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新型コロナウイルス患者の関東地方の市区町村別分布を見る (8/終) (2021年3月26日まで)

【まだ書きかえます。いつどこを修正したかをかならずしもしめしません。】

【[お知らせ (2021-04-10)] この記事をふくむ、このシリーズ(1)~(8)の記事にあった図 (地図、散布図) は、個人ウェブサイトの[関東7都県の新型コロナウイルス累積陽性患者数の市区町村別分布] のページにまとめました。このブログ記事に対応する図は、一覧表形式にしたうちの「2021-03-26」の行にあります。このブログ記事には図のあったところに「図1」「図2」「図3」「図4」「図5」という文字を置きました。

今後、このシリーズの続編の記事を書くばあいには、記事中に図を入れず、別ページの一覧表の行を追加していく形にします。】

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関東地方の1都6県がそれぞれ発表した、市区町村別 (区は東京の特別区だけ、群馬県は保健所管轄区域別) の新型コロナウイルス陽性患者数 (累積人数) を、市区町村別の地図の形で表示してみる。

これまでに、各都県が把握した数値にもとづいた、つぎのそれぞれの日付までの値を図にしめした。

今回は2021年3月26日(金)までの値を示す。

人口のデータは2015年国勢調査にもとづく各都県の推計による 2020年9月1月現在 の値を更新せずにつかっている。人口密度の分布は、[(1) 2020-10-20の記事] の2節にしめした。

患者数のデータ源は、[(7) 2021-02-28の記事]と同じ (日付にともなう変更はある)。

各都道府県の資料で患者の住む市区町村名 (群馬は保健所名) がしめされていなかった人は、ここでの集計にふくまれない。感染が報告された都道府県が居住地の都道府県とちがうばあい、実際には居住地の市区町村がわかっていても、都道府県発表の資料にはその情報が(原則として)ふくまれないので、ここでの集計にふくめることができなかった。したがって、ここでの集計は、都道府県の境をこえて医療をうける人の多い地域の患者数を過小評価する傾向がある。

累積人数なので当然ながら、結果の特徴も、全般に数値がふえているほかは、(1)~(7)とだいたい同様である。以下の本文も、これまでの記事の記述のくりかえしになっている部分が多い。

数値の階級わけや色わけは、あまりよく考えたものではないが、時間を追った比較がしやすいことのほうを優先して、(1)~(7)となるべく変えないようにした。

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市区町村別の陽性患者数(人口あたりではない)を記号 (紫色のまる)の数であらわす。記号は市区町村の代表位置(市役所など)の付近にしめされる。群馬県の保健所管轄区域ごとの人数は、保健所のある市の代表位置にまとめてある。まる1つは患者数50人とした。【(6)までは10人としたが(7)から変更し、色も変えた。】 患者数が 50人未満の市町村 (群馬県では保健所管轄区域) は表示されていない。群馬以外の市町村別患者数がわかっている県内でも大きな不均一がある。
[図1]

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陽性患者数を面積でわったものの分布をしめす。(群馬県では保健所管轄区域ごとに同じ色でぬっている。) 人口密度と同様な意味で「陽性患者数密度」ということもできる。大まかには人口密度とにた分布をしているが、人口密度よりも疎密の格差が大きい。東京の都心部でとくに値が大きい (ただし千代田区はあまり大きくない)。最大は新宿区で 376 人/km2である。
[図2]

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陽性患者数を人口でわったものの分布をしめす。単位は「人/十万人」である。各地域に住む人にとっての感染リスクの大小のめやすと考えることができるだろう。大まかには人口密度とにた分布をしているが、人口密度ほどは疎密の格差が大きくない。いちばん値の大きいのは東京の都心部に見られる1200以上の値 (あかるい青)で、新宿区 (1976)、港区 (1522)、渋谷区(1482) である。300~600のあいだの値 (黒) が、東京都区部・多摩、横浜市、川崎市、相模原市、さいたま市、千葉市をふくむ連続した領域、群馬県南部・埼玉県南部にまたがる地域などにひろがっている。
[図3]

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市区町村別の陽性患者数がわかっている(群馬以外の) 1都5県について、人口密度を横軸、人口あたりの陽性患者数を縦にとって、両対数軸で散布図をつくってみた。東京都は23区と多摩地域に分けた。
[図4]

結果をみると、人口密度が 1000 人/km2 よりも小さいところでは、人口あたりの陽性患者数は大きくばらついている。(人口密度 218 人/km2、陽性患者数 917 人/十万人 の異常値は茨城県美浦村で、集団感染による。)

人口密度が 1000 人/km2~10000 人/km2のところでは、人口密度が大きいほど 人口あたりの陽性患者数が多い傾向がある。グラフ上で点群に直線をあてはめるとその傾きはおおまかに 1/2 に近いので、人口あたりの陽性患者数は人口密度の平方根に比例に近いといえる。(人口密度 5730 人/km2、陽性患者数 947人/十万人 の点は東京都千代田区で、住民登録している人口はすくないが、人があつまる機会は23区の他の区におとらないのだろう。)

人口密度が 10000 人/km2 以上のところ (その大部分が東京都23区) では、陽性患者数は、人口密度が 1000 人/km2~10000 人/km2のばあいの線を延長したところよりはだいぶ大きな値をとっている。

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人口あたり陽性患者数(人/十万人)を、人口密度(人/km2)の平方根でわったものの分布をみる。(数量としてはわけがわからないものになるが、人口密度という要因の効果をうちけしてみるための試行錯誤のひとつである。) 群馬県は同じ保健所管轄区域の市町村を同じ色でぬった。周辺部の、人口密度の小さいところは、ここでの計算の分母が小さいので、大きい数値も小さい数値も出やすい。それ以外の大部分の地域では、3~10 または 10~30 の区間の値をとっている。このような変数にすると地理的分布は一様に近くなるのだ。
[図5]