macroscope

( はてなダイアリーから移動しました)

わたしの個人言語と共通語の違い

(わたし以外の人に意味のある情報ではないと思うが、頭の中の「場所をあける」ために書き出すことにする。)

わたしは静岡県と愛知県の数か所で育ったが、そのいずれの地域の方言も身につけなかった。方言の要素をとりこんでしまったところはあると思うが、わたしの母語はほぼ共通語である。

日本語の共通語は公的にはあまり詳しく決められていない。しかし、NHKのアナウンサーが使う日本語の発音にはかなり詳しい標準があり、それが日本語の発音の標準とみなされることがある。

わたしは学生だった1970年代に、「NHK日本語発音アクセント辞典」や柴田武日本の方言」(岩波新書)などの本を読んで、自分にとって自然な発音がNHK標準とどう違うかを反省してみた。

  • ガ行の子音は、語頭では破裂音だが、語頭以外の発音は破裂音の場合と鼻音の場合があり、NHK標準では鼻音のほうが望ましいとされていた。ところがわたしの発音はどちらでもなく摩擦音なのだ。外国語の入門書を見ると、オランダ語の g や、スペイン語の語頭以外の g が摩擦音だそうだ。ただし、わたしは自分の発音のこの特徴を他人から指摘されたことはない。摩擦音の g は、本人の発音が破裂音である人にも鼻音である人にも、違う音と思われないらしい。
  • 無声子音ではさまれた位置や無声子音に続く語尾の母音が無声化することがある。たとえば「です、ます」の「す」は「s」だけに近い音になる(時間は1拍分とる)。わたしの発音はNHKが示すほどは無声化を起こさない。これは静岡県育ちの人の多くに共通の特徴だそうだ。(ただし、「三角形」は「『サンカクケー』のクが無声化する」のではなく、初めから「サンカッケー」だと認識している。)
  • (少年時代のわたしの発音は、サ行の子音が英語の th に近くなっていると指摘された。今はこのくせはなくなっていると思う。)
  • アクセントについて。
    • 平板型と分類される語は、1拍めは低く、2拍めから高く発音されるのが標準とされている。わたしの発音もだいたいそうだが例外がある。2拍めが長音の場合たとえばコーコー(高校)や、2拍めが「ン」の場合たとえばケンキュー(研究)は、最初から高く、まったく平板に発音している。ただし「1拍めと2拍めがあわせて1音節の場合」と一般化することはできない。2拍めが促音の場合たとえばガッコー(学校)では、1拍めは低く発音している。2拍めはまったく音が聞こえないので高いか低いか決められないのだが、一般の平板型と共通の形と考えてよさそうだ。
    • 「白い」などのいくつかの形容詞について、終止形「シロイ」は2拍めのロを高く発音するが、連用形「シロク」は1拍めのシを高く発音するのが標準とされている。わたしは連用形でも2拍めが高い形を変えない。(ただし名詞の「白」は別の単語と認識しており1拍めのシを高く発音している。) 静岡県の一部の方言では終止形でも1拍めを高く発音するので、それに同化されないように意識した結果かもしれない。