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オーダー (order of magnitude)

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】

「スケール」という用語に関する記事を書きはじめて、それと関連がある (「スケール」と「規模」、「規模」と「オーダー」にそれぞれ意味の重なりがある) 「オーダー」について、別の記事にしておいたほうがよいと思った。

英語の「order」は、「順序」「秩序」、あるいは動詞として「命令する」「注文する」などの意味がある。数理科学的な文脈でも、そのような意味になることが多いと思う。

しかし、日本語の外来語としての「オーダー」の意味はもっと限定されている。数理科学的な文脈ならばたいていは、英語の「order of magnitude」の意味だ。

これは、数量の大きさを大まかにとらえたものだ。数量が何かの同じ単位で表現されているとして、たとえば、数値が 5 と 8 ならば、同じ値ではないが、同じ「オーダー」の量だ。しかし、たとえば 5 と 500 ならば「オーダー」が違う。0.05 と 5 でも「オーダー」が違う。二つの量の間で「オーダーが違う」というのは、その量のあいだの比率が、1に対して大幅に大きかったり小さかったりする、ということだ。

どれだけ違えば「大幅に違う」のかは文脈によって必ずしも一定しない。しかし、現代の人はふつう数値を十進法で扱っているから、十進法であらわしたときに桁が違うことを「オーダーが違う」ことと同一視することが多い。そうすると、1と10とはオーダーが違う。1と3、あるいは3と10との関係が、オーダーが違うというべきか同じというべきか迷う領域になる。

「オーダー」と「桁」以外に、同じ概念をあらわす可能性のある用語としては「規模」がある。これは「magnitude」の訳語のひとつでもある。ただし、「規模」は、対象物の空間的な大きさ(量の次元は、長さだったり、面積だったり、体積だったりする)を大まかにとらえた場合に使われることが多い。対象とする数量が空間的な大きさとは別のものである場合は、「規模」という表現は誤解を招きやすいので、「オーダー」という表現を捨てがたいことがある。