者側で負担しなければならない、というような条件があるのかもしれない。そしてその条件が変遷したり、出版者側の態度が変遷したりしているだろう。

潜在的読者としては、学術雑誌の記事がなるべくそろってディジタル化されている状態に向かうことを希望する。(自分が費用を負担すると言うわけではないので、ただ関係者のみなさんにお願いするだけになるが。)