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「外れ」

【この記事は まだ 書きかえることがあります。 どこをいつ書きかえたか、必ずしも示しません。】

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「外れ」という文字列を見かけた。

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わたしは1960年代の小学生として当用漢字音訓表に従った国語教育を受け、それを誇りに思っている。「わたしの辞書」にある「外」という字の読みかたは、音よみの「がい」と訓よみの「そと」だ。「外れ」は「そとれ」か「がいれ」に ちがいない と 思うのだが、どちらも意味が通じない。

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おとなになったわたしは、日本語を読み書きするみんなが当用漢字音訓表に従っているわけでないことを知っている。

とくに訓よみは、古代中国語の(いまの例で言えば)「外」と部分的に意味が重なる古代日本語ならば、なんでもありうる。

「外れ」は「ほかれ」だろうか? 「とれ」だろうか? ... と、いろいろ考える。「それ」というのが文脈に あいそうだ。もし「外れる」だったら、「それる」で解決としたにちがいない。

しかし、たぶん偶然、「はずれ」という文字列を見かけた。そちらのほうが、いまの文脈に あっているようだ。

だいぶ迷ったとはいっても、いまのわたしの連想能力ならば、秒単位の時間で、ここまでたどりつける。

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しかし、わたしの頭は、少しずつおとろえていることを、自分でも自覚している。もうすこしおとろえると、分単位の時間がかかるようになるだろう。そうすると、わたしは、「そとれ」などと平気でいう人になるのだろうか。あるいは、日本語の読み書きの失敗をおそれて発言をひかえる人になるのだろうか。

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わたしは、「外れ」などという文字づかいはしたくない。訓よみを完全にやめるわけではないし、当用漢字音訓表にこだわるわけでもないが、だいたい当用漢字音訓表にある程度に限定して使っている。

わたしは「はずれ」は全部ひらがなで書く。その書きかたの欠点は知っている。漢字かなまじり文では、語の はじまりが漢字であることが多い。語のはじまりが かな だと 語のはじまりであることが認識されにくい。とくに「は」は助詞「wa」だと思われやすい。

欠点をさける対策は、わかちがき だ。文章全部を わかちがき に できない場合でも、自分のウェブサイトなど、自分で割りつけを決められる場合は、「はずれ」などの ひらがなで はじまる単語のまえに 空白をいれる。(しかし、「1文字いくら」でおかねが動く場合は(はらう側でも、もらう側でも)、文字数の 水まし は悪いことと思われるので、空白をいれるのをためらってしまう。それで、ひらがな書きすべきだと思っても、徹底できないことがある。)