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革命の季節には持続可能な政策構想が必要

6月29日の晩、デモのリアルタイム情報を見ながらTwitterでつぶやいたことをならべかえてもう一度書く。

わたしは、革命が起こる可能性が多少はあると思うからこそ、革命政権の政策構想が必要だと言いたい。

どうせ政権は安泰だという情勢ならば、1点にしぼって抗議行動をしたほうが相対的には効果があるだろう。政権があやういときには、受け皿の用意が必要だ。ナポレオンやスターリンの天下に終わる革命ではむなしい。

デモの参加者はこれまでの「左翼・右翼」を越えていて、共産党社民党の支持者もいれば、「維新の会」や自民党の支持者もいるようだ。民主党を支持しながら今の野田内閣の方針には反対するという発言も見かけた。しかし、もし野田内閣がこのまま原子力に関する政策を変えないと、デモの主張は野田内閣退陣要求になり、民主党内の他の人ではまとまらず、衆議院解散になるのではないだろうか。そのとき、政党所属はどうであれ、デモの参加者が支持できる政策をもつ候補者をじゅうぶんな数たてる必要があるはずだ。

デモは今のところ、原子力発電所再稼働反対の一点でまとまっている。その全部ではないが多くの人は、原子力発電所全廃をもめざしているようだ。抗議行動である限りはそれだけでもよいが、政権をとろうとするならば、つじつまのあった政策をもたなければならない。

まず短期的に、この夏の突然の停電を避けるためには、発電所の増設はもう間に合わない。ピーク時にだれに電力消費を抑制してもらうべきかを考え、抑制される当事者も納得できるようにする議論をすぐ始めるべきだと思う。

また、原子炉の稼動を止めても炉内に燃料があるままでは地震などによる事故のリスクはある。核燃料を取り出してどこに置き、どうやって管理するかの方策を考え、置かれるところの住民に納得してもらわなければならない。政権打倒をめざすならば、次期政権をになおうとする人はこの具体策を用意してほしいと思う。

いわば中期的に、これから10年ほど間に停電を避けるためには、もちろん再生可能エネルギーの利用エネルギー利用効率改善を進めるべきではあるが、それだけで追いつくとは思えない。わたしが思うには、大きく分けて、

  • 火力発電所を増設し化石燃料の輸入をふやしてでもエネルギー需要に応じた供給能力をもとうとするのか (そして、地球温暖化・海洋酸性化を抑制するために、二酸化炭素の地下への隔離貯留を始めるか)、
  • 経済活動を抑制することになってもエネルギー需要を抑制するか (そして、貧困を避けるために、雇用対策と生活保護を手厚くし、そのためにたとえさらに経済活動を抑制することになっても税収を確保する政策をとるか)

の選択になると思う。実際にはこの両極端ではなく中間の政策を選ぶことになるのかもしれない。