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関東地方の市区町村別のCOVID陽性患者数 (不定期 2) 全域で増加、人口密度依存性やや弱まる

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

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関東地方で、市町村別の直近1週間にあたらしく確認された新型コロナウイルス陽性患者数 (またはその人口あたりの数) を発表している、茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉県について、2021年7月23日からの原則として毎週金曜日までの人数を、人口あたりにして地図上に表示してみてきた。 ただし群馬県は市町村別よりもおおまかな保健所管轄区域別である。また、埼玉県は県からの発表が階級別にぬりわけた地図の形なので、他の県も階級わけをそれにあわせて作図している。

これまでにつくった図を、つぎのウェブページに、一覧表の形でまとめた。その図を発表したブログ記事があるばあいは、そこへのリンクをいれている。

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2022年1月14日 (金) までの1週間の新規陽性者数を人口あたりにして作図してみた。[ここから2022-01-22改訂] 上記ウェブページの一覧表のうち 2022-01-14の行の左端の列の図である。このブログ記事からは省略する。

ただし、千葉県は、「千葉県の感染状況」のウェブページ https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/kansenshou/ncov/kansen-shiyo-sihyou.html の更新が平日だけなので、金曜日までの値を含むファイルがウェブ上に発表されるのは月曜日になる (そのとき発表される最新の値は日曜日までのものになる)。[ここから2022-01-22改訂] 15日にブログ記事を出したときにはひとまず、千葉県は1月13日 (木) までの1週間の値で作図しておき、22日に、14日 (金) までの値でさしかえた。

栃木県の那須烏山市 (223人/十万人)、茂木町 (213) で 200人/十万人をこえている。それにつぐのは矢板市 (58人/十万人) だ。ただし、市町村ごとの実人数で最大は宇都宮市 (231人、45人/十万人)だ。

群馬県では、東端の館林保健所管内の 71人/十万人 を最大として、伊勢崎、太田、高崎の保健所管内で 50人/十万人 をこえている。

埼玉県は、さいたま市を中心とする地域で 50人/十万人をこえているのをはじめ、県東部の大部分で 25人/十万人 をこえているが、県西部では、50人/十万人をこえた市町村も点在するものの、25人/十万人 未満のところもかなりある。

茨城県は、稲敷市 (89人/十万人)、下妻市、結城市、常総市、北茨城市で 50人/十万人をこえている。しかし 25人/十万人未満のところも多い。

千葉県 (1月13日まで) は、大部分の市町村で 25人/十万人をこえ、比較的人口の少ない地域で25人/十万人未満のところが不連続に分布している。最大は袖ケ浦市の 95人/十万人、そのほか50人/十万人をこえるのは、睦沢町、大網白里市、富津市、大多喜町、君津市、一宮町、勝浦市、木更津市、浦安市の順で、全部ではないが 東京湾の東岸 (千葉県としては南西部) に多い。[ここから2022-01-22改訂] 1月14日までの値では、大網白里市、睦沢町、勝浦市で 100人/十万人をこえ、50人/十万人をこえる市町村もふえた。

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広域の感染がはじまった2020年2月ごろからの累積の陽性患者数については、最近しばらく更新していないが、[関東7都県の新型コロナウイルス累積陽性患者数の市区町村別分布] にまとめている。

そこで、人口密度が高いほど多い傾向があることを指摘した。2020年8月の時点で、人口あたりの陽性患者数の人口密度へのよりかたは、「人口密度の平方根 に比例」に近い、したがって、人口あたりの陽性患者数を人口密度の平方根でわってやると、都市部でも いなか でも同じような値になることを指摘した。2021年8月ごろまでの累積値でみたところでは、その傾向は大筋ではかわらなかった。「人口密度の平方根に比例する」というのは、「人と人との平均距離に反比例する」ともいうことができ、感染が人から人へおこるとすれば、説明しやすい。

今回、2021年1月14日まで (千葉県は1月13日まで) の1週間の新規陽性患者数の人口あたりの数を、人口密度の平方根でわった値の分布図をつくってみた。[ここから 2022-01-22 改訂] [関東地方 (群馬、栃木、茨城、千葉、埼玉) 市町村別 人口10万人あたりの新規陽性者数] のページの一覧表の 2022-01-14 の行の右から2ばんめの列の表である。

結果の値は、(とくに埼玉県や千葉県をおもにみると) 人口密度の大きいところのほうが小さくなる傾向がある。したがって、人口密度へのよりかたは、平方根に比例では強すぎるようだ。
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そこで、1週間の新規陽性患者数の人口あたりの数を、人口密度の 3乗根 (立方根ともいう) でわった値の分布図をつくってみた。こちらのほうが、一様に近くなる。[ここから 2022-01-22 改訂] [関東地方 (群馬、栃木、茨城、千葉、埼玉) 市町村別 人口10万人あたりの新規陽性者数] のページの一覧表の 2022-01-14 の行の右端の列の表である。

栃木県の那須烏山市と茂木町の値はきわだって大きく、地理的にきまる要因とは別の異常事態がおきていたと考えられる。

千葉県の君津市・富津市・袖ケ浦市・睦沢町・大多喜町 [これは2022-01-13 までの値による順にあげたものだが] で値が大きいのも、この地域に感染者を多くする要因があったと思われる。

群馬県の北部の 利根沼田 保健所管内で値が大きくなっているのは、分母の人口密度が小さいからにちがいなく、この件に注目すると、人口密度へのよりかたが、3乗根に比例でも、まだ強すぎるのかもしれない。

人口密度へのよりかたが、まえの時期よりも実際に弱くなったとすれば、それには次のような理屈が考えられる。市町村間の人の移動が (日本では法的制限はなく「自粛」だったが) 制限されているときは、感染確率は市町村内の人と人との平均距離に反比例する、という近似がよくなりたっていた。しかし市町村間の人の移動が多くなったので、感染確率をきめる要因が市町村間でまざるようになってきた。

3乗根という関数の形にはとくに必然性はない。しかし、現実に異常なことがおきていると思われるばあいもあるし、分母が小さいせいでデータ上の異常値が生じることもあるので、データによくあてはまる関数形をくふうしても、あまり意味はないかもしれない。しばらく、平方根と 3乗根でやってみることにしようと思う。