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エネルギー政策に関する考えの断片

(ここ数日間にTwitterに書いたこと。話題は重なっていて、論理的に組みなおしたほうがよいが、ひとまず断片のまま、少しだけ整理して書き写しておく。)

2050年には再生可能エネルギーがエネルギー供給の基幹となることを可能にするには

数十年の政策に、未知の技術をあてにしてはいけないが、技術が今のままと仮定するのも現実的ではない。原理的可能性が確かで、複数の道があり、中小規模で多数普及すれば(設備材料と消耗資源は必要だが)設備建設費・維持技術費が安くできそうなものを、政策的技術開発推進をこみで勘定に入れるべき。(7月16日)

いまいちばん求められる工学者。間欠的に与えられる力学的エネルギーまたは電力を、ほぼすべて化学エネルギーに変え、N2・CO2・水などありふれたものから安全に貯蔵・輸送可能な(できれば燃料電池向けの)燃料を合成する、津々浦々に普及可能な技術を構築する人。(7月12日)

今年の夏の電力は今ある設備での勝負ですが、40年計画はエネルギー供給側も利用側も新設備です。核融合高速増殖炉・宇宙太陽光・メタンハイドレート・CO2隔離などの未完成巨大技術をあてにしない。小規模多数導入可能な新技術群に期待。(7月9日)

化石燃料が輸入できないことも覚悟したシナリオも必要。総エネルギー需要を減らしながら国民生活を悪化させない方策を考える。そして、技術開発の国策は自然エネルギーの貯蔵・輸送を可能にする手段を最優先に。(7月9日)

もっとも困難だが持続性のために必要な転換は化石燃料依存からの脱却

化石燃料燃焼は経済的に必要だから止められない」のほうが、奴隷制と同様に不当であると認識しても実際の拒否がむずかしい工業化文明の幹だと思います。それに比べれば核エネルギー利用は切り捨て可能な要素。(7月13日、skasugaさんの

この「原発は経済的に必要だから止められない」という言明を認める者は「奴隷制が経済的に必要だから止められない」という言明も認めるのか、という論点は重要ですね。

を受けて)

化石燃料動力を使う現代の大規模農業は、ローマ帝国アメリカ南部の奴隷制による大規模農業と、土壌保全を軽視し持続可能でない点で同類だと、地形・地質学者モントゴメリーは言っています。http://macroscope.world.coocan.jp/ja/reading/montgomery_dirt.html (7月13日)

なさけないことながら、奴隷制を廃止できたのは化石燃料を使えたおかげかもしれません。奴隷にも化石燃料にも頼らない文明の構築は未知の挑戦課題か。核エネルギーに頼る文明はできそうもない。(7月13日)