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ワート『温暖化の〈発見〉とは何か』 重版

【まだ書きかえます。どこをいつ書きかえたか、かならずしも しめしません。】

スペンサー R. ワート (Spencer R. Weart) 著, 増田 耕一、熊井 ひろ美 訳 (2005) 『温暖化の〈発見〉とは何か』 (みずす書房) の本が、しばらく版元品切れになっていました。出版社は重版するかどうか迷っていたようですが、真鍋淑郎さんのノーベル賞受賞が決まったのを機会に、重版されました。重版の部数が多くないので、店頭にはあまり出ていないかと思いますが、書店から注文すれば買えるはずです。訳者のひとりとしては、地学、とくに気候システムについて学ぶための副読本となることを期待しているので、大学図書館・学校図書館などに入れてくださるとありがたいと思います。

この日本語版は原書の2003年の初版にもとづくもので、2001年の IPCC (気候変動に関する政府間パネル) 第3次評価報告書が出たときまでのできごとについてのべています。原書には2008年に増補改訂版 (revised and expanded edition) が出ています。これには2007年のIPCC第4次評価報告書までのできごとがくわえられていますが、ページ数はかわらず、けずられた内容もあり、とくに著者の考察をのべたところがちぢめられてしまいました。文章は、初版とかわらない部分もありますが、同じ内容であるにもかかわらず表現がかわっているところもあり (くわしいウェブ版から要約しなおしたのだと思います)、改訂版の訳をつくるとすれば訳書の改訂ではすまずやりなおしになります。わたしとしては、日本語圏の読者にはひきつづき原書初版の訳を提供するのがよいと思い、出版社にそのように申しました。

わたしが書いた解説も、その本文は変更する必要がないと思いますが、読書案内だけは更新したいと思いました。ところが、印刷技術上のつごうで、文章を書きかえることはできず、数行を追加できるだけだとわかりました。それで、読書案内の更新については、出版社のウェブサイトのこの本のページ https://www.msz.co.jp/book/detail/07134/ に置き、そのことを本の解説の最後に加筆する形にしていただきました。わたしのこの本の[読書ノート] の読書案内の部分にも、追加した本の紹介を「+」印をつけて入れておきました。