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原子力政策(「国民の信頼醸成に向けた取組」)に対する意見

国の原子力委員会から12月12日に出された「国民の信頼醸成に向けた取組について(見解案)」に対する意見募集 ([内閣府原子力政策担当室からのプレスリリース])に対して、しめきりの12月18日に、次のような意見を書きました。

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冒頭の「原子力の研究、開発及び利用に関する活動」という課題の立てかたについて。

原子力の研究、開発及び利用に関する活動」の内で、使用済み燃料の取扱い、とくに廃棄物管理(最終処分を含む)に関する政策を、他の部分と明確に区別されたものにするべきと思います。

理由は次のとおりです。
原子力の開発・利用に関する政策は、政権交代や市場の状況によって変化しえますが、廃棄物管理政策は持続性が求められます。もはや原子力を利用しないと決めた場合でさえ、廃棄物管理は継続が必要です。それが原子力政策の内にくくられると、原子力利用に消極的な政権のもとで廃棄物管理がおろそかになることや、原子力利用に反対する人々が廃棄物管理をも反対の対象に含めることが心配されます。
また、開発・利用に関する行政は、産業の監督官庁の立場であり、事業者とは利害が違いますが、事業を推進する立場になりがちです。廃棄物管理も一種の事業ではあり、開発・利用の事業者に費用を負担してもらう必要がありますが、運営は全国民を代表する国の立場でする必要があります。潜在的受益者・被害者も、必要な専門的知見の分野も、開発・利用の場合とは違いが大きいと思います。開発・利用の政策判断も、事業者の利害に偏ってはいけないのですが、廃棄物管理の政策判断は、さらに強い独立性が求められると思います。もちろん、事業者にも相応の関与を求めることになります。

対象の分割については次のように考えます。
再処理を行なう場合、その結果として利用可能な核燃料ができますが、残りは廃棄物となります。再処理しない場合は使用済み核燃料全体が廃棄物となります。切り分けは困難ですが、利用可能な核燃料は「開発及び利用」政策、その他は廃棄物管理政策の対象とすべきと思います。
なお、将来もし放射性核種の消滅技術が実用化するならば、その実施体制は廃棄物管理政策に含めるべきでしょう。