【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】
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2019年6月ごろ、光のスペクトルの波長と色の関係が話題になっていた。波長を横にとって色をならべたものが、音階、あるいは鍵盤楽器のキーボードに似ているという感想があった。そして、(記憶がたしかでないが) 可視光線の波長が nm (ナノメートル)単位で3けた、音楽に出てくる音の振動数が Hz (ヘルツ)単位で3けたなので、それを関連づけようという話があったようだった。わたしは、振動数どうしを関連づけたほうがよいと思った。光の速さは一定としてよいから、振動数は波長の逆数に比例する。赤のほうが青よりも振動数が小さいので、赤が低い音、青が高い音に対応する。可視光線の振動数の最大は最小の2倍弱だから、同じ比率にすれば、1オクターブのなかにおさまる。
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音階と色を対応づけるといえば、物理とは関係ないのだが、「いろおんぷ」(色音符)を思いだす。わたしは1960年代の小学生のころ知った。たぶん「ヤマハ音楽教室」で、おもにリードオルガンをひきながら音楽をならっていたとき、小学生の自分は使っていなかったが、幼稚園児が使っていたのだ。最近ネット検索すると、いまのヤマハ音楽教室の教材としても出てくる。ヤマハ音楽教室よりもまえから、子どもにピアノを指導していた たなか すみこ さんが使っていた。たなか さんの考案したものらしい。
「いろおんぷ」の教材で色の名まえをどうよんでいたかはおぼえていないが、わたしの記憶で書けば、ド=赤、レ=黄色、ミ=緑、ファ=オレンジ、ソ=青、ラ=紫、シ=白、だった。
これも「いろおんぷ」標準かどうかは知らないが、日本語のごろあわせがあった。「ドレミの歌」の日本語版歌詞と共通なものに、「レはレモンのレ」(レはreでレモンはlemonだから日本語のなかだけのごろあわせだろう)と、「ソは青いそら」があった。そのほか、ミは緑、シは白だった。ラはむらさき、ドは英語のレッドというくるしまぎれもあったと思う。ファは、オレンジとも だいだい ともつながらず、ごろあわせはなかったと思う。
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いろおんぷ に使われている色のうち、白は、多種類の波長の光がまざったときに知覚される色なので、スペクトルには出てこない。そのほかをならべてみると、オレンジ色を例外とすれば、光の振動数の順序は、音の振動数の順序に対応している。
これは偶然ではないと思う。ファとシをぬいた五音音階は、日本近代では(ドレミファソラシをヒフミヨイムナであらわした方式にもとづいて)「ヨナぬき音階」ともいわれ、世界のあちこちで多くの曲につかわれている。たなか さんの いろおんぷ よりも むかしに、五音音階を色で表現した人がいて、その人は振動数の順序を意識していたのだろうと思う。どこのだれかはわからないが、ありそうなのは、18-19世紀、ゲーテのころからヘルムホルツのころの、ドイツ語圏かと思う。
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五音音階と色とのおおざっぱな対応づけをこころみた。
音階としては、振動数の比が整数どうしの分数で表現されるピタゴラス音階をとり、音程の基準はいまのクラシック音楽で使われる A (ラ) = 440 Hz をとって、それよりも低めのドから音階をはじめてみる。
光のほうは、自然界に標準をとりたかったので、水素のバルマー系列 Hα 輝線の赤の 656.28 nm を C (ド) としてみる。
結果は次の表のようになった。色の名まえと波長範囲との対応については、ひとまず Wikipedia 日本語版の「可視光線」の項目にある表とてらしあわせてみると、わたしが得た波長と色の対応は、ちょっとはずれているところがある。しかし、Wikipediaの表の根拠がよくわからないので、ひとまずこのままにしておき、標準といえる文献をみつけたらそれを見て検討しなおしたいと思っている。
ド | レ | ミ | ソ | ラ | ||
C | D | E | G | A | ||
ピタゴラス音階 | 分数 | 1 | 9/8 | 81/64 | 3/2 | 27/16 |
小数 | 1.000 | 1.125 | 1.266 | 1.500 | 1.688 | |
振動数 (A = 440 Hz) | 261 | 293 | 330 | 391 | 440 | |
光 | 波長 (C = 656 nm) | 656 | 583 | 519 | 438 | 389 |
色 | 赤 | 黄 | 緑 | 青 | 紫 |