macroscope

( はてなダイアリーから移動しました)

宇宙基本計画(案)に対する意見

内閣府宇宙政策のサイトに2012年12月5日に出された「『宇宙基本計画(案)』に関する意見募集について」(しめきり12月25日)に対して、次のような意見を書きました。

====================

宇宙利用の目的として地球観測が重要です。政府間機関のGroup on Earth Observationsの事業であるGlobal Earth Observation System of Systemsの企画には日本も大きくかかわってきました。そこでいう地球観測は宇宙からのものばかりではありませんが、宇宙からの観測が重要な部分を占めていることは明らかです。そして、そこで企画されているのは社会的需要にこたえる観測であり、その需要には、防災とともに、気候・大気成分や生態系・生物多様性を含む地球環境の保全や、食料・水・エネルギーを含む天然資源の持続可能な利用を含みます。

このような目的に使われる地球観測のデータは、全人類が共通に使える地球公共財とするのが原則です。日本は、その得意とするところを中心に世界の地球観測に貢献するとともに、そのデータを積極的に提供し、他の国の機関からのデータ公開も促すべきです。

「3つの重点課題」では、防災はすでにキーワードに含まれており、地球環境保全や天然資源の確保は広い意味の安全保障に含まれると言うことはできますが、不明確なので、「環境・資源」のようなキーワードを補足することを望みます。

「6つの基本理念」のうちでは、地球観測の国内のサービスは「国民生活の向上等」に、世界へのサービスは「国際協力等の推進」に、すでにいくつか書きこまれてはおりますが、もう少し地球環境・天然資源モニタリングを重視していただきたいと思います。
また「宇宙の平和的利用」では、リモートセンシングの平和的利用の本流として防災・環境保全のための利用を述べ、傍流として軍事的利用について述べるべきだと思います。日本の宇宙利用への基本的態度の世界への表明として、データが独占される軍事的利用でなく、データが公開される地球観測を正面にかかげることが望ましいと思います。